kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「昭恵氏付職員に買い取り陳情=籠池氏が手紙で」(時事通信)&『BuzzFeedNews』,『醍醐聰のブログ』

森友学園(アッキード)事件に関する野党(特に民進党)や一般の「リベラル・左派」の追及や批判で私がもっとも苛立つのは、「官僚の安倍夫妻への『忖度』ではないか」という論法による追及だ。
私はそれを耳にしたり目にしたりするたびに、いつも「官僚の忖度じゃないよ、安倍夫妻の口利きだよ」と思うのだ。それに関しては後述の醍醐聰氏のブログ記事を参照するとして、まずはこの事件に関して昨日もっとも注目されたと思われる下記の件から。

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032800951&g=pol

昭恵氏付職員に買い取り陳情=籠池氏が手紙で−参院決算委

 学校法人「森友学園」(大阪市)の籠池泰典氏が安倍晋三首相夫人の昭恵氏付の政府職員宛てに送った手紙で、大阪府豊中市の国有地について「早く買い取れないか」と陳情していたことが明らかになった。共産党大門実紀史氏が28日の参院決算委員会で、独自入手した手紙の内容を公表し、菅義偉官房長官も確認した。
 大門氏によると、手紙は2015年10月26日付。政府が表書きを公表した書簡と同一とみられる。この中で籠池氏は、早期買い取りや賃料の半減などを要望。同学園は16年6月に国有地を格安で購入しており、大門氏は「籠池氏の要望は全て実現している。満額回答だ」との見方を示した。
 昭恵氏付職員が15年11月に籠池氏に送ったファクスでは、定期借地契約などについて財務省の回答を伝える一方、売却には触れていない。菅長官は決算委で「(財務省の回答は)内容からして、まさにゼロ回答だった」と述べ、昭恵氏付職員が売買に関して便宜を図っていないとの認識を示した。
 菅長官はこの後の記者会見で、籠池氏からの手紙について「(国会の決定があれば)積極的に提出したい。(財務省の)忖度(そんたく)がないとよく分かってもらえる」と表明した。

時事通信 2017/03/28-18:47)


この件は『BuzzFeedNews』に詳しい。

【森友学園】籠池氏の手紙が「忖度」につながったのか。野党は「満額回答」 政府「ゼロ回答」

森友学園】籠池氏の手紙が「忖度」につながったのか。野党は「満額回答」 政府「ゼロ回答」
籠池理事長が2015年10月、国有地取引に関連して安倍昭恵夫人の秘書に送った手紙の内容が公にされた。

2017/03/28 18:13
Kota Hatachi
籏智 広太 BuzzFeed News Reporter, Japan


森友学園の土地取引をめぐって議論の的となっている、籠池泰典理事長に対して送付された安倍昭恵夫人の秘書のFAX。

「資料を受け財務省に確認した」などと記されており、野党は「昭恵夫人の関与があった証拠」「忖度につながった」との追求を続けている。一方の安倍晋三首相は「ゼロ回答であり、なんら影響はなかった」という姿勢を崩していない。

そんな中、FAXが送られる前、籠池理事長が秘書に送った手紙の内容が3月28日、国会の場で公にされた。いったい双方は、どんなやり取りを交わしていたのか。

(Twitter2件の引用を省略=引用者註)

そもそも籠池氏は、手紙への返信であるFAXが送られてきた頃から、国有地取得にかかわる手続きの決定スピードが速まったと主張。

昭恵夫人の秘書が財務省に問い合わせをしたことで、財務省官僚が「忖度」することにつながったのではないか、と述べている。

FAXには「本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」と記されていた。ただ、昭恵夫人Facebookで「報告は受けたが、内容について関与していない」とコメントしている。

