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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「働かせ方改革」関連法案、衆院厚生労働委員会で強行採決

連休前から懸念していた「働かせ方改革」関連法案が、お決まりの委員会強行採決で可決されてしまった。

働き方改革関連法案:衆院委可決 高プロ巡り怒号、採決強行 - 毎日新聞

働き方改革関連法案
衆院委可決 高プロ巡り怒号、採決強行

 安倍政権が今国会の最重要法案と位置づける働き方改革関連法案は25日、衆院厚生労働委員会で自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決された。法案に盛り込まれた「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)の削除を求める立憲民主党などの野党議員が、高鳥修一委員長(自民)を取り囲み怒号が飛び交う中、採決が行われた。与党は29日に衆院を通過させ、参院に送付、会期末の6月20日までの成立を目指す。

 加藤勝信厚労相は可決後、記者団に「一日も早い成立を図りたい。参院でもご理解いただけるよう、真摯(しんし)に答弁する」と語った。

 この日の厚労委は、24日に衆院本会議で解任決議案が否決された高鳥委員長が職権で開催と採決の実施を決めた。野党側は、厚労省の労働時間調査の不適切データ問題で、新たに6事業場で二重集計するミスがあったことが分かり、反発。加藤厚労相不信任決議案を提出して対抗したが、衆院本会議で反対多数で否決され、委員会審議が再開した。

 立憲の西村智奈美氏は「過労死遺族の思いを受け止めたのであれば、法案から高プロを削除すべきだ」と改めて主張したが、野党側の質問時間が終了したとして採決に踏み切った。立憲などの野党は「採決は強行的で認められない」と抗議し採決に応じなかった。

 法案は高収入の一部専門職を労働時間規制から外す高プロの創設のほか、残業時間の罰則付き上限規制、正規・非正規労働者の不合理な待遇差を禁じる同一労働同一賃金の導入が柱で、労働基準法など八つの労働法規の改正が一つに束ねられた形になっている。与党と維新が提出した、高プロ対象者が適用後に本人の意向で撤回できる修正案も可決された。

 法案を巡っては、2月に裁量労働制に関する厚労省のデータに不備が見つかり、裁量労働制の対象拡大が法案から削除された。その混乱で閣議決定が4月にずれ込んだ。立憲など野党は高プロを「長時間労働につながり、過労死を助長する」として法案からの削除を求めている。【神足俊輔】


 ■ことば
高度プロフェッショナル制度

 高収入の一部専門職を労働時間規制から外す制度。対象は年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタント、研究開発職など「働いた時間と成果の関連性が高くない仕事」が想定されており、職種は省令で定められる。残業時間に対して割増賃金を支払うという労働基準法上の規定が適用されなくなる。健康確保措置として、年104日の休日取得を義務化した上で(1)働く時間の上限設定(2)終業から次の始業まで一定の休息を確保する「勤務間インターバル」(3)連続2週間の休日取得−−などから一つを選択する。適用に同意した人でも、自らの意思で撤回できる規定が加えられる。

毎日新聞 2018年5月26日 東京朝刊)


この法案については、先に裁量労働制の法案提出を断念させた時に、高プロも止めさせられるとの根拠のない楽観論が広がったことがあった。あの時に危ないなと思ったが、懸念が現実になった。

野党も世論もだらしなかったが、マスメディアの報道も熱が入っていたとはいいかねる。

https://twitter.com/mu0283/status/1000122651552067584

Mitsuko_Uenishi
@mu0283

一夜明けて朝刊。各紙は働き方改革関連法案の衆議院厚生労働委員会における採決強行をどう報じたか。
毎日は一面トップ。朝日は一面左上。読売は労基署業務の一部民間委託の記事の下に。東京は混乱の写真のみ一面掲載で三面につなげる。産経は一面はインデックスのみ。日経はインデックスにも掲載なし

14:13 - 2018年5月25日


以下は同じ上西充子氏による各紙各面見出し等の紹介(引用から著者名とタイムスタンプを省略した)。

https://twitter.com/mu0283/status/1000123919381098496

毎日:(1面)「働き方法案 衆院委可決 高プロ巡り怒号 採決強行」/(2面)「高プロ 懸念拭されず 働き方法案 衆院委可決 野党「定額働かせ放題」 与党「次はカジノ法案」/(5面)「働き方」野党抵抗に濃淡 立憲:従来型 国民民主:やや自制/(社会面)「人の命かかってるのに」(続)


https://twitter.com/mu0283/status/1000124596945764352

毎日:(社会面:つづき)「人の命かかってるのに 強引採決 傍聴席ぼうぜん 過労死遺族「悔し涙が出た」(遺影を手に委員会を見守る家族会の方々の写真)/(社会面)「高プロを聞く:森岡孝二【働かせ放題 危険な制度】/山田久【長時間労働 変革の一歩】」


https://twitter.com/mu0283/status/1000125381997805568

朝日:(1面)「働き方法案 採決強行 衆院委 自公維で可決」/(3面)「反発の中「高プロ」強行 政権の「最重要」働き方法案 総裁選前 会期延長回避狙う 野党:データまたミス「前提が崩れた」」(採決時の委員長席の混乱の写真と、遺影を手に見守る家族会の方の写真)/社会面は掲載なし


