kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

のっぴきならない段階に達した「崩壊の時代」

また先週火曜日から更新していなかったが、その間とんでもないニュースがいろいろあった。

たとえば、自民党衆院議員の穴見陽一受動喫煙対策を訴える肺がん患者に対して「いい加減にしろ!」と野次を飛ばした件。


あるいは、防衛大が2014年に行ったアンケートで、4年生の過半数が「粗相ポイント制」と呼ばれる激しい下級生いびりをしたことがあると答えていた件。この結果は、当時公表されず隠蔽されていた。


そして、もはや定番と化した安倍内閣支持率の「V字回復」。特に上昇幅の大きかった日経の記事を以下に掲げる。


以下、日経記事から引用する。

内閣支持率、10ポイント増の52% 不支持率と逆転

 日本経済新聞社テレビ東京による22〜24日の世論調査で、安倍内閣の支持率は52%となり、前回の5月下旬の42%から10ポイント上昇した。不支持率は5月の53%から42%に下がった。支持率が不支持率を上回るのは2月以来、4カ月ぶり。

 内閣支持率は2月に56%だったが、学校法人「森友学園」「加計学園」の問題などを受け、3月以降は40%台前半に低迷していた。支持すると答えた人に理由を複数回答で聞くと「国際感覚がある」が37%で最も多く、「安定感がある」の36%、「指導力がある」の22%が続いた。安倍晋三首相の外交手腕に期待が高まったとみられる。

 支持率を男女別に見ると、男性56%(前回48%)、女性45%(同33%)だった。

 首相と加計学園の加計孝太郎理事長が愛媛県の文書に記載された約3年前の面会をともに否定している主張に「納得できない」は70%だった。「納得できる」は20%にとどまった。森友学園への国有地売却問題を巡り財務省が決裁文書改ざんの関係者を処分したことで同問題が「決着した」は18%で、「決着していない」の75%を下回った。

 安倍政権が今国会の重要課題に位置づけるカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案への賛否を聞いたところ「反対」が53%で「賛成」の33%を上回った。内閣支持層では「賛成」が49%と「反対」の36%より多かった。

 調査は日経リサーチが22〜24日に全国の18歳以上の男女に携帯電話も含めて乱数番号(RDD方式)による電話で実施。990件の回答を得た。回答率は47.2%。

日本経済新聞 2018/6/24 18:04)


これは、南北首脳会談から米朝首脳会談へと進んだ流れに、安倍晋三が「蚊帳の外」に置かれているとの論評(これが正当な評価だろう)に対して、官邸がNHK、読売、産経といった「御用メディア」を使って「外交の安倍」キャンペーンをやらせた結果、手もなく騙された日本国民が多かったことを示す。

一方、野党及び反政権系人士たちの頽廃は目を覆うばかりで、立憲民主党は早くもネオリベ化が目立つようになり、当初同党が支持を集めた「下からの(あるいは草の根)民主主義」の看板と実態との乖離が明らかになって、おそらくそれが原因となって、ここにきて政党支持率を大きく落としている。また、先のカジノ法案に自由党と国民民主党が反対したが、なぜ2013年にカジノ法案を自民・維新と一緒に国会に提出した生活の党*1の後身である自由党が今回は反対しているのか、同党はその理由を説明していないし、説明を求める声もいっこうに上がらない。党代表の玉木雄一郎がカジノ議連のメンバーに名を連ねる国民民主党も同罪だ。

また、先の新潟県知事選での完敗に対しても、敗因の分析や総括を封じる空気が醸成された。あるブログは「野党系の池田候補はよく頑張ったと思うし。このまま6党派で共闘して行ければと願っている」などと書くかたわら、「小泉父子、安倍・加計のウソを批判」などと題した記事を書いて小泉純一郎・進次郎という過激な新自由主義者たちをあてにする情けない姿をさらしていたが、こんな姿勢は何も市井のブロガーにとどまらないことを示す記事が産経に載った。

共産・志位和夫委員長、小泉純一郎元首相と脱原発で連携意向

 共産党志位和夫委員長は24日、脱原発に向けて小泉純一郎元首相と連携する考えを示した。前橋市での演説会で発言した。

 志位委員長は、原発推進から転換し、「原発ゼロ」を掲げる小泉元首相を「筋が通っている」と評価し、「協力してやっていきたい」と述べた。4野党が3月に国会に提出した「原発ゼロ基本法案」にも触れ、「原発問題でも野党共闘の旗がしっかり立った」と述べた。

(産経ニュース 2018.6.24 17:37更新)


志位和夫はいったい何をやっているのか。小泉純一郎と連携したところで票を減らすだけだ。小泉が足を引っ張るだけの存在であることは、既に2014年の東京都知事選において細川護煕舛添要一はおろか宇都宮健児にも得票が及ばなかったことで既に証明されている。

しかし、「民主集中制」の原則によって党執行部に逆らうことができない共産党員は、執行部の急激な右傾化に追随して、本心からかどうかはわからないが急激に右傾化している。先にネオリベ化したと指摘した立憲民主党ももともと少なくない右翼政治家を掲げているから、「野党共闘」自体が大きく右傾化しているのが実態だ。

なお、脱原発については、東電原発事故以降、日本にある原発のおよそ3分の1の廃炉が既に決まっていることからも明らかな通り、既に「脱原発」が惰性力となっているのだから、それに抗っている安倍政権はともかく、新潟県知事選の自公候補が「脱原発」を争点にしないのは当たり前であって*2、そんな時代になっているのに、過激な新自由主義政策によって多くの人々の恨みを買っている小泉純一郎が応援する候補者に投票する気が起きなくなるのも当然だし、そんな人間と連携する「野党共闘」の支持が広がらないのもまた当然だ。小泉が「脱原発」を訴えるのは勝手だが、そんな人間とは「別個に進んで共に撃つ」ので十分なのであって、わざわざあんな新自由主義者に接近することによって受けるダメージの大きさは計り知れない。しかし、「野党共闘」においては異論が封じられているから、小泉や小沢と共闘する共産党に対する批判も、私のようなごく一部のへそ曲がりによってなされるに過ぎない。

「崩壊の時代」の崩壊は、いよいよのっぴきならない段階に達した。

*1:一説によると、橋下徹に接近したがっていた小沢一郎民進党(当時)が橋下にすり寄ったことの表れだともいわれている。

*2:前回の新潟県知事で米山隆一に負けた森民夫は、そんな「空気」を読めずに原発を争点にしてしまったことが敗因だったといえるかもしれない。