kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

朝日新聞社に長時間労働では初の是正勧告 電通だけではない、報じる側の課題は(BuzzFeed News)

マスメディアの会社ではよくある話だろうなと思った。

https://www.buzzfeed.com/kotahatachi/asahi-8520

朝日新聞社長時間労働では初の是正勧告 電通だけではない、報じる側の課題は
「襟を正さないといけない」
posted on 2016/12/09 05:01

朝日新聞東京本社が12月6日、社員に違法な労働をさせたとして、中央労働基準監督署(東京)から長時間労働での是正勧告を初めて受けていたことが、BuzzFeed Newsが入手した社内文書と同社への取材でわかった。

同社では、記者が記録した2016年3〜4月の2ヶ月分の出退勤時間を、所属長が短く書き換えていたことがBuzzFeed Newsの取材でわかり、11月に報じた。その報道をきっかけに、労基署が調査に入っていた。

電通事件に関連し長時間労働について批判的な報道が相次ぐなか、報じている側の「働き方」にも注目が集まる事態となっている。

BuzzFeed Newsが今回入手したのは、朝日新聞社労働組合がメールで配信した文書だ。

取材に応じた同社によると、労基署から指摘を受けたのは、財務部門に務める20代男性社員の労働時間。2016年3月の残業時間が法定外85時間20分と、定められた上限を4時間20分上回っていた。

是正勧告は行政指導で、法的な強制力はない。企業が違反でないと認識すれば是正する義務もないが、繰り返された場合は書類送検されることもある。

社員の体調の問題や、残業代の未払いはなかったという。取材に応じた管理部門担当者は「毎日勤務記録を付けるなどのケアはしていたが、決算の時期で、結果として(上限を)超えてしまった。職場の所属長には指導をした」と話した。

きっかけは「改ざん報道」

調査のきっかけとなったBuzzFeed Newsの記事は「朝日新聞社、上司が部下の『労働時間』を短く改ざん 基準内に収めるため」

ある記者が申請した2016年3〜4月の2ヶ月分の出退勤記録の残業時間にあたる「措置基準時間」が、所属長によって短く改ざんされていた、というものだ。

これを受け、労基署から過去1年間の労働時間が長い5人の勤務記録と、改ざんのあった記者の出退勤記録を提出するよう指示があったという。

同社はこの改ざんが発覚したあと、すべての所属長(数百人規模)を対象に実施した労務管理研修を10回に分けて実施。労基署からは「再発防止策も含め、しっかりと対応されている」との評価があった、と説明している。

今後の対策は

今回、超過があった財務部門は、勤務時間に応じて時間外手当などを支給する「単純時間制」の職場だ。同社では人事や労務、財務部門などで導入しているという。

一方、記者職種などでは把握が困難なため、協定によってあらかじめ所定労働時間を決める「みなし労働時間制」を導入している。出退勤記録で目安の「労働時間」を把握している状態だ。

担当者は「持ち場や仕事の性格上、代表的な長時間労働の職場はどうしても記者職種になってしまっている」と語る。

記者職種を含めた長時間労働対策には2年ほど前から取り組んでいるといい、「時短・WLB(ワーク・ライフ・バランス)の推進は重要な経営課題だと位置づけている」としている。現在は全部署で「仕事見直し」に取り組んでいるという。

担当者は、「報じる側として、襟を正してやっていかなければいけないという意識がある」と話した。

問題視されるマスコミの長時間労働

長時間労働の問題は、朝日新聞社に限ったことではない。メディア業界に蔓延している。2016年に始めて発表された「過労死防止白書」を見ると、その実態がよくわかる。

厚生労働省が企業約1万社(回答1743 件)、労働者約2万人(回答1万9583人)を対象に昨年、実施したアンケート結果。これによると、1年で残業が一番多い月の残業時間が「過労死ライン」とされている80時間以上だった企業の割合は、テレビ局、新聞、出版業を含む「情報通信業」が44.4% (平均22.7%)と一番高い。

是正勧告を受けている社は、他にもあるのか。

中央労働基準監督署の担当者は、BuzzFeed Newsの取材に「新聞社に特化した是正勧告を取りまとめたものはない」と答えた。

BuzzFeed Japanには新聞社から移ってきた記者も少なくない。私(籏智)もその1人で、朝日新聞社で働いていた。

土日に出勤し、平日は代休が取りづらい。事件や事故が起きれば、早朝から次の日の未明まで働く日々が1ヶ月以上続くこともある。新聞やテレビで記者をしていた人なら、多くの人がそういう経験があるだろう。

あるテレビ局の20代女性は、BuzzFeed Newsの取材にこう語っていた。

「マスコミってやっぱり、世間から見たら働き方が普通じゃない気がしています。午前1時や2時まで働いて、夜遅くまで飲み会をするのが頑張っていることみたいに、思いがちなんじゃないんでしょうか」

BuzzFeed Japan、籏智広太・井指啓吾記者署名記事)


異常な長時間残業の世界はメディア業界に限らずどこにでもあり、その悲惨な具体例も知っているし、場合によっては私自身が当事者であったこともあるといえるかもしれないくらいだが、メディア業界で特に多いであろうことは、夜討ち朝駆けという言葉などからも容易に想像がつく。

しかし、こうして具体例を突きつけられると、本来それを批判すべき側がこのていたらくではどうしようもないよなあと改めて思ってしまう。

産経はこの件にどう反応するかな。朝日を笑いものにした産経にブーメランが突き刺さる光景が目に浮かぶようだが。実際、「産経新聞残酷物語」という言葉があり、これは水野成夫による産経新聞社員の苛酷な首切りと紙面の右傾化を批判する1961年のパンフレットのことだが、首切りを免れるために長時間労働を強いられた産経の記者は昔も今もあまたいるであろうことは誰にでも想像できる。