kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

幹部自衛官の「国民の敵」発言を軽々に見過ごしてはならない

これは本当に軽く見過ごしてはならない話だ。

議員罵倒:「国民の敵」発言は3佐 防衛相「適正に対処」 - 毎日新聞

議員罵倒
「国民の敵」発言は3佐 防衛相「適正に対処」

 防衛省は17日、統合幕僚監部指揮通信システム部の30代の3等空佐が、民進党小西洋之参院議員と16日夜に国会近くの路上で偶然遭遇した際に、「不適切な発言」を繰り返したと認めた。小西氏によると3佐は「お前は国民の敵だ」と繰り返し罵倒した。河野克俊統合幕僚長が17日、議員会館の小西氏の部屋を訪れて謝罪。小野寺五典防衛相は「適正に対処する」と話し、統幕が処分も検討する。野党は「実力組織の統制に大きな疑問を持たざるを得ない」(希望の党玉木雄一郎代表)と反発している。

 小西氏が17日の参院外交防衛委員会で明らかにした。小西氏と防衛省によると、3佐は16日午後9時前、帰宅後のランニング中に小西氏と出会った。3佐は「小西だな」と言った後、現職自衛官だと自分から明かして繰り返し罵倒。警備中の複数の警察官が集まった後も「気持ちが悪い」などとののしり続けた。小西氏が「服務規定に反し、処分の対象になる」と撤回を求めたが撤回しないため、同省の人事担当に電話するなどした。3佐は最終的に態度を改め、発言を撤回したという。

 自衛隊法は、隊員に選挙権の行使を除く政治的行為を原則として禁じ、品位を保つ義務も課している。河野氏は記者団に「自衛官が国民の代表である国会議員に暴言と受け取られるような発言をしたのは大問題。極めて遺憾だ」と話した。

 小西氏は国会で自衛隊イラク日報問題などを取り上げ、小野寺氏の管理責任などを追及している。玉木氏は17日の記者会見で、1938年に佐藤賢了陸軍中佐が当時の帝国議会で議員のヤジに「黙れ」と発言したことに触れ、「由々しき問題だ。80年たって非常に嫌な雰囲気が漂ってきた気がする」と指摘。社民党又市征治党首も会見で「批判的なことを言ったら『非国民』というのと同じだ」と強調した。

 小西氏は記者団に「かつて青年将校が『国民の敵だ』『天誅(てんちゅう)だ』と叫んで政治家を暗殺した。現職の自衛隊幹部が国会議員を国民の敵だと何度も言い放った暴挙は、民主主義において許してはいけない」と語った。【前谷宏、立野将弘】

毎日新聞 2018年4月17日 21時34分(最終更新 4月18日 00時01分)


私の買わない玉木雄一郎だが、今回はまともなことを言っている。

玉木が持ち出した陸軍中佐・佐藤賢了の野次はつい最近話題になったばかりだ。

例の灘高・東大法学部卒の経産官僚にして首相秘書官の佐伯耕三が玉木雄一郎自身の質問に対して野次を飛ばした一件だ。

国会で議員以外が野次を飛ばしたのは憲政史上2回目で、前回がその佐藤賢了の野次だったという。

今回は国会内での出来事ではないが、事実上の軍人、それも統幕幹部の佐官(3佐は昔の軍隊なら少佐に該当する)が文民を「非国民」呼ばわりしたのだから、佐伯耕三の野次以上に深刻な問題だ。

不思議なのは、この3佐が実名報道されなかったことだが、いずれ実名が出てくるのかもしれない。それこそ週刊新潮あたり率先して実名を出しそうだが、今週号には間に合わないだろうから、それまでの間に新聞や放送で実名が出るかもしれない。

この一件に関するツイート。

https://twitter.com/y_choro1/status/986252261406867457

ちょろ
@y_choro1

稲田朋美防衛大臣だったときに「大臣は頼りない」みたいなことを広報物に書いた自衛官といい、小西洋之に「国民の敵」などとほざいた3等空佐といい、自衛隊の中に政治を疎かにしたり反体制を危険視したり、無知な国民を我々が導くのだといった、自衛官にあるまじき考えを持ってるのいませんかね。

7:37 - 2018年4月17日

ところが私の見るところ、呟きの主が懸念されているよりも事態はもっと深刻だ。

というのは、アブナイのは何も自衛官に限らないのだ。

たとえば、上記に書かれた稲田朋美について自衛官が「大臣は頼りない」と広報物に書いた時、それに拍手喝采した「リベラル」(または都会保守)がいた。

それは、長く政治ブログを書いている自称中道の人で、一貫して安倍晋三前原誠司らには批判的だが、それでいてご自身は一時期小沢一郎に熱心に肩入れしたり、橋下徹に期待したり、4年前の都知事選で細川・小泉連合を応援したり、小池百合子民進党との連携に「ワクワク」したりしていた。私は長くそのブログを読んでいたが、さすがに最近は見に行く気がしなくなってご無沙汰している。その人が自衛官と一緒になって稲田朋美を笑いものにしていた。これについてはその当時、この日記で批判したことがある*1

この人に典型的に見られるように、「リベラル」の間にも事実上の軍人の跳ね上がりに全く無頓着な、文民統制を頭では理解しているつもりではいても全然身についていない人たちが多いのではないか。

その無神経・無感覚が現在の「崩壊の時代」を招いた一因になっている。

そういえば、NHKはこの件を全く報道しなかったと複数の人がつぶやいていた。

今朝になって報道したのかどうかは知らないが、公共放送のこの呆れた現状に対しても、厳しい批判が欠かせない。

*1:この時件の「アブナイ」氏は、「頼りない稲田大臣」と引き比べて、第1次改造安倍内閣防衛大臣を務めた小池百合子を、あろうことか「りりしかった」とほめたたえたので、私は激怒したのだった。