kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「仁徳天皇陵」って?

 「中百舌鳥・古市古墳群」が「世界遺産」の登録勧告を受けたらしい。

 

 

 東京新聞の記事は共同通信の配信。だから犯人は共同通信の記者と編集者だが、それをそのまま載せた東京新聞の編集部にも問題があるのはもちろんだ。なお「大山」は「おおやま」ではなく「だいせん」と発音する。大阪は神奈川より鳥取に近いからなあ、と思ったが、「大山古墳」は「大仙陵古墳」ともいうらしい。東京新聞の記事は下記。

 

https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019051301002679.html

 

仁徳天皇陵世界遺産へ ユネスコ機関が登録勧告

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関は13日、日本最大の前方後円墳仁徳天皇陵古墳」(大山古墳、堺市)を含む大阪府南部の「百舌鳥・古市古墳群」を世界文化遺産に登録するよう勧告した。全49基の古墳が対象。文化庁が14日未明、発表した。6月30日~7月10日にアゼルバイジャンで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式に決まる見通しで、天皇や皇族が葬られた「陵墓」が世界遺産になるのは初めて。令和に入り最初の世界遺産となる。

 登録されれば日本の世界遺産は文化19、自然4の計23件となる。文化遺産の登録は、2013年の「富士山」以降7年連続。

(共同)
 
東京新聞より)

 

 「仁徳天皇陵」のほか、「令和に入り最初の」という表現も目障りだ。
 
 もっとも朝日新聞も第一報では括弧付きながら見出しを「仁徳陵」としていた。しかし記事本文はふざけた共同通信の配信とは月とスッポンだ。
 

https://www.asahi.com/articles/ASM4L6JB7M4LUCVL01W.html

 

「仁徳陵」など古墳群、世界遺産へ ユネスコ機関が勧告

上田真由美 

 

 ユネスコ国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に「大山(だいせん)古墳(伝仁徳天皇陵)」など「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」(大阪府)が登録される見通しとなった。事前審査する諮問機関が「登録が適当」と勧告した。6月30日からアゼルバイジャンで開かれる世界遺産委員会で最終的に決まる。

 ユネスコが13日、諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)の勧告内容を日本政府に伝えた。

 古墳時代最盛期の4世紀後半~5世紀後半に築造された古墳群。国内最大の前方後円墳「大山古墳」(墳丘長486メートル、堺市)、2番目の規模の「誉田御廟山(こんだごびょうやま)古墳(伝応神天皇陵)」(同425メートル、羽曳野市)のほか、帆立貝形墳や円墳、方墳など大きさも形も多様な45件49基で構成される。

 古墳が密集する堺市の百舌鳥エリアと羽曳野(はびきの)・藤井寺両市の古市エリアは、古代日本の政治や文化の中心地の一つ。個人の権力の大きさや身分の差が目に見える形で示されるようになっていった日本の歴史を物語る物証として顕著な特徴があると認められた。

 49基中29基が歴代天皇皇后、皇族の墓として宮内庁が管理する陵墓(りょうぼ)など。「静安と尊厳の保持」を理由に一般の人の立ち入りは禁じられ、学術的な調査も制限される。名称についても、宮内庁の指定に沿って「仁徳天皇陵古墳」などで推薦されたが、考古学歴史学者から「被葬者が学術的に確定していない」として地名に基づき大山古墳などと呼ぶべきだとの指摘がある。こうした点がどう評価されるのかが注目されていた。

 イコモスは、「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階の評価で勧告する。世界遺産の総数は1092件。日本からは文化遺産18件、自然遺産4件の計22件が登録されており、正式に決まれば、大阪府では初めてとなる。(上田真由美)

 

朝日新聞デジタルより)

 

 毎日新聞は、見出しに「仁徳(天皇)陵」を使わなかった点では朝日より良いが、記事本文は朝日の方が良い。朝日が「(伝仁徳天皇陵)」としているのに対し、毎日は「(仁徳天皇陵)」としているばかりか、括弧もつけずに「応神天皇陵」としている。下記にリンクのみ示す。

https://mainichi.jp/articles/20190514/k00/00m/040/006000c

 

 なお、毎日には被葬者未確定の件に触れた別の記事もある。

https://mainichi.jp/articles/20190514/k00/00m/040/118000c

応神天皇陵古墳」

 ツイッターの反応に戻る。
 

 

 

 私が習った頃(40年以上前)には「仁徳天皇陵」だったが、当時から「こんな天皇、ほんまにおったかもわからへんのにええんかいな」とは思っていた。

 

