kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

稲田朋美の日報隠蔽「リーク」は軍事クーデターではなく文官内の闘争

陸自稲田朋美の件、自分が陸上自衛隊員であったら、と想像力を働かせるだけで簡単にわかる話だと思うが、陸自の隊員たちは基本的に自分たちの活動を広く国民に知ってほしいと思っているはずだ。ということは、日報を隠蔽したいという動機があるのは文官に決まっている。だから稲田朋美が隠蔽に関与していたとの報道を接しても、やっぱりそうだったか、としか思わないし、さらに想像すれば、稲田が関与した日報の隠蔽は、稲田の上司である安倍晋三の意向を反映しているであろうことは、誰が考えてもこの結論にしか達しようがあるまいと私は思うのだが、これほど安倍政権批判の声であふれ返っているこの世間にあっても、私と同じくらい安倍晋三に対して厳しい目を向けている人間はほとんどいないように思われる。

この話を、昨年あった自衛官たちが稲田朋美は女性で頼りないから云々のビラを作った件と同一視するのは誤りだ。昨年の件で、私は某都会保守のブログが自衛官と一緒になって稲田を笑いものにしたばかりか、2007年に防衛相を経験した小池百合子を「女性でも凛々しい感じがあって、頼りないと思う人はそんなにいなかったと思う」などと持ち上げたことを強く批判する記事を書いた。


だが今回の件は上記の例とは全く異なる。

問題の本質は、官邸(と私は断定する。具体的には安倍晋三または菅義偉を指す)が、自衛隊PKO活動の実態が知られると自らが批判を浴びることを嫌がって、大臣の稲田朋美以下の防衛省に日報を隠蔽させたことにあり、陸自文官のリークも、パシリとして隠蔽させられただけの自分がトカゲの尻尾切りをされようとしていることに怒ってのものだったことは明らかだし、仮にその「文官の反乱」に従来から稲田朋美に反感を持つ武官がシンパシーを抱いたとしても、それは武官が主体となって突出して動いた「2.26事件」や、それにつながる動きと断定できる昨年の自衛官の稲田誹謗ビラとは性格を大きく異にする。

以上明記した立場によって、菅野完の下記Twitterでの主張に、私は強く反対する。

https://twitter.com/noiehoie/status/888335097912451074

菅野完
@noiehoie

いま、「稲田朋美は辞任するべきではない」というのは、逆張りでもなんでもない。
日本の民主主義のため、声を大にして「稲田辞めるな」と言うべきだ。
仮令内閣改造での「異動」という形であっても、「陸自のリークで大臣の地位が揺らいだ」という前例は、絶対作ってはいかん。

2:49 - 2017年7月21日


まず、今回の陸自日報隠蔽問題においては、官邸(安倍晋三または菅義偉)の指示によって隠蔽が行われたことは確実であり、これは官邸が自衛隊を私物化していることを意味する。官邸による軍隊(自衛隊)の私物化は、それが行われている時点で文民統制ができていないことを意味すると私は考える。稲田朋美安倍晋三の意を受けて日報の隠蔽を容認したわけだから、稲田も文民統制のできない防衛相であることが示された。よって、稲田防相を罷免すべきだと私は考える。もちろん、罷免する側(安倍晋三)自身が自衛隊を私物化している元凶だから、安倍首相の辞任も強く求めるが、すぐに安倍が辞めるとは思われないので、とりあえず先に稲田の防相罷免を要求するのは当然至極だ。

菅野完に限らず、2.26と今回の件を同一視する議論が散見されるが、2.26が本当の武官の暴走だったのに対し、今回は文官内の懲戒処分をめぐる上官と部下の闘争が問題の本質だ。

フジテレビの右翼解説員として知られる平井文夫が、テレビで「“軍事クーデター”を止めろ」と言ったらしくて(下記リンクの『ホウドウキョク』の記事を参照)、菅野完のTwitterもそれに刺激されたものではないかと私は勘繰っているが、平井には「トカゲの尻尾切り」を「クーデター」へと問題をすり替えることによって安倍晋三稲田朋美を擁護する意図があるとしか私には思えない。

リベラル・左派は絶対にこんな論法に乗っかってはならない。

むしろ、稲田朋美安倍晋三を留任させる方が文民統制を危うくすることは火を見るよりも明らかだから、リベラル・左派はこの観点から「稲田降ろし」「安倍降ろし」をやるべきだ。