kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

2.26事件の主犯・磯部浅一の遺書を保管していた「西郷隆秀」は西郷隆盛の孫だった?


少年時代の1976年に発覚したロッキード事件で大久保利春の名前を知った時、「歴史で習った大久保利通の孫なんだ!」と感激(?)したことがあった。しかしその後、東条英機の倅・東条輝雄が三菱重工業副社長を経て三菱自動車工業社長・会長を歴任したりなどの例を知るにつけ、実業界でも権力者の子孫が出世する例は後を絶たないのだなあと鼻白むようになった。

さて、昨日(5/24)読み終えた松本清張の『昭和史発掘』の最終巻(第9巻)に西郷隆秀という人名が出てきたのだが、この人もたぶん西郷隆盛の孫ではないか。



2.26事件の主犯・磯部浅一の遺書をめぐって西郷隆秀の名前が出てくる。以下引用。

 軍は、憲兵隊にその(磯部浅一の遺書の=引用者註)出所を徹底的に追及させた。遺書は登美子(磯部の妻=引用者註)から直心道場の黒田某の紹介で西郷隆秀という人の手で保管されたが、戦後、それが西郷から預かった池内某の金庫にあることが分って、陽の目を見た。

松本清張『昭和史発掘』第9巻(文春文庫新装版,2005)230頁


清張は「西郷隆秀という人」としか書いていないが、「西郷隆秀」でググるWikipediaが出てきた。

西郷隆秀


西郷 隆秀(さいごう たかひで、生年不詳 - 1985年)は、日本の教育者。

拓殖大学理事長を務めた。西郷隆盛の孫である。


略歴

 1955年(昭和30年) - 学校法人拓殖大学理事長就任
 1964年(昭和39年) - 拓殖大学理事長退任。


家系

 祖父:隆盛(陸軍大将)
 父:菊次郎(京都市長


その他

拓殖大学では同大学の『西郷隆秀顕彰記念外国人留学生奨学金』の創設者として知られる。また八王子キャンパスの購入仮契約の際の理事長でもある。

多分この人なんだろうな、と思った。確証はないけど。

もしこの西郷隆秀が西郷隆盛の孫だったら(というか多分そうなんだろうけど)、陸軍の「皇道派」というのは西郷隆盛系列ということになる。平沼騏一郎の圧力や近衛文麿の弱腰などもあって死刑を逃れた真崎甚三郎(もちろん真崎自身の立ち回りも狡猾だった)も薩摩出身だし。まあ西南戦争を引き起こした西郷と2.26事件を引き起こした「皇道派」が同じ流れというのは直観的にも納得できるな、などと勝手に決めつけてしまった。