首相補佐官となった矢田稚子(やた・わかこ)元民民参院議員(2022年落選)について、TBSの報道をコメント欄で教えていただいたが、未明の記事で別件にて批判したこたつぬこ氏が同じTBSの報道をリンクして下記Xをポストしていた。
「矢田さんとは距離を置く」連合会長が訣別宣言 元野党議員“総理補佐官就任”の波紋と野党分断
— こたつぬこ🌾野党系政治クラスタ (@sangituyama) 2023年9月23日
「連合としては矢田さんとは距離を置く。矢田さんが政争の具に使われないよう、願うだけです」
矢田と、矢田を送り込み受け入れた玉木くん、麻生さんがどれだけ組合を傷つけたか https://t.co/2g0qpTsfA3
弊ブログは公人の人名は基本的に呼び捨てだが、こたつぬこ氏の敵方人士に対する呼び捨ては珍しい(味方の公人はしばしば呼び捨てられる)。それほど強い矢田に対する敵意が感じられる。
また最後の文章の「矢田を送り込み受け入れた玉木くん」の意味がややとりにくいが、「矢田が自民党のスカウトに応じて首相補佐官として岸田内閣に送り込まれることを受け入れた玉木雄一郎」という意味だろうと私は解した。
以下、XからリンクされたTBSニュースを引用する。
「矢田さんとは距離を置く」連合会長が訣別宣言 元野党議員“総理補佐官就任”の波紋と野党分断
9/24(日) 7:02配信
9月15日、国民民主党の元参院議員で、党の副代表も務めた矢田稚子氏の総理補佐官起用が閣議決定された。
矢田氏は高卒でパナソニックに入社し、パナ労組の幹部を経て、電機メーカーの労働組合でつくる「電機連合」の組織内議員として参院議員を1期務めた。労働組合出身の元野党議員が政府の要職に就くという極めて異例な事態に、連合内では動揺が広がる。岸田政権が目指す「野党の分断」は着実に進みつつある。
9月13日午前9時半、東京・千代田区の連合本部。電機連合のトップ、神保政史・中央執行委員長が芳野友子・連合会長のもとに駆け込んだ。
「官邸からパナソニック本社に『政府の要職に矢田さんを起用したい』と打診があった。しかし、その要職が何か分からない」
矢田氏は去年の参院選で落選し、政界引退を表明したばかり。神保委員長と芳野会長は、それぞれ慰労のため矢田氏と会食もしたばかりだったが、寝耳に水だったという。
翌14日、連合本部では定例の中央執行委員会が行われることになっていて、続々と幹部が集まる。
「どうやら、総理補佐官らしい」
しかし連合としては確認が取れず、静観するしかなかった。
午後1時半、中央執行委員会が始まったが、出席者によれば、「みんな上の空」。異様な空気が支配する中、「総理補佐官に矢田氏起用を検討」の速報が流れる。出席者はスマートフォンでニュースを確認し、「うわー」という声も上がったという。
「電機連合さんからお話があるそうです」
委員会終了時、芳野会長が神保氏に発言を促すと、憔悴した様子の神保氏は、こう話すのが精一杯だった。
「いろいろ報道が出るかもしれませんが、ご承知おき下さい」
■「こんなこと間違っている」古巣の反発
最も強い衝撃を受けたのは、矢田氏が直前まで所属していたパナソニックグループ労連だ。岩脇寛己書記長はJNNの取材にこう答えた。
「今回の補佐官就任は、我々の労働組合活動の延長ではないということはぜひご理解ください。我々が今まで行ってきた活動と、総理補佐官就任はつながっていません。労使関係で言えば、矢田さんは“使”側に行ってしまうという話ですから」
「報道の前日、会社(パナソニック)から連絡がありました。矢田氏本人から事前に相談はありませんでした」
組合は 慌てて矢田氏本人に連絡を取り、「周りに影響が出る。しかもそれが大きすぎる」と総理補佐官の就任を辞退するよう説得したが、矢田氏は応じなかったという。
ある電機連合関係者は、「辛すぎる。こんなことはできれば経験なんてしたくなかった。組合員に対して申し訳ない。こんなことは間違っている」と吐き捨てた。
複数の連合関係者からは「今回は政府・自民党からパナソニック本社に対して打診があった。自分たちは蚊帳の外で、なす術はなかった」という話が聞かれた。
ただ、これに対し、ある立憲関係者は「今頃そんなことを言っても、きっかけを作ったのは自分たちじゃないか」と厳しく断じた。
つまり、3年前の野党合流に反発し、与党に融和的な国民民主党の玉木路線を支えたのは、他ならぬ電機連合を含めた民間産別ではないか、その延長に国民民主党の連立入り交渉や総理補佐官人事があったのではないか、という指摘だ。
今回の件についてパナソニックからは、以下の回答が寄せられている。
「当社グループ社員の矢田稚子さんが内閣総理大臣補佐官という重要な役割を担われることを大変光栄に思います。
国会議員時代も含めたこれまでの経験を生かして大いに挑戦していただきたいと考えており、その取り組みに対して一企業として微力ながら支援してまいります。
