kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

森友学園事件の本質は「『階級固定化を目指す反動勢力』が仕掛けた思想戦」ではあるが

籠池泰典がまけてもらう金は数十億円でも。安倍昭恵のもらった報酬(謝礼)は数万円だか数十万円だか知らないが、田中角栄の5億円とは比べものにならないだろう。当の籠池の森友学園だってその財務状況は債務超過ともいわれる火の車で、それを国ぐるみで損失補填してやっているのは、極右の安倍晋三が総理大臣だからにほかならない。

いくら為政者が国民の命を自由自在に潰していける敗戦前の体制にトリモロそうとしても、小中学校が「戦後教育」をしていては権力に従順な子どもは育たず具合が悪い。それで「つくる会」の教科書が現れた。10年前には「あんなに右翼が躍起になってるけど『つくる会』の教科書のシェアは…」などとこちら側は馬鹿にしていたわけだが、それはあまりにも甘過ぎた。大阪(!)や横浜などの大都市で、右翼教科書の採択が相次いでいる。幼稚園児に異様な右翼教育を施していた森友学園の小学校進出は、それこそ日本の極右たちの悲願だったのだ。森友学園の後援会に登場した面々は、百田尚樹、藤浪源信桜井進、土屋秀宇、曽野綾子平沼赳夫青山繁晴竹田恒泰渡部昇一中西輝政櫻井よしこ、古庄幸一、藤尾秀昭、村上和雄松浦光修田母神俊雄中山成彬米長邦雄、昇地三郎。2013年に107歳で死んだ昇地三郎が102歳の時にやったという「102歳児世界一周講演旅行」という講演だけは主旨がよくわからないが、その他は復古イデオロギー全開の講演だったことがうかがわれる。


どう考えても安保法より森友学園を優先したとしか思えない2015年9月4日の安倍晋三の大阪入りも、瑞穂の國記念小學院の設立がそれほど大きな悲願だったってことだ。誰にとって、といえば、ひとことで右翼勢力とか極右勢力といった言葉で片付けられそうだが、要するに「階級固定化のプロジェクトにかかわる人たち」によって。階級固定化のプロジェクトとは、もちろんデヴィッド・ハーヴェイが『新自由主義』で用いた表現だ。これは純然たるイデオロギーであって、たとえば安倍夫妻は自分たちの子どもに世襲させようとしているわけではない(よく知られている通り、安倍夫妻には子どもがいない)。安倍晋三イデオロギーに生きる人間なのだ。だから、森友学園事件はもともとは「階級固定化のプロジェクトにかかわる人たち」がずっと昔に仕掛けて今に至るまで長年戦い続けている一連の思想戦の流れにある出来事であって、昔の「つくる会」の教科書の問題と同じ流れの上にあると見るべきだ*1

その意味で森友学園事件はロッキード事件とはまるっきり性格が異なる。これを「アッキード事件」というのは、単に安倍晋三(の妻のあだ名だが、妻は夫の意を受けて動いただけだ)がこの事件に深く関わっていることを表すための用語に過ぎない。ぶっちゃけた話、実質的には「安倍晋三事件」の体の良い言い換えなのだ。だからこそウケもしたし、安倍晋三が激怒もしたのだ。この言葉を国会で使った山本太郎に対する風当たりも追い風に相殺されている感がある。ただ、私も「太郎と洋平の友情はどうなることやらと心配」にはなるが(笑)、安積明子の「昭恵夫人個人が犯したミスであって安倍首相本人は免責されるかのような言説が広がりつつある」という認識は全くの的外れだ。安積氏の記事についた下記のコメントが的を射ている。先週の安積明子の記事は、東洋経済という石橋湛山の流れを汲む権威あるメディアに掲載されたから目を引いただけで、記事の中身は『きっこのブログ』と大差なかった。今週は保守派のライターが馬脚を現したという印象。

>そして「アッキード事件」という言葉がツイッター上で広がりを見せる中で、まるで昭恵夫人個人が犯したミスであって安倍首相本人は免責されるかのような言説が広がりつつある