明かされた手紙の内容

籠池氏が2015年10月26日に秘書宛に送った手紙の内容はこれまで判明していなかったが、共産党大門実紀史参議院議員がこの日、初めて参院決算委員会で言及した。

手紙を持っていた菅義偉官房長官には、野党が予算委員会での提出を求めていたが実現しなかった。共産党は「独自に手紙のコピーを入手した」という。

1. 定期借地契約について

大門議員の質疑によると、籠池氏は手紙でこのように依頼しているという。

「定期借地契約が10年間なのは短すぎる。50年契約にしてほしい。そのうえで、早く買い取ることができないか」

一方、谷氏から「先日頂戴しました資料をもとに、財務省国有財産審理室長の田村嘉啓氏に問い合わせを行い、以下の通り回答を得ました」として送られた内容はこうだ。

「通常、国有地の定借は3年を目安にしているが、今回は内容を考慮し、10年と比較的長期に設定したもの。他の案件と照らし合わせても、これ以上の長期定借は難しい状況」

延期は実現しなかったが、手紙を送ってから8ヶ月後、2015年6月に森友学園は土地を購入している。

2.賃料について

月227万円だった賃料について、籠池氏はこう要望しているという。

「賃料が高い。半額程度にしてもらえないか」

財務省はFAXで、契約内容についてこう答えているだけだ。

「土壌汚染の存在期間中も賃料が発生することは契約書上で了承済みとなっている。撤去に要した費用は、第6条に基づいて買受の際に考慮される」

籠池氏の要望後実現した売買契約を月額にしてみると、森友学園の負担は月100万円以下になっている。

2016年6月、森友学園は「1億3400万円」で国有地を購入した。「10年間分割払い」の支払いは前例がない。

頭金は約2800万円。残りの1億円あまりは、「毎年1100万円、延納利息1%」で支払う契約だった。12ヶ月で割れば、約92万円程度になる。

3. 立て替え払いの工事費用について

森友学園が立て替えていた国有地のごみ撤去費用については、こうだ。

平成27年度予算で工事費を立替えした分を返してくれと言ったが、28年度に遅れるとは何事か」

FAXではこう回答されている。

「27年度の予算での措置ができなかったため、28年度での予算措置を行う方向で調整中」

実際、立て替えていた約1億3200万円が国から学園に支払われているのは、2016年4月だ。

これについて「スピードが早すぎる」という指摘がある。ただ、麻生太郎財務大臣は、すでに「特に珍しい話ではない」という見解を示している。

「満額回答でないか」

大門議員はこのやり取りを披露したうえで、こう指摘した。

「FAXだけを見るといかにもゼロ回答が並んでいるように見えるが、手紙と突き合わせると、要望はすべて実現したことになる。ゼロ回答どころか満額回答だ」

手紙を全文読んだという菅義偉官房長官は、こう反論した。

「内容からして、まさにゼロ回答であったと思っている」

FAXの中には、こんな文章がある。

「現状ではご希望に沿うことはできないようでございますが、引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、何かございましたらご教示ください」

共同通信*1によると、政府はこの日、土地売買などにかかわる各省庁への政治家からの不当な働き掛けは「一切なかった」とする答弁書閣議決定した。

また、日経新聞によると、菅官房長官は決算委後、会見で、手紙について「理事会で決めて頂ければ積極的に提出をしたい」と述べた。

(『BuzzFeedNews』より)


実は、大門議員の質問に先立つこと3日前に、『醍醐聰のブログ』に下記記事が出ていた。私はこれを反戦な家づくり 【森友疑獄事件】安倍晋三は嫌いだけど昭恵さんは大好きという方へ(2017年3月28日)からのリンクで知り、昼休みに喫茶店で醍醐氏のブログ記事をガラケーの見づらい画面で読んだあと、夜帰宅してから大門議員の質問を知ったのだった。

なお、下記の引用に際して、文字に色をつけたり太字にした箇所はもとの醍醐氏の記事とは異なる。また画像等の引用は省略した。前者について大まかに言うと、私が読者の注意を喚起したい部分を赤字ボールドにして、元の記事の赤字の部分は青字ボールドに変えた。また、元の記事では見出しが赤字ボールドになっているのを黒字ボールドのmediumサイズに変更した。

ゼロ回答ではなく、「口利きの顛末」を報告した文書~安倍夫人付き政府職員発のFAX~: 醍醐聰のブログ(2017年3月25日)

ゼロ回答ではなく、「口利きの顛末」を報告した文書〜安倍夫人付き政府職員発のFAX〜
2017年3月25日

「忖度」か? 「ゼロ回答」か?

