kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

国立(くにたち)が中東に化けた久保田早紀「異邦人」のアレンジ

久保田早紀の「異邦人」を初めて耳にしたのは1979年の終わり頃だった。一度聴いたら忘れられないイントロを持つ歌で、たちまち大ヒットし、久保田のファーストアルバム『夢がたり』も大いに売れた。このアルバムは、翌年、大学生協のレコード売り場だったかでよくかかっていた。

「異邦人」の大ヒットはイントロ抜きにはあり得なかっただろう。あれと比較できるインパクトのあるメロディーとしては、小さい頃に耳にした「メタルインドカレー」のテレビコマーシャル(それが関西以外ではほとんど知られていないという衝撃の事実を知ったのはつい最近のことだ)くらいのものだ。

その「異邦人」の大ヒットにもっとも大きく寄与したのは、久保田早紀本人ではなくアレンジャーだったようだ。

http://www.asahi.com/articles/ASK1J5R9QK1JUCVL02J.html

パチンコオヤジも手を止めた 編曲の魔法、世界観生む
藤崎昭子
2017年1月22日03時09分

 好きだったヒット曲を思い浮かべてほしい。歌のメロディーや詞を作った人の名は知っているかも。キラキラした伴奏や劇的なイントロで心をときめかせた編曲家(アレンジャー)まで挙げられたら、あなたはかなりの音楽通。

 歌謡曲黄金時代と呼ばれる1970、80年代。ヒットの陰には名編曲家がいた。編曲家の役割を大まかにいうと、楽曲から歌声を抜いたカラオケとして鳴る全ての音の譜面を作ること。ミュージシャンを交えたレコーディングの現場監督でもあり、その力量・センスに曲の印象や完成度は左右される。

 例えば1979年にヒットした「異邦人」。作詞・作曲の久保田早紀がイメージしていたのは東京・国立駅前の景色だった。それを刺激的なイントロでシルクロード風に染め変えたのは、編曲家の萩田光雄だ。当時、ジュディ・オングの「魅せられて」が売れていて、ディレクターが「エーゲ海の次は中東の砂漠だ」と発注した。

 「パチンコをしているオヤジが『お、何だこれ』と手を止める。そんなインパクトをつねに意識していた」と萩田は言う。(後略)

朝日新聞デジタルより)


ネット検索をかけたら、昨年10月に書かれた下記記事がみつかった。


また「異邦人」をペルシャ音階に絡めて論じた記事として下記を挙げておく。
http://wataruat.blog.jp/tag/%E9%9F%B3%E9%9A%8E(2013年4月5日)より

(前略)ウィキによると元のタイトルは「白い朝」だったそうで、確かにその句は歌詞の中に出てきます。

プロモーション上の理由から、タイトルは「異邦人」に変わり、「シルクロードのテーマ」という副題も付けられたとのこと。元のアレンジも違っていた・・・となれば、あの有名なイントロも後から加えられたのでしょう。

で、そのイントロですが、これがエキゾチックなイメージ(戦略)を見事に具現化しています。舞台をシルクロード辺りの場所と設定したあと、これを音楽上で表現する方法が"ペルシャ音階"だったのでしょう。

ペルシャ音階は、"ド、レ♭、ミ、ファ、ソ、ラ♭、シ"の七音音階で、レとラが半音下がるのが特徴。これを鍵盤で弾くと確かにペルシャ・・・しています。 ただそのまま(ドを根音として)使うと、三和音は"ド・ミ・ソ"となり、唄の部分(短調)と融合しません。そこでマジック?が・・・。

それは、ペルシャ音階の開始音をファ(?音)にすることで、和声短音階に近づけるという方法。音階は"ファ、ソ、ラ♭、シ、ド、レ♭、ミ"(階名で、"ド、レ、ミ♭、ファ#、ソ、ラ♭、シ")となり、?音が増4度となって独特の雰囲気を醸し出します。

ちなみに、「ペルシャの市場にて」(作曲:ケテルビー)の冒頭にもペルシャ音階の特徴音(レ♭)が認められます。この2曲が関連して聴こえるのはそのせいかもしれません。

なるほど。ペルシャ音階って七音音階なのに増二度の音程が二箇所もあるんだ。エキゾチックに聞こえるはずだよな。五音音階(または六音音階)なのに半音が二箇所もある沖縄の音階も独特だけど。
なお、前述の「メタルインドカレー」は上記に当てはめると"ファ、ラ♭、ド、レ♭、ミ"の五音音階のメロディーということになるかな。増二度の音程の印象が強烈なのは同じだが、音階は違う。

ところで久保田早紀だが、昔勤めていた会社の同僚が1995年にサンディエゴの教会で見かけたことがあると言っていたのを覚えている。確かオルガンを弾きながら歌を歌っていたとかそんな話だった。

実際ネット検索をかけると、2010年にもサンディエゴで「チャペルコンサート」をやっていたようだ。


http://www.manza.co.jp/message/Messenger.html を参照すると、「久米 小百合 師」とある。

久米 小百合 師

【プロフィール】
久米小百合プロフィール ミュージック・ミッショナリー音楽宣教師
東京生まれ。共立女子短期大学文科卒業。
東京バプテスト神学校神学科修了。
カーネル神学大学院博士過程修了(現代教会音楽専攻)。
1979〜84年、久保田早紀として音楽活動。
1985年音楽家久米大作氏と結婚。
久保田早紀としての音楽活動を引退。
以後は主にキリスト教会やミッションスクールを中心に、
教会音楽家として、音・言葉・絵画を組み合わせた新しい
スタイルのチャペルコンサートを行っており、
賛美の世界に奥行きと創造性を持たせるものとして高い評価を得ている。
ワールドビジョン・アソシエイトアーティスト。
2007年から2010年まで日本聖書協会の親善大使を務める。
ワーシップ・ジャパン講師。

2010年よりあとのことはよくわからないが、2013年にNHK-BSでインタビューが流れたことがあるようだ。