全然そんな言説が広がってるようには見えないが。
アッキード事件と言ってるのは安倍晋三も怪しいと思ってる人ばかり。

逆に安倍晋三を免責しようとしてる連中はアッキード事件という言葉を安倍晋三と同様に嫌ってる。

変な方に話を持っていってるのはこの記事の記者の方。

それにしてもこの安積 明子の記事、毎回よそからの情報のまとめをしてるだけで、何1つ目新しいところがないな。

2017/3/3 17:10


なお、上記コメント欄の筆頭に表示されるコメントのように、この事件を「日本会議事件」と呼ぶべきだとの主張も見られるが、思想戦に思想戦で対抗する戦法はあまりにも拙劣だ。それでは世論を味方につけることはできない。国政の懸案が山積しているにもかかわらず、自らの思想戦を重視するあまり、わけのわからない利益供与にかまける安倍晋三や、その手下となって動いた官僚たち*2、さらには2012年に安倍をスカウトしようとした大阪維新松井一郎(と奥の院に控える橋下徹)に至るまでの面々がやらかしたことを暴いて初めて世論を味方につけることができる。だから私は今後も「森友学園(アッキード)事件」という表記を続ける。もっとも加計学園などの話も出てきたから、今後「森友学園」の部分の名称を変える可能性はあるが(「アッキード事件」ももし安倍晋三自身の関与がまともに問題になるなら「安倍晋三事件」にするかもしれない)、それでも「日本会議事件」などとは絶対に呼ばないつもりだ。いくら理屈が正しくても勝てない戦い方をすべきではない。

それからなんといっても痛いのは、思想戦と並行して行われている経済(政策)戦で、民進党野田佳彦(「野ダメ」)やそのロボットというべき蓮舫が、こともあろうに安倍政権よりももっと「新自由主義」的なしばき主義にいつまでもとらわれ続けていることだ。括弧付きの「リベラル」たちは、下記『広島瀬戸内新聞ニュース』の記事を読むべきだろう。

これが標準左翼だ!仏大統領候補のメランション氏、2730億ユーロの歳出拡大を公約 : 広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)(2017年2月27日)

これが、本来の左翼の政策です。

  • 欧州左翼 貧困撲滅・雇用創出のための積極財政。
  • 安倍晋三さん 原発輸出のための外国バラマキ、リニアや大型ハコモノのための積極財政。
  • トランプさん 管理貿易+大手企業が潤う積極財政+減税。
  • 小泉純一郎さんらポストモダニスト 緊縮財政。
  • 日本の一部リベラル(上野千鶴子さんら)・市民派 清貧主義。


以上の違いがあります。

ただ、日本の一部リベラルや市民派が、日本でも欧米でも支持されないのはわかります。 
共産党社民党自由党は「不徹底な欧州左翼」。清貧主義の一部リベラルに配慮してラジカルになりきれていない。
民進党は小泉的なポストモダニストと清貧主義リベラルと一部欧州左翼的な人のごった煮ですね。

http://www.excite.co.jp/News/world_g/20170220/Reuters_newsml_KBN15Z03X.html

仏大統領候補のメランション氏、2730億ユーロの歳出拡大を公約
ロイター 2017年2月20日 10時40分 (2017年2月20日 15時06分 更新)

[パリ 19日 ロイター] - 仏急進左派の大統領候補、ジャンリュック・メランション左翼党共同代表は19日、4─5月の大統領選に向け、景気刺激策などを目的に歳出を2730億ユーロ(2900億ドル)拡大するとの公約を示した。
同氏の政治運動「不屈のフランス」が発表した一連の公約によると、追加支出のうち、1000億ユーロは景気刺激策に充てる。また、増税や債務の増加、租税回避の抑制、経済成長率の加速によって追加支出を賄う方針も示した。
メランション氏は最低賃金の15%引き上げとともに、貧困撲滅や雇用創出に向けた新たな支出も公約。共産党も同氏の政治運動を支持している。
メランション氏と左派陣営のブノワ・アモン氏は17日、大統領選に向けた協力の可能性を巡り協議していると明らかにしていた。ただ、両氏が掲げる政策には隔たりがある。
メランション氏は、一連の施策によって失業率は現在の約10%から2022年までに6%に低下し、経済成長率は18年にも2%程度に上昇するとの見通しを示した。税負担は国内総生産(GDP)比で4ポイント上昇し、約49%となり、毎年の財政赤字は22年までに同2.5%まで低下するとした。


私見では自由党は(支持者*3は別として所属国会議員たちは)社共より民進党に近いと思うが、まあそれは些細な見解の相違だろう。

また、どういう人たちが「階級固定化プロジェクト」を支えていくのかを考える点で、同じ『広島瀬戸内新聞ニュース』の下記記事も参考になる。もっとも「赤坂飯店」(この日記では一緒になって騒ぐのが嫌だったから今まで取り上げなかったが)の会合が「安倍晋三が中堅記者たちを集めての作戦会議だったのではないか」との指摘は、私の知る限り『世に倦む日日』が一番早かったが。そういえば、一連のトランプ擁護の記事には全く感心しなかった『反戦な家づくり』が森友学園事件に関しては地元の建築士らしい見るべき記事を公開するなど、かつてよく見ていたけれども最近はご無沙汰気味のブログに接する機会が(昔のように)増えた。

【記者会食】「圧力」どころではない。「安倍晋三皇帝/昭恵皇后陛下」をお守りする作戦会議では? : 広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)

