kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「森友問題 忖度ではなく『請託』」(ニュースサイト『HUNTER』)

昨日(3/29)も書いたばかりだが読者の食いつきが極端に悪いのでもう一度書くと、「忖度」ではなく「口利き」だ。あるいはこの記事から引用する記事が書く通り、「忖度」ではなく「請託」だ。だが、右を見て左を見て自分の意見を決める人たちばかりのこの世の中、野党議員(特に民進党議員)が「忖度」と言い、マスコミが「忖度」と言い、周りの「リベラル」仲間が「忖度」と言うから私も「忖度」と言う、といったところなのだろう。どっかの狷介な一匹狼が「忖度ではなく口利き」だといくら言っても耳を傾けないというわけか*1

試しに「忖度ではなく口利き」を検索語にしてGoogle検索をかけると、下記上久保誠人の記事が上位で引っかかる。


いうまでもなく上久保は、安倍晋三支持の立場に立ち、森友学園問題に見るスキャンダルが安全保障リスク化する懸念 | 上久保誠人のクリティカル・アナリティクス | ダイヤモンド・オンライン(2017年2月28日)に

現在の厳しい国際情勢下で、安倍政権が倒れたら誰が喜ぶのかということを忘れるべきではない。

と書いた人間だ(これに対し、私は上久保の主張とは正反対に、安倍晋三その人こそ日本の国防にとっての最大のリスクであると考えている)。同じ記事で上久保は

安倍政権・自民党と保守派の不適切な関係を断ち切らせるべきだ

とも書いている。つまり、今回の森友学園事件を機に、安倍晋三は上久保のいう「保守派」(つまり日本会議に代表される極右)と縁を切り、「グローバルインテリである僕ちゃんの思い描くような政治をしてね」という意味合いを込めて安倍晋三を支持し、お守りしようという立場の人間だ。

そんな人間が「森友学園問題の真相は財務省による『忖度』ではないか」と書く時、それは森友学園事件を「官僚の忖度」のせいにして矮小化し、安倍政権を守ろうという意図で書かれたという以外の解釈はできないのである。

よく指摘されるように、「忖度」という言葉を使った時点で、「権力者がその意図を持たなかったのに官僚(たとえば迫田英典など)が勝手にやったこと」になってしまうのだ。

これで思い出されるのは、経産省ノンキャリア官僚のT氏(本日以降、イニシャル表記にすることにした)が勝手に責任を負わされている言語道断の話だ。この件については「国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ」と銘打たれたブログ『すくらむ』の下記記事だ。同内容の『BLOGOS』の記事で知られているようだが、ここではオリジナルの方にリンクを張っておく。この記事は必読だ。


上記記事のブロゴス版についた「はてなブックマーク」の人気コメント7件をあげておく。

vabo-space これはひどすぎる 安倍昭恵 安倍政権 内部告発 森友学園政治疑獄 本当に不当すぎ。議員秘書の身代わり出頭とは違って、自分の意思で婦人付を選択した訳ではなく上からの辞令で配置され、そこで一生懸命仕事していたらこの仕打ち…この件に口を閉ざす安倍総理夫妻は人として失格だよ

shigo45 抵抗不能な下位者に責任を押付け自明な事実を嘘で捻じ曲げる。官房長官はFAX文書の「当方」を「当然谷さん」と答弁。これらを受容する事は、人道に悖る行為や日本語や真っ当な常識まで破壊する行為を受容することだ。

tekitou-manga お仕事頑張った人に唾かける美しい人

nabeteru1Q78 国家公務員組織内部からの告発。谷さんが独断で動くことは行政組織の内部の理屈ではあり得ないこと。

natuboshi 平民は貴族の道具なのか

citron_908 行政 政治 「一般的に役所は政治家とその秘書からの問い合わせについては、〇政(まるせい)案件と言って、その問い合わせ内容と回答について、かなり上に報告しているはずです」普通に考えて個人だけでそんな話はしないよなあ

btron 日本古来の伝統的対応。安倍自民党らしい対応という感じ。


T氏の場合は明らかな「トカゲの尻尾切り」だが、事件を全て「官僚のせい」にしてしまうのも、それがたとえ財務省事務次官を狙っているとの噂のある迫田英典を含む高級官僚であっても「より胴体に近い尻尾切り」に過ぎない。安倍夫妻の免責が意図されている。