 蛇足だが、「伝仁徳天皇陵」、「伝応神天皇陵」という朝日新聞記事の表記から、「伝ハイドン作」の「おもちゃの交響曲」を連想した。この音楽は、私が大山古墳を「仁徳天皇陵」として習った当時からハイドンの作ではないことがわかっていたが、そのさらに数十年前にはハイドン作曲と言われていたらしい。本当の作曲者はモーツァルトの父、レオポルト・モーツァルトだとされていたことを覚えているのだが、昨夜ネット検索をかけたら、その説も覆されていたことがわかった。

 

http://www.music-tel.com/maestro/Kindersymphonie/index.html

 

迷走した作曲者探し


 『おもちゃの交響曲」の真の作曲者探しは迷走に迷走を重ねた。自筆譜が存在しないこと、またこの交響曲の成立に関する手紙等の二次資料がないため、確証は得られなかった。18世紀からもっぱらフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの作品ということになっていたが、これは当初から嫌疑がかけられていた。つまりヨーゼフ・ハイドンの他の作品と比較して、あまりにも単純、よくいえば田園的だからである。次なる候補はハイドンの5歳年下の弟ミヒャエル・ハイドンであった。ミヒャエルはザルツブルク在住でモーツァルト親子とも親交があり、モーツァルトの最後の交響曲第39番、第40番、第41番のモデルとなる交響曲を作曲した程の才能の持ち主であった。しかし、これも確証が得られなかった。さらに同時代の大天才モーツァルトの作品に違いないという、半ば夢想的なことも言われてきた。
 事態が大きく動き出したのは20世紀も半ばにさしかかった1951年、レオポルト・モーツァルトの作曲とされるカッサシオン(全7曲)が、エルンスト・フリッツ・シュミットによりバイエルン州立図書館から発見され、その一部が『おもちゃの交響曲』と同一であることが判明した。
モーツァルトの父として、音楽史に燦然と輝くレオポルトであったが、作曲家としては、ほとんどその作品を後世に残していない。その父モーツァルトが『おもちゃの交響曲』を作曲したというニュースを、世界中の音楽ファンは納得をもって受け入れた。またこの事実から、今日の音楽解説書では、レオポルトの作品ということが定着している。
 1992年、オーストリアチロル地方から驚くべきニュースが入ってきた。それはチロル地方シュタムス修道院(Stift Stams)の音楽蔵書の中から、1785年ごろ、当院の神父シュテファン・パルセッリ(Stefan Paluselli, 1748年-1805年)が写譜した『おもちゃの交響曲』の楽譜が発見されたのだ。そこには同じくチロル出身で、今日全く忘れ去られた作曲家エドムント・アンゲラーが1770年ころに作曲したと記されていた。
エドムント・アンゲラーの活動とこの交響曲の作風、あるいは木製玩具の製造地であるバイエルン州の著名な保養地ベルヒテスガーデンがほど近いことなどから総合的に判断して、今日これを覆すだけの説は出ていない。
いずれにせよ、今日無名の作曲家エドムント・アンゲラーの発想と作曲により『おもちゃの交響曲』は世界中の子供と大人を魅了しつづける。
 なおベルヒテスガーデンの木製玩具は18世紀のヨーロッパでは広く知られており、今日なお名産品となっている。またこの交響曲が最初に出版された時、作曲者としてハイドン、またタイトルとして『こどもの交響曲』が出版社の判断で付けられた。『おもちゃの交響曲』は英語圏でのタイトル「Toy Symphony」に由来する。

 

 なんと、1992年にそれまでの定説が覆っていた。もう四半世紀以上も前だ。全然知らなかった。なお上記引用文の著者は佐々木修氏で、Wikipedia等にも上記の文章を載せたという。以下再び引用。

 

 私は上記の文章を、2006年11月、私が展開する「モバイル音楽辞典」と「ウィキペディア」に、同時に発表しました。これは、2008年2月に日経出版より出版された小泉純一郎元総理の著書「音楽遍歴」の中にも引用されるなど、大きな反響を呼びました。そこで2008年8月にオーストリアチロル地方を訪れ、真の作曲家と思われるエドムント・アンゲラーの足跡を辿る一方、ベルヒテスガーデンでは本場の木製玩具を探し、さらに夏の音楽祭で賑わうザルツブルクを訪れ、国際モーツァルテウム財団の研究者などとも意見を交換して、さらなる検証と考証を重ねました。
 結論から申し上げますと、今回のヨーロッパでの検証の旅を終えた後も、2006年11月に発表した文章の修正はありません。『おもちゃの交響曲』の楽曲解説としては、必要かつ十分なものです。

 以下に、私と『おもちゃの交響曲』との出会いに加えて、詳細な解説をします。

 

 なんと、にっくき「コイズミ」に10年以上も先を越されていたのか。不覚だった。上記引用文の最後にある「詳細な解説」はまだ読んでいない。帰ったら読んでみるか。