https://twitter.com/mu0283/status/1000126391885557760

読売:(1面)「労基署業務 一部民間に 事業所指導 人手不足補う」「働き方法案 衆院委可決」/(4面)「野党の抵抗戦術 不発 働き方法案 審議、与党ペースで」「労働時間調査デーデータ集計ミス 厚労相謝罪」/(34面)(続く)


https://twitter.com/mu0283/status/1000127191630266368

読売(つづき):(34面)「働き方改革 採決騒然 衆院委 過労死家族会は批判 「成果上がる」評価も」(写真は、「衆院厚生労働委員会働き方改革関連法案の採決を阻止しようと委員長席に詰め寄る野党議員」) なお、用語は「脱時間給(高度プロフェッショナル)制度」


https://twitter.com/mu0283/status/1000128089400070144

日経:(1面)(記載なし。インデックスにも記載なし)/(4面)「衆院委、働き方法案可決 厚労相不信任案は否決」(写真「野党議員が委員長席に詰め寄る中、働き方改革関連法案を可決した衆院厚労委」)/(社会面)(掲載なし)(他の面も掲載なし)


https://twitter.com/mu0283/status/1000129384857022464

東京:(1面)写真のみ「働き方法案 強行採決」(委員長や、文章を手に高く掲げる西村ちなみ委員など委員長席付近に加え、委員長席付近の混乱を着席で見守る加藤厚労大臣と、大臣に野党議員を近づけまいと手を伸ばして阻止する橋本岳・自民厚労部会長、加藤大臣の背後の藤枝労働条件政策課長も)(続


https://twitter.com/mu0283/status/1000129972013481984

東京(続き):(3面)「働き方法案 衆院委可決 与党 29日の本会議通過狙う」「8法案一括化で審議深まらず 発覚ミス 精査しないまま」/(社会面は記載なし。籠池夫妻保釈や、日大アメフト問題など)


https://twitter.com/mu0283/status/1000131065988567040

産経:(1面は「きょうの紙面」に【「働き方」衆院委可決 2・5・26】と、インデックスのみ)/(2面)「働き方法案 衆院委可決 厚労相不信任案は否決」/(5面)「野党 またも遅延戦術」(続く)


https://twitter.com/mu0283/status/1000131564938772480

産経(続き):(5面)「野党 またも遅延戦術 不信任決議案・長時間の演説・採決反発・・・働き方法案」/(26面)「働き方法案 採決、飛び交う怒号 傍聴席の過労死遺族ら神妙」(写真は「・・委員長に詰め寄る野党委員ら」)


https://twitter.com/mu0283/status/1000132020612120576

これが現実。新聞を読む人にとってさえ、昨日の出来事について、情報の与えられ方はこんなにも大きく違うし、情報が与えられないこともある。
確かに今日は大きなニュースが多い。けれど、ニュース番組よりは紙面はある。それでも、これが現実。
ここから出発するしかない。


いやはや、惨憺たるものだ。一番マシだったのは毎日新聞だったようだが、東京新聞朝日新聞はひどい。

読売や産経でさえ社会面で扱っているのに社会面に記事のない朝日と東京。東京に至っては、1面に文章の記事がない。また朝日は、毎日・読売・東京・産経には上西氏がツイート2件を費やしているのに日経ともどもツイート1件で済んでしまうほど情報量がしょぼい。

森友や加計のスクープ以来、「リベラル・左派」の間では朝日新聞を過剰に持ち上げる傾向が続いており、私はそれを憂慮していたが、馬脚を現した観がある。

東京新聞に至っては10年以上前から「リベラル・左派」に持ち上げられまくっているが、実態はかくの通り。

これらの新聞は、森友と加計さえ追及しておけば仕事をやったことになるとでも思っているのだろうか。ふざけるな、と言いたい。朝日の「スクープ」にしたって、もともと官僚などに友人の多い朝日の記者がリークしてもらったものに過ぎまい。そんな朝日を甘やかしている「リベラル・左派」諸氏もどうかしている。

また、読売は社会面で扱ったは良いが、用語の説明に「脱時間給(高度プロフェッショナル)制度」などと書いて、読者を騙そうとしている。

日経については、上西氏のツイートを引用(リツイート)した、こんなツイートがあった。

https://twitter.com/NTR730729/status/1000129862881824769

NTR0729
@NTR730729

民主党政権時代から一貫して思っているけど、産経や讀賣より、日経がこの政権を支え、世論に悪影響を与えている気がする。

ましてや読者の大半は雇われ側なのに…

14:41 - 2018年5月25日


そりゃそうだろう。日経は「財界の男メカケ」たちが作っている新聞だから。

多くは勤め人、つまり「働かされる側」である読者たちに、「経営者目線」で物事を考えることを強要するべく、折伏(しゃくぶく)を日々紙面で展開している新聞、それが日経だ。

なお、「財界の男メカケ」とは昔、安倍晋三の大叔父の佐藤栄作青島幸男が評した言葉。当時の新聞は、「男メカケ」とカタカナで表記した。

「財界の男メカケ」でググったところ、12年前のこの日記の記事が筆頭で表示されたのに苦笑してしまった。青島幸男の訃報に接して書いた記事だ。


当時は第1次安倍内閣時代だったが、安倍晋三は「ホワイトカラーエグゼンプション」法案で叩かれ、内閣支持率急落に見舞われていた。今は昔。