それを示すのが、下記『Yahoo! 知恵袋』だ。

口利きと忖度の違いを教えて下さい。 - 「口利き」は依頼者が相手方に... - Yahoo!知恵袋

dtydr163さん
2017/3/24 09:29:21

口利きと忖度の違いを教えて下さい。


ベストアンサーに選ばれた回答

gtylngさん
2017/3/24 09:35:04

「口利き」は依頼者が相手方に働きかけること。

「忖度」は依頼者の働きかけ無く相手方が依頼者の意向を汲むこと。


その通りだ。「忖度」という言葉を使った時点で、たとえ発話者の意図がそうでなかったとしても安倍晋三安倍昭恵は事件とは無関係であると認定したことになるのだ。たとえば上久保誠人などが明確にこれを意図して世論の誘導を図っていることは明らかだ。それなのに野党(特に民進党)や世間一般の「リベラル」までもがいとも簡単にこの罠に引っかかってしまう。ああ、安倍内閣の支持率がこの期に及んで5割を超えているとはそういうことなんだな、と思う。

今回のネット検索で見つけた記事として下記をあげておく。

森友問題 忖度ではなく「請託」|政治ニュース|HUNTER(ハンター)|ニュースサイト

森友問題 忖度ではなく「請託」
2017年3月28日 09:17

 幕引きを図るつもりが疑惑拡大。国会の証人喚問に応じた森友学園籠池泰典理事長が、安倍晋三首相の妻、昭恵夫人から100万円の寄付をもらったと証言。昭恵夫人付きの経済産業省職員が、籠池氏に「口利き」をうかがわせるFAXを送っていたことまで暴露された。
 渦中の昭恵夫人は、フェイスブック上で寄付を否定。公式な場での釈明がないまま、一方通行の情報発信に走ったことで、疑念を膨らませる形となっている。
 不可解なことだらけの森友問題。国会での議論も、おかしな方向に走っている。

■通用しない首相=身内の証言
 首相は「刑事罰に問われるような事案ではないから、証人喚問は不当」と言うが、とんでもない間違いである。公人であろうが私人であろうが、頼まれて役人に口利きし、国有財産の借用や売買に影響力を行使するのはルール違反。見返りを受けていれば、犯罪行為であろう。そもそも、刑事事件の被疑者や被告の家族が無罪を訴えても、証明力が弱いと見なされるのが普通。身内同士では、かばい合うのが当たり前だからだ。首相の夫人擁護は、身内をかばうためのもの。国民を納得させるだけの説得力はない。もっとも、籠池氏側の証言が事実なら、総理の座はもちろん、議員バッジまで外さなければならないのだから、首相とて本当のことを話すわけにはいくまい。「首相が言っているから正しい」は、この場合、通用しない。

これは「請託」だ!
 100万円の寄付の件以上に問題なのは、夫人付きの経産省職員が森友の国有地賃借に絡み、出身省庁でもない財務省に、わざわざ問い合わせしたことなのだ。よほどの関係でなければ、起こり得ない。籠池氏側は、権力を使って財務省を動かそうとした。昭恵夫人安倍晋三と一体の関係なのだから、間に付き人がいようといまいと、こうした場合の要請は「請託」と見なすべきだ。首相は国会で声を荒げ、昭恵夫人の潔白を強調しているが、肝心の昭恵夫人は公式の場で釈明しておらず、疑惑は拡大する一方となっている。報道機関の世論調査によれば、昭恵夫人の証人喚問を求める声は、国民の半数以上。首相周辺が庇えばかばうほど、首相本人や昭恵夫人への疑念が大きくなる状況となっている。