総理補佐官就任の経緯に関しては、回答を控えさせていただきたくご理解のほどお願いします」
■芳野会長「20年来の同志だが、今後は距離を置く」
この混乱に何を思うか。矢田氏とは「20年来の同志」だという連合・芳野会長はJNNの取材にこう答えた。
「今回、政府から直にパナソニックに連絡があって、矢田さんはパナソニックの社員として受けたということです。なので、連合としてはコメントしません」
芳野会長は固い口調で言葉を選んだ。しかし、堰を切ったように語り出す。
「ただ、連合の組織内議員だった事実がある。今までは、連合の政策が実現できるようにやりとりはしていましたけど、これからは政権の中枢に入ったので、立場は完全に違いますから」
そして、こう言い放った。
「連合としては矢田さんとは距離を置く。矢田さんが政争の具に使われないよう、願うだけです」
■国民の連立入り騒動再燃
当の矢田氏は周囲に対し、「総理補佐官就任は政局とは無関係」と、一連の報道に不満を漏らしているというが、立憲民主党のある議員は「もし本当にそう思っているなら、あまりに無邪気」と指摘する。
岸田政権は、水面下で国民民主党との間で連立を視野に入れた交渉を行い、矢田氏の起用はその文脈の一つで、もし上手くいかなかったとしても、「野党の分断」が図れれば良い、と見るのが自然だ。
交渉に関与している与党関係者は、今回の人事について、「国民民主党との連携が進みつつある表れだ」とほくそ笑む。
国民民主党の玉木代表は21日に収録されたTBSのCS番組「国会トークフロントライン」で、矢田氏の総理補佐官就任について「途中から知っていた」と明かした。
さらに、連立入りに向けた交渉をしていたか問われ、「所属議員にいろんな話やアプローチがあったと報告を受けている」と、否定しなかった。
連合幹部は「自民党は、国民民主党との連立交渉を諦めていない」と考え直し、組織の分裂を避けるため、事態の沈静化を図ろうとしている。近く、連合としての見解を示す予定だという。
TBS政治部野党キャップ 新田晃一
TBS NEWS DIG Powered by JNN
URL: https://news.yahoo.co.jp/articles/8f464e358c5db46f8026a541457ce7a1a6154907
この件に関しては、記事の中程に出てくる「立憲(立民)関係者」の意見が全面的に正しい。なお弊ブログは立憲民主党の略称を「立民」と表記しているが、これはNHKなども用いている一般的に通用する表記だ。ところが立民支持層の中には「立民呼ばわり」などと文句を言って「立憲と呼べ」と強要する向きがある。しかし「立憲」では一般名詞である立憲主義と区別がつきにくいことと、一部立民支持層の「『立民呼ばわり』批判が腹立たしいので「立民」で押し通すことにしている。そもそも「立民呼ばわり」を非難する連中はなぜNHKに文句をつけないのか不思議でならない。蛇足だが国民民主党は「民民」、某新選組は現元号が弊ブログの使用禁止ワードなので3文字なら「新選組」、1文字なら「組」と表記している。2文字の略称はほとんど使わないが、使うとしたら「新選」だろうか。
話がそれたが、芳野友子は泉健太と並んで20年代初めの労働界(泉の場合は野党)に自ら大きなダメージを与えた人だった。泉は21年秋の立民代表から22年夏の参院選までの「提案型野党」路線が最悪で、あれで党の比例票を2〜4割減らした。その後の維新へのすり寄りについては、提案型野党路線が党の参院選総括で否定されたから、党右派出身の党首としては自然な選択肢だったのかもしれないが、今にして思えばあれは立民よりも維新の方にメリットがあった。維新はあれで「自民党ではなく野党」だとアピールすることによって統一教会批判から一定程度逃れることができたからだ。その統一教会批判は鈴木エイト氏らの奮闘などもあってかなり長く続いたが、今年に入ると下火になり、そのタイミングで統一地方選を迎えることになったので、維新はさっさと立民を足蹴にして統一地方選を戦い、狙い通り大躍進を遂げてそれ以降政党支持率でも立民を逆転したばかりかかなりの差をつけて現在に至っている。しかしこれらの責任を立民の泉健太代表は全くとろうとしない。
連合会長である芳野友子の自民へのすり寄りは泉立民よりもっと長く続いた。今年2月には自民党大会への出席目前まで行ったくらいだ。ネット検索をかけたら当時の朝日新聞デジタルの有料記事がヒットした。
せっかくだから朝日新聞デジタル記事の「プレゼント」機能を初めて使ってみることにした。25日13時20分頃までは全文が読めるのではないかと思う。記事の引用は省略する。冒頭にリンクしたこたつぬこ氏のツイートに麻生太郎の名前が出てくる理由もよくわかるだろうし、最近話題のさる人物の毒々しい笑顔にもお目にかかれる。私など頭に血が昇ってしまった(笑)
そんな芳野友子も今では多少は改心したのかもしれないが、これまで労働界に与えたダメージは相当大きかったに違いないと思う次第。