 23日に行われた森友学園・籠池理事長の証人喚問の中で、籠池氏が示した「籠池理事長宛ての安倍夫人付き官邸職員のファックス」(2015年11月送信)は森友学園の校地用土地取得への安倍夫人の関与を裏付ける数少ない物証として注目を集めている。
 というのも、安倍首相は森友学園問題をめぐる国会質疑の場で何度か、自分、自分の事務所、昭恵夫人が国有地の取得に関わっていたとなれば総理大臣も国会議員も辞めると明言してきたからである。それだけに官邸もこの文書の位置づけを薄めるのに躍起になっている。

 昨日(3月24日)の衆参予算委員会での質疑を見ると、野党議員はこうした官邸の公式見解を正面から質すには至らず、「忖度」を物語る文書だと追及するにとどまった。
 これに対して、安倍首相、菅官房長官は、「このFAXは籠池氏側からの問い合わせに事務的に応答した文書に過ぎず、内容もゼロ回答であって忖度では全くない」と口をそろえて説明している。

 忖度と言うなら、安倍夫妻が広告塔となったことで森友学園の案件が「首相案件」と受け止められ、さまざまな「忖度」を生んだことは官邸がどう言おうが政府職員の間では常識だろう。
 しかし、国会の場で「忖度があったのではないか」と質すことにどれくらい意味があるのか? 「忖度などありません」と答弁されたらそれまでだ。

FAXの別紙に注目すべき

 そうした押し問答で終わらないためには、昭恵夫人付きの政府職員が籠池理事長宛てに送信したFAX の本文だけでなく、「別紙」を注目することが重要だ。この別紙とは昭恵夫人付き政府職員に宛てた「財務省国有財産審理室長・田村善啓氏からの回答である。ここには2つの注目すべき点がある。

売却時の価格に言及〜国有財産の売却に安倍夫人が関与した証拠〜

 一つは次のような記述である。

3 土壌汚染や埋蔵物の撤去期間に関する賃料の扱い
・・・・土壌汚染の存在期間中も賃料が発生することは契約書上で了承済みとなっている。撤去に要した費用は、第6条に基づいて買受の際に考慮される。

 ここで注目されるのは、定期借地契約で謳われた買受特約を将来、森友学園が行使する場合、埋蔵物の撤去費用は買受価格から差し引かれることを籠池氏側に、この政府職員が伝えている点である。
 時系列でみると、森友学園が近畿財務局と当該土地につき、買受け特約を付けて10年を期間とした有償貸付契約を締結したのは2015年5月29日だった。この時の不動産鑑定価額は9億3200万円とされていた。
 この返信FAXは、定借期間を10年超に延長してもらえないかという依頼だったが、昭恵夫人付きの政府職員からの回答は、それは難しいと「ゼロ回答」して終わりではなく、定借期間の延長の件とは別に、買受特約を実行した場合の価格にも触れているのである。
 森友学園が買受特約の実行を近畿財務局に申し出たのはそれから4カ月後の2016年3月24日で、その13日前に森友学園は当該土地に杭打ちをした際、新たに地下埋蔵物が発見されたと近畿財務局に連絡していた。
 森友学園が定借から買受に転換した理由はまだ不明だが、2015年11月の時点で、昭恵夫人付き政府職員を通じて、財務局国有財産審理室長からの回答という形で、買受時には埋蔵物の撤去に要する費用が差し引かれると知ったことが買受への転換を判断する要素の一つになった可能性がある。
 その点は推測の域を出ないとしても、安倍夫人付きの政府職員が安倍夫人に寄せられた籠池氏の依頼を受けて財務局国有財産審理室長に問い合わせをした結果を籠池氏に伝えた文書の中で、将来の買受価格の算定に関する財務省の考え方が含まれていたことは、昭恵氏の関与が定借の条件変更にとどまらず、買受にも及んでいた事実を示すものであり、安倍首相が繰り返し否定した、「私の妻が国有地の売却に関与した」証拠として重大な意味を持つ。