「忖度」などあり得ない
 今年の流行語大賞に選ばれそうな「忖度」(そんたく)についても、おかしな使われ方をしている。忖度など、役人の世界ではあり得ないからだ。ある霞が関の官僚OBは、こう話す。
「役人が忖度なんて、そんなバカな。役人は上からの指示を忠実にこなすのが使命。指示もないのに、国有財産を安く払い下げたりするはずがない。昭恵夫人付きの女性は、経産省の職員だというが、所管違いのことを、勝手に財務省に問い合わせるなんてことは、通常はできない。昭恵夫人の指示か、経産省の上司にお伺いを立てたかのどちらか。彼女が勝手に動くことは絶対にない。結果的にタダ同然で国有地を払い下げたのは、相当な立場の政治家か官僚が動いた証拠。忖度があった、なかったで騒ぐ野党も、相変わらずバカだなと思う

 非常識極まりない学校法人が提出した小学校の認可申請に、なぜ大阪府私学審議会が「認可適当」の判断を下したのか?次に、通常ではあり得ない8億円もの値引きで、国有地払い下げが決まったのか?森友学園を巡る疑惑は、この2点に絞られよう。籠池氏の証言が事実なら、第一の疑問には日本維新の会の関与が疑われるし、第二の疑問には昭恵夫人の力添えが疑われる。いずれについても、その過程で見返りの存在が明らかになれば、刑事事件になることは必至。公人、私人に関係なく「役所」を動かした以上、当然のこととなる。野党がどこまで核心に迫れるか――。忖度がどうのと騒いでいる間は、期待する方が無理かもしれないが……。

(ニュースサイト『HUNTER』より)


正論そのものだ。うん、うんとうなずきながら読んだ。

一方、全く感心しなかったのがブログ『日本がアブナイ!』だ。


まず記事のタイトルからしておかしい。まるで安倍晋三は早く事件について騒がないようになってほしいと思っているのに、菅義偉西村康稔らが勝手に「籠池を告発する」といきり立っているみたいな書き方だ。

そうではなかろう。国会の質疑で野党議員が言ってもいないことに勝手にキレ、自民党籠池泰典参考人招致にさえ難色を示しているというのに、籠池のマスコミに対する発言に瞬間湯沸かし器のようにブチ切れていきなり「籠池を呼べ! 証人喚問だ!!」と騒ぎ出したとされているのは安倍晋三その人だ。

以下、上記のダメブログの記事から引用する。なお、このブログの通例(悪弊)として、新聞記事等からの引用に際してリンクが張られていないので、探してそれらへのリンクを張った。

 安倍側近の下村博文氏も、26日にTV番組や記者の取材で、虚偽の証言が多いと評価していたのだが。「野党の協力がないので、偽証罪の告発をするのは困難だ」と言い出した。(・o・) <下村氏は安倍氏の代弁をすることが多いので、もしかして、安倍首相も裁判沙汰にしたくないのかな〜と。また昭恵さんが法廷や公の場で何を言うのか読めず、急に思いがけないことを言っちゃうおそれもあるので、外ではしゃべらせたくないという思いもあるかも。^^;>

籠池氏発言「偽証罪で告発難しい」 自民・下村氏

下村博文自民党幹事長代行

 (学校法人「森友学園」への国有地売却問題をめぐり、野党が求める安倍晋三首相の妻昭恵氏の証人喚問について)昭恵夫人フェイスブックでしっかりと(学園の)籠池(泰典)氏の証人喚問に対して反論し、官邸も必要な情報を全部出している。する必要がない。

 (籠池氏を偽証罪で告発する可能性について)籠池氏は(証人喚問で)相当事実と違う、偽証罪に問われるべき発言が多々あった。ただ、(告発は)慣例で全会一致のため、野党の状況をみると難しい。あとは司直の手によって対処するという懸案が出てくる。(朝日新聞17年3月26日)

* * * * *

 しかし、この下村氏の発言に公明党が不快感を示し、自民党の竹下国対委員長も賛同したという。。(-_-)

「偽証罪『慣例』発言、下村氏は筋違い」 公明・赤羽氏

 ■赤羽一嘉衆院予算委員会理事(公明党

 先日、森友学園の籠池(かごいけ)(泰典)理事長の証人喚問が行われた。それを受け、自民党下村博文幹事長代行が「偽証罪に問われるべき発言が多々あった」とする一方で「告発は委員会の全会一致が慣例となっているため、今の野党の状況を見ていると難しい」と述べておられる報道があったが、別に下村さんに何の権限もあるわけではなく、予算委員会の現場ではこれから検討を始めるということだ。

