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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

投票率の割に池田真紀候補の得票が少なかった衆院北海道5区補選

「連合通信」より、中野晃一・上智大学教授のコメント。

野党共闘ならいい勝負になる/北海道5区の衆院補選結果/中野晃一上智大学教授


 夏の参院選の動向を占う選挙として注目された衆院北海道5区補選が4月24日に投開票され、自民・公明両党などが推す候補が当選した。初の野党統一候補となった池田真紀氏は惜敗した。この結果をどう見るのかを、安保法制に反対し、市民運動にも携わっている上智大学の中野晃一教授(政治学)に聞いた。

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 5区はもともと自民党町村信孝・前衆院議長の選挙区で、自民党の地盤と思われていた地域。そこで相当善戦したことは、今後野党共闘で闘うことの可能性を示したし、一定の成果があったと思う。

 他方で限界も見えた。議席を得られなかったのは、時間が足りなかったことに加え、野党間や市民運動との連携の問題も浮かび上がらせた。

 今回、市民運動は短期間で大きなインパクトを与えた。時間があれば、もっと浸透できたし、違う結果になったのではと思う。普通なら投票率の下がる補欠選挙で、前回衆院選から少ししか落ちておらず、50%台(約58%)に乗せている。これを60%台にできれば勝利は見えただろう。

 夏の参院選1人区でも野党候補統一の動きが進められている。今回の補選結果をみれば、この手法は間違っていないことがはっきりした。ここまでいい勝負ができたのは、市民運動の後押しがなければ想像できないことだ。

 参院選は期待できる。ただ、急がなければならない。民進党共産党の支持者はかなりの割合で池田候補に投票したが、それでも当選できなかった。両党はベースの支持層をもっと広げる必要がある。無党派層にとって、魅力的な受け皿となるようさらに努力してほしい。

(連合通信 2016年4月26日配信)

概ね妥当な認識だと思う。補選にしては投票率が高かったというのもその通りだ。但し、今回の補選が全国ニュースで頻繁に取り上げられて注目された以上、投票率が他の補選より高かったのは当然ではなかったかとも思う。さらに、この中野氏の文章をを引用した下記の記事になると、率直に言って認識の甘さは目に余るものがある。


なんといっても記事のタイトルがいただけない。「衆院北海道5区補選のようにたたかえば自公に野党共闘は全国各地で勝てる」とは到底いえない。「衆院北海道5区補選のようなたたかいでは自公に野党共闘は全国各地で勝てない」というのが正しい。

この記事に間に合わそうと思って完成しなかったので、今晩または明日以降に公開したいと思っているが、私は1996年から2016年までの衆院北海道5区自民党及び野党の得票率のデータに基づいて、2005年の郵政総選挙と2009年の政権交代総選挙という、有権者が冷静な判断を下したとは言い難い2度の選挙のデータを除外すれば、横軸に投票率、縦軸に反自民候補の得票率合計と自民候補の得票率との差をとってプロットすると、みごとな正の相関があることを確認した。そのグラフによれば、確かに中野晃一が言う通り、「投票率を60%台にできれば勝利は見えた」といえる。グラフからも、投票率60%弱で自民対野党はほぼ互角になることがわかる。

但し大きな問題点がある。それは、7度の選挙結果のデータを最小自乗法による線形近似で当てはめた直線よりも、今回の補選における池田真紀候補の得票率がかなり下にプロットされていることだ。グラフを提示していないのでわかりづらいが(グラフは今晩以降にアップします)、今回の投票率(57.63%)であれば両候補の得票率差は2.7ポイント程度であってしかるべきところを、池田真紀候補は和田義明候補に得票率で4.8ポイントの差をつけられていた。

これは、それだけ自公が徹底的な組織の締めつけなどによって票の掘り起こしに成功したのに対し、「野党共闘」側の票の掘り起こしが不十分だったことを意味する。

北海道5区は、確かに旧民主党王国*1・北海道にあっては自民党の強い選挙区だが、全国平均と比較すると民進党が強い選挙区であるといえる。

それなのに今回のような結果しか出せなかったのだから、「参院選での勝利に展望が開けた」と楽観するにはあまりにも不十分な結果だったとしか言いようがないのである。

*1:今なら民進党王国というべきか。それにしても「民進党」とはいつまで経っても抵抗のある政党名だ。全然慣れないどころか、この政党名をタイプするたびに不快感が込み上げる。