一昨日2月27日、安倍晋三皇帝ならぬ安倍晋三総理が報道各社キャップを「赤坂飯店」に集めて懇談とのこと。
民進党玉木雄一郎議員(アッキード事件追及で活躍中)は、以下のようにツイートしておられます。

https://twitter.com/tamakiyuichiro/status/836205416967086080

今晩、赤坂飯店で、安倍総理が主催する官邸記者クラブの各社キャップを集めた懇談会が開かれているらしい。森友学園問題で各社を懐柔することが目的との観測も出ている。メディアは権力の圧力に負けず、今こそ矜持を示しもらいたい*4

5:24 - 2017年2月27日


しかし、事態は、そんな甘いものではないと思います。

今回の懇談会は、言ってみれば「各社の安倍総理べったり」というよりも「安倍総理の腹心になるまで総理と癒着した」記者たちが集まったのではないか?


総理との関係を通じて出世しよう。そういう人たちが集まったのではないか?


いまや、安倍総理に逆らえる自民党議員はほとんどいません。なにしろ、小選挙区比例代表並立制では、党首の権力は異常に強い。総理に逆らって自民党公認を外されたら、落選確実だから。そして、司法はもともと、行政府に対して及び腰です。立法も司法も逆らわないとなれば、安倍総理はまさに独裁者と言うよりは「皇帝」そのものです。


そういう総理と癒着して出世をしよう。そういう記者が中堅クラスにおられる。そういう記者からすれば、とにかく、

「安倍皇帝をお守りしなければならない。」のです。


実際には、安倍昭恵「皇后」がらみで夫の総理自身も相当ヤバいのではないか?総理自身がそこまで深く絡んでなくても、です。欧米で、森友学園問題がこれ以上報道されても総理としては外交的には針のむしろである。


「どういう方向で、陛下をお守りするか?」

「どうやって、森友学園から目を反らさせるか?」

そういうことで頭がいっぱいでしょう。


もちろん、各マスコミにも骨のある記者はたくさんいます。

安倍総理に「朝日新聞に勝った」とトランプに自慢された朝日新聞の骨のある記者は「よし、みていろ!」という思いがあると思う。


これからマスコミ内部のせめぎ合いが激化するでしょう。

安倍側近vs骨のある記者

でのせめぎ合い。

我々は、少しでも後者を応援したいと思います。


あと、昨日(3/3)にはNHKの『あさイチ』が小池百合子をスタジオに呼んで翼賛放送を垂れ流すわ、石原慎太郎が突然(かどうか、ここしばらくは豊洲の問題を全然追ってなかったから知らないのだが)会見に現れ、テレビは例によって全局「小池百合子 vs. 石原慎太郎」のプロレスに熱中していたらしい*5。昨夜は報棄ても23も見なかったから伝聞でしかないが。

そんな毒を消すために、最後に爽快なTwitterを引用する。

https://twitter.com/kimuratomo/status/837631592138862592

きむらとも
@kimuratomo

「ホントあの幼稚園気持ち悪いよね。関わってた昭恵さんも気持ち悪。安倍さんが、あんな考え方だったって全然知らなかった。なんか怖〜い。早く首相辞めて欲しいよ」今まで政治の話などしないスタッフさえ「安倍早期退陣」を望み始めた。日本、まだ捨てたもんじゃないよ安倍総理@AbeShinzo。

3:51 - 2017年3月3日


「安倍さんが、あんな考え方だったって全然知らなかった」という人の今までの認識には正直言って頭痛がするが、「なんか怖〜い。早く首相辞めて欲しいよ」とはあまりにも正常反応。そうだよ、それで良いんだよ。

一刻も早く "AbEnd"(安倍晋三の終了=異常終了)を!、と思わず10年前のフレーズで締めくくってしまった今日この頃なのだった。

*1:今回はたまたまその流れに乗っていた籠池というボートの漕ぎ手が下手くそだったため、籠池のボートの櫂がはねたしぶきが朝日新聞大阪社会部の記者の服に当たって気づかれたといったところだろうか。

*2:お役所の世界では、政治家が役所に来るだけで上を下への大騒ぎになると、筑波の産総研から経産省に一時出向していた人に聞いたことがある。一時は事務次官レースから外れたと見られていながら安倍の政権復帰で次官の目が出てきたなどと噂される迫田英典が安倍晋三の意に沿って動いたことはさもありなんと思わせる。もちろん長州閥でない他の事務次官レース参加者には安倍の威光を背に受けた迫田の台頭は面白くないに決まっているから、彼らから迫田に関する情報が共産党民進党やジャーナリストたちに流れたことは想像に難くない。

*3:いわゆる「小沢信者」の中には「反米右翼」も少なくないが、その議論は今日はしない。

*4:原文ママ

*5:もしかして例の都会保守のブログがつられて取り上げてないかと思って見に行ったが、まだ取り上げてなかった。