 慣例は慣例としても、ルールとしては3分の2以上あれば告発はできるということであり、予算委員会であれだけ平気でウソをついたことについて、何らかのやっぱり形を付ける必要があるのではないかと私は思っている。これはこれからの委員会の現場での話なので、この前の(下村氏の)発言は、現場を預かっている理事としてはちょっと筋違いなのではないかとはっきり申し上げておく。(党の会合で)(朝日新聞17年3月28日)


【森友学園問題】公明・大口善徳国対委員長 下村博文幹事長代行の籠池氏の告発「難しい」発言に不快感 - 産経ニュース

 公明党大口善徳国対委員長は28日、自民、公明両党の国対幹部会合で、自民党下村博文幹事長代行が学校法人「森友学園」(大阪市)の籠池泰典氏に対する偽証罪の告発は「難しい」との認識を示したことに不快感を示した。「不用意な発言だ。(告発するかどうかは)衆参両院の予算委員会と国対が決めることだ」と述べた。

 自民党竹下亘国対委員長は「同じ考えだ。党幹事長室にその旨を伝える」と応じた。(産経新聞17年3月28日)


 また安倍首相も、「籠池氏の証言は真実ではない」「妻は100万円を渡していない」「財務省への問い合わせにも関与していないし、忖度もされていない」と主張し続けているのであるが。<誰に習ったのか、やたら「悪魔の証明」という言葉を連発している。^^;>

 27日には(負けず嫌いの?)菅官房長官が国会で野党の質問に答えて、突然、「偽証罪で告発することも検討している」と言い出したため、委員会室がざわめくことに。安倍首相が、ちょっとビックリした顔をして、菅長官のことを見ていたのが印象的だった。(・・)

(『日本がアブナイ!』より)


この記事を読むと、まるで安倍晋三は早く騒動が下火になってほしいと思っていて、下村博文はそんな安倍の意向に沿ったコメントをしたのに、公明党議員や菅義偉が勝手に籠池を告発しろといきり立っているかのような印象を受ける。

そんな馬鹿な。ブログ主は一体何を考えているのか。

下村博文が言った「(告発は)慣例で全会一致のため、野党の状況をみると難しい」というのは一般的な常識論だ。これまで、与野党の意見が一致しないのに証人喚問を受けた証人を偽証罪で告発した前例はないと聞いている。

これに対して安倍晋三本人が額に青筋を立てて怒っているのだ。大口善徳だの竹下亘だの菅義偉だのの発言は、すべて安倍晋三の意を受けてのものだ。そんなこともわからないのか。

ちなみに安倍晋三の思い描いているロジックは、「自分や妻の昭恵は絶対に嘘をつかない。籠池泰典の証言は、私や妻の言い分と矛盾する。だから籠池は偽証している」というものだと言われている。私はその説に最初にお目にかかった時、「本当かよ。本当ならなんて酷い『人治主義』、なんて酷い『夫婦独裁政治』なのかよ」と呆れ返ったが、その後の与党政治家のコメントを接すると、本当に安倍晋三がそう考えているとしか解釈できなくなった。

これは空恐ろしい事態であり、いまや一日も早く安倍政権を終わらせなければならなくなった、との極めて強い危機感を抱いているのだが、上記ブログ記事はそんな危機感をみじんも感じさせない「極楽トンボ」であるとしか私には思えないのだ。

一つにはブログ主は明らかに従来から安倍昭恵に好感を持っていたように見受けられるので、騒動が早く下火になってほしいという願いが根底にあって、だからこういう記事になってしまったのではないかと邪推するのだが、それにしてもこの記事はあまりにもひどい。

「リベラル」がこのていたらくでは、よほどのことがない限り安倍政権はこの語数年間は続くと覚悟せざるを得ないのだが、上記ブログ記事に限らず、このところの「リベラル」はどうしてここまでダメダメになってしまったのだろうか。三宅洋平の例に典型的に見られるように、「安倍晋三の最大の補完勢力」である安倍昭恵の毒が、ここまで「リベラル」たちの全身に回っていようとは、と背筋が凍りついた今日この頃なのである。