kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

臆面もなくクルーグマンと谷垣禎一を利用する安倍晋三の猿芝居だが

スティグリッツの次にはクルーグマンを呼ぶことは知っていたし、2014年にもクルーグマンを呼んで消費税率引き上げを先送りせよと言わせていたから、クルーグマンが何を言うかは最初からわかり切っていたが、案の定独裁者・安倍晋三の書いた二番煎じの茶番の筋書き通りの展開になっている。

http://www.asahi.com/articles/ASJ3Q5PXHJ3QULFA02G.html

クルーグマン教授も消費増税先送り進言 安倍首相に対し
鯨岡仁
2016年3月22日22時51分

 安倍晋三首相は22日、3回目の国際金融経済分析会合を開き、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンニューヨーク市立大教授と世界経済の情勢について意見を交わした。教授はかつて首相に消費増税の延期を進言したことで知られ、この日も2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げの先送りを進言した。

 クルーグマン氏は会合後、記者団に「日本はデフレを脱するための、大気圏を脱するロケットのようなスピードには行っていない。消費税の税率アップは、いまやるべきではない」と語った。そのうえで「(会合で)財政刺激をもっとすべきだと提案した。(アベノミクスの)3本の矢は金融政策に重きが置かれすぎた」と指摘した。

朝日新聞デジタルより)

昨日(3/23)の朝日の上記記事の左下には、谷垣禎一が消費税策億理論に「苦言を呈した」とのこれまた茶番を報じる記事も出ている。

http://www.asahi.com/articles/DA3S12271271.html

谷垣氏ら、先送り論に苦言 消費税率引き上げ
2016年3月23日05時00分

 自民党谷垣禎一幹事長は22日の記者会見で、来年4月に予定される消費税率10%への引き上げの先送り論が党執行部から相次いでいることについて、「ばらばらにいろんな発言が出てくるのはいかがか」と苦言を呈した。「リーマン・ショックのような緊急事態が起きていると議論している人はあまりいない。(消費増税は)…

朝日新聞デジタルより)

この記事くらい読んでいてイライラする記事も少ない。昨年の例の「軽減税率」の茶番でも、谷垣には当初公明党の要求を突っぱねる役柄が安倍晋三によって割り振られていた。何度も書くが、私は、最後には「アベさま」が出てきて「名裁定」をして一件落着になるに決まっている、国立競技場の話の時にも似たような経緯があったと思ってたらその通りになった。いつもの手口だ。

今回は、消費税率引き上げ論に「苦言を呈した」(本段落と次段落においては、鉤括弧は朝日新聞記事からの引用を表す)悪役・谷垣に対して「増税延期を容認する構えを見せ」、つまり善玉に割り振られているのが安倍晋三の大のお気に入りの極右政治家・稲田朋美だ。実は稲田は既に安倍によって財政再建の元締めの役割も以前から割り振られていて、いわば稲田は一人二役であって、後者、つまり財政再建のために歳出削減(福祉・社会保障切り捨てなど)の大なたをふるうコストカッター(牙を剥き出しにしながら大なたを構える稲田朋美の姿をご想像いただきたい)が本当の役柄なのだが、今回の消費税増税延期茶番劇においてはアベさまに味方する善玉役なのだ。

さらに、「こうした自民の言動をたしなめる」公明党には、軽減税率の時とは違って谷垣禎一と同じ悪役が割り振られている。いや、こんな露骨な茶番に誰が騙されるんだよ、と思うのだが、実際に安倍晋三が消費税率引き上げ延期を“決断”して解散総選挙、つまり読売も予告しているらしい衆参同日選挙に踏み切れば、安倍内閣の支持率はさらに上がり、その衆参同日選挙は事実上、“改憲の是非を問う選挙”になる。但しこの茶番においては、あくまでも“消費税引き上げ延期の可否を問う選挙”ということになっているのである。

安倍晋三のシナリオはあまりにも露骨だ。谷垣禎一には常に「悪役」が割り振られる。それは、谷垣が民主党野田佳彦政権時代に「野ダメ」野田佳彦らと「三党合意」を行った時の自民党総裁であることに由来する。安倍は谷垣に悪いイメージを与えつつ、谷垣と合意した民主党(もうすぐ「民進党」)にも谷垣禎一公明党と同じ「悪役」を割り振っているのである。アベさま(敬称をつけて差し上げたぞ!)の思惑にもののみごとにはまった頭の悪い政治家が細野豪志であることはいうまでもない。下記毎日新聞記事もそのようにしか読めない。この毎日記事は、朝日記事ともども茶番を茶番であることを指摘せずに「客観報道スタイル」で報じる括弧付き「リベラル」紙の記事である。どちらの記事からもジャーナリズムらしい批判精神は欠片も見られない*1

http://mainichi.jp/articles/20160323/ddm/002/020/135000c

国際金融経済分析会合
「消費増税に疑問」 クルーグマン氏指摘 政権内で賛否
毎日新聞 2016年3月23日 東京朝刊

 政府は22日、首相官邸で第3回の国際金融経済分析会合を開き、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンニューヨーク市立大教授が来年4月の消費増税に疑問を呈した。安倍晋三首相は景気を見極めつつ、衆院解散も含めてフリーハンドを握る構えだが、政府・与党で増税への賛否の声が交錯し始めた。

 同氏は会合で日本経済について「消費税の問題もある」と指摘した。日銀のマイナス金利は「効果に限界がある」と述べ、財政出動の必要性を強調。その後、記者団に「日本はデフレを脱するスピードに達しておらず、消費税率アップを今やるべきではない」と明言した。16日にはスティグリッツ米コロンビア大教授も増税延期を提言した。

 一方、17日にはジョルゲンソンハーバード大教授が首相から「税制改革の具体策」を問われ、「法人税から消費税への移行が必要だ」と述べた。増税論者で知られる同氏に首相が提言を求めたことで、財務省では「予定通り増税する選択肢も残っている」(幹部)との期待が広がった。

 ただ、方向性をあいまいにした議論に、2012年に消費増税を決めた自公民の3党合意の当事者から異論も出ている。自民党谷垣禎一幹事長は22日の記者会見で消費増税を「既定方針だ」と強調。公明党山口那津男代表も「経済情勢を理由に先送りする判断には、今のところならないだろう」と語った。

 対照的に、首相の経済ブレーンはアベノミクスの先行きに懸念が強い。浜田宏一内閣官房参与は記者団に「増税で産業の元気がなくなる。首相の英断が必要だ。本当に上げたら選挙には勝てないだろう」とも発言した。

 野党は政局と連動させた消費税論議に反発を強めている。民主党細野豪志政調会長は22日、「さらに先延ばしするならばアベノミクスの失敗にとどまらず、安倍政権の敗北だ。退陣するのが筋だ」と批判した。【大久保渉】

青字ボールドが今回のアベさま茶番劇における「善玉」、赤字ボールドが「悪玉」である。なんて見えすいた猿芝居。これでも日本国民は騙されるのかね。

*1:でも朝日新聞が「日本会議」について本格的に特集を組んで記事を載せ始めたことには注目している。以前から朝日や毎日が単発の記事で「日本会議」を取り上げることは、改正教育基本法成立翌日の2006年12月16日付毎日新聞の1面トップ記事をはじめとしてしばしばあったが、「日本会議」がまとまった特集記事で取り上げられた記憶はない。あるいは東京新聞は既にやっているのかもしれないが。