政府の予算措置にも言及した事実の重み

 安倍夫人付きの政府職員が籠池理事長に宛てて送ったFAXの「別紙」の中で、もう一つ注目すべき点は、森友学園が定借した国有地の土壌汚染と地下埋蔵物の撤去のために立て替えた1億3,000万円の精算の目途について次のように言及している点である。

4 工事費の立て替え払いの予算化について
 一般には工事終了時に清算払いが基本であるが、学校法人森友学園国土交通省航空局との調整にあたり、『予算措置がつき次第返金する』旨の了解であったと承知している。平成27年度の予算での措置ができなかったため、平成28年度での予算措置を行う方向で調整中

 財務省国有財産室長名で森友学園に関わる政府の予算措置にも言及した情報が、安倍夫人付きの政府職員が籠池理事長に宛てて送ったFAXに含まれていたことは極めて重要である。このような回答が一政府職員からの問い合わせを介して、一民間法人たる森友学園の理事長に送られたのは首相夫人たる昭恵氏の肩書/関与抜きには考えられない。
 このことは、籠池氏が要望した定借期間の延長に関しては「ゼロ回答」だったとしても、森友学園が立て替えた工事費の精算については、予算措置で調整中という具体的な対応を伝えていたという点である、この点で問題のFAXは「ゼロ回答」でないのはもちろん、「事務的文書」でもなく、森友学園に対して財務省内の国有財産所管部署が、首相夫人付きの政府職員を介した森友学園からの要望に対して、様々に対応していた事実を示す証拠として重大である。

FAXの「別紙」を見れば安倍首相の言いくるめは破たんする

 安倍首相は24日の国会答弁で、問題のFAXは「国有財産に関する問い合わせに対する一般的な内容である」と内容の重大性を薄めるのに懸命になっている。

 しかし、以上で紹介したFAXの「別紙」を吟味すると、財務省国有財産室長名の回答は、「国有財産に関する問い合わせに対する一般的な回答」どころか、定借期間の延長に関しては「ゼロ回答」でも、

  1. 買受特約をする場合の売却価格に言及しており、その意味では国有財産一般ではなく、森友学園への当該土地の売却条件にも触れている。
  2. 定借中に森友学園が行った土壌汚染、地下埋蔵物の撤去に要した費用の精算に係る政府の予算措置の見通しに言及している。この点でも、「国有財産に関する問い合わせに対する一般的な回答」どころか、昭恵夫人付きの政府職員を介した森友学園からの要望に対する財務省の具体的な対応を伝えた文書であることは明らかである。


 昭恵夫人付き政府職員から籠池理事長宛てに送信されたFAXの内容を以上のように検討すると、安倍首相自身の意思が働いていたかどうかは不明としても、首相夫人という肩書で昭恵夫人付き政府職員が財務省の国有財産所管部署に問い合わせをかけ、それに対して当該部署が当該職員を経由して籠池理事長に、将来の国有財産の売却条件まで触れた回答をしていた事実が明確になる。
 しかも、その売却条件というのが、8億円の値引きに繋がる埋蔵物撤去費用の扱いを伝えたものであったことは、昭恵夫人が「問題の国有財産の売却に関与していた事実」を具体的に示すものであり、安倍首相が国会で繰り返し明言した同氏の進退につながるといって差し支えない。野党は、今後、「忖度」云々の議論から脱して、物証のあるこの点を具体的に質していく必要がある。

(『醍醐聰のブログ』より)


野党のみならず市井の安倍(夫妻)批判派も、民進党議員やマスコミ報道に引きずられて「忖度、忖度」などと連呼するのではなく、事件を「安倍(夫)妻*2による口利き」と正しく位置づけてもらいたいものだ。

なお、『醍醐聰のブログ』では、この記事を書いている時点では最新の記事になる下記の記事も必読だ。

*1:https://this.kiji.is/219298016746341879「政府、昭恵夫人に公用旅券」)にリンクが張られているが、リンクの誤りであろう=引用者註。

*2:ここで「(夫)」としたのは、例の2015年9月3,4日の件から安倍晋三の口利き疑惑はきわめて濃厚であるものの、物証が出てきていないからだ。私自身は「安倍夫妻の口利き」であろうとの心証を持っている。