kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「投票率の割に池田真紀候補の得票が少なかった」グラフができた

標記の件、グラフができたので下記に示す。小さくて見づらいが、グラフをクリックすると "HatenaFotolife" の画面になり、グラフを囲った枠の左下にある「オリジナルサイズを表示」をクリックすると、元の大きさのグラフが表示されるはずだ。



このグラフからわかるように、1996年衆院選から今回の補選に至るまでの9回の北海道5区の選挙(うち2回は補選)のうち、2005年の郵政総選挙と2009年の政権交代総選挙を除いて、横軸に投票率、縦軸に反自民候補の得票率合計と自民党候補の得票率の差をとってプロットすると、きれいな正の相関があることがわかる。

ただ、今回の補選における池田真紀候補の得票率は最小自乗法による近似直線よりもかなり下に位置することが注目される。

この要因として、下記の2点が考えられる。

  1. 近年、自民党支持が増え、野党支持が減っている。
  2. 野党共闘」を嫌って投票しなかった共産党支持者(及び民進党支持者)が少なからずいる。


他に巷間言われる新党大地鈴木宗男一派)の離反の影響は、私は無視できるほど小さいと考えている。NHK出口調査によると、自民・公明・民進・共産以外の政党の支持者は投票者の2%だったが、そのうち80%は池田候補に投票し、和田候補に投票したのはわずか20%。つまりそれが全部新党大地の支持者であったと仮定しても、投票者全体の0.4%でしかない。実際には「日本のこころ」がなんとかという政党の支持者にいるかもしれないから、もっと少ないだろう。今補選における北海道5区の投票者数は26万2374人(有権者数は45万5262人)だから、そのうち0.4%というと1000人強だ。他のブログの中には

たぶん和田氏が増えたのは、経済強化に期待する若手の票と、2〜3万票持ってると言われたムネオ票のごく一部(何千票か?)の分ではないかと邪推するです。

などと巷の無責任なうわさ話を垂れ流したところもあるが(上記のブログに限らず、某有名ブログも新党大地票の影響を過大評価していた)、北海道5区においては「ムネオ票」の影響は「2〜3万票」どころかそのごく一部の「何千票か?」ですらなく、他の極右政党の支持者もいたであろうことを考慮すると、鈴木宗男父娘の「裏切り」の影響は、北海道5区の補選においては多くとも1千票程度、おそらくは数百票程度でしかなかったと思われる。実際、NHK出口調査では、投票者のうち新党大地の支持者は「0%」と画面に表示されていた。0.5%未満だったということだ。

この件については、同じように北海道5区の選挙結果を分析している某「小沢信者」のブログが書いた、

大地の票が大きく自民候補のお役に立った形跡は無い。

という指摘が正しい。

やはり、2010年以降の自民党の党勢拡大と、今回の「野党共闘」によって共産党の固定票の一部が逃げた影響は無視できないだろう。巷間党勢拡大の言われる共産党ですら、昨年秋以来党勢が頭打ちどころか衰勢にあると私は見ているし、民進党に至っては共産党どころではなく、泡沫政党・維新の党によって党名変更に追い込まれた失態に呆れた支持者の離反などにより、党勢は衰退の一途をたどっている。党名変更以前に、未だに「ムダの削減」に余念のない民進党の「ネオリベ新自由主義)体質」にフラストレーションを感じる反自民系の人間は少なくない。もちろん私もその一人である。

さらに、「市民連合」やSEALDsなどが連日北海道入りして精力的に応援したが、それはどんなに多く見積もっても、2010年の補選における投票率53.48%を57.63%に4.15ポイント押し上げたうちの半分くらい、つまり投票率を2ポイント上げることができたかどうか程度の影響力しか与えられなかった(投票率上昇の残り半分は連合や共産党、また自公による組織の締めつけの効果だろう)、つまり「野党共闘」に魅力を感じた無党派層はその程度しかいなかったといえる。

共産党支持者についていえば、投票した足を運んだ共産党支持者の大半が池田候補に投票しているが、それは対立候補自民党候補しかいなかったから当然のことであって、共産党支持者の選択肢は事実上池田候補に投票するか、さもなくば白票を投じるかしかない。白票を投じるくらいなら棄権するのが普通だ。つまり、前回2014年と今回の補選で共産党支持者の投票率はどれくらいであったかが知りたいところだが、それに言及した記事を残念ながら私は知らない。

たとえば、もともと今回の補選に共産党から立候補を予定していた元候補予定者がいるが、その関係者や支持者の中には、民進党の候補になんか投票できるか、と思う人がいても全く不思議はない。というか私がその立場だったら確実にそう思って怒り、投票所に行って白票を投じたに違いないと思う。民主集中制に疑問を持たない共産党員や同党支持者の感覚は私とは違うのかもしれないが。

また、今回は民進党の役職を持つ候補が立候補したから民進党支持者の棄権ないし自民党候補への投票はほとんどなかったとみられるが、共産党系の候補が「野党共闘」で立候補した場合は事情が大きく異なるだろう。2009年の政権交代総選挙でも、香川3区など社民党候補が立って民主党が候補を立てなかった選挙区での社民党候補の得票はいたって少なく、自民党候補に引き離されて惨敗していたことを私は覚えている。共産党系の候補が立った「野党共闘」の選挙区で、民進党の支持者の票がそのまま共産党票に上乗せされることはまずあり得ない。

このように考えると、「野党共闘」はあまりにも前途多難であり、今回の池田真紀候補の得票が、単純なモデルで計算しても投票率が65%程度にまで上がらなければ自民党候補に勝てないほど少なかったことから考えて、一部の人たちによる「衆院北海道5区補選のようにたたかえば自公に野党共闘は全国各地で勝てる」などという見通しは、まるで先の戦争における大本営発表並みの誇大宣伝と断定せざるを得ない。

負けたあとにこそ冷静な結果の分析が必要なのだ。それを怠って、「このまま『野党共闘』を進めていけば参院選に勝てるぞ」などと声高に叫ぶ姿勢を、われわれ反自民無党派の人間は強く批判しなければならないと私は確信している。なぜなら、彼らの甘言に乗せられたあげくに、今は「死んだふり」を決め込んでいる安倍晋三衆議院を解散されて「衆参同日選挙」をやられた日には、日本の反自民勢力は先の戦争に負けた時に匹敵する致命的な敗北を喫することは目に見えているからだ。その最悪の事態を回避するために全力を傾注しなければならない時、それが今だ。