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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

樽床伸二が衆院大阪12区補選へ 与党系から出馬も(共同通信)=追記あり

昨年末から噂は聞いていたが、「与党系」というのは初耳だった。共同通信の記事から。

https://this.kiji.is/454220862062920801

総務相の樽床氏、大阪補選へ
6日にも出馬表明

 旧民主党政権で総務相などを務めた無所属の樽床伸二衆院議員(比例近畿ブロック)が、自民党北川知克元環境副大臣の死去に伴う衆院大阪12区補選(4月21日投開票)に立候補する意向を固めたことが分かった。6日にも大阪市で会合を開き、出馬を表明するとみられる。複数の関係者が5日、明らかにした。

 大阪12区を地盤とする樽床氏が与党系候補として出馬する可能性も取り沙汰されており、今後の対応が注目される。

 樽床氏は旧民主党国対委員長や幹事長代行などを歴任。現職の総務相として臨んだ2012年衆院選で北川氏に敗れて落選した。

共同通信 2019/1/5 19:03)


樽床は民主党の右派・新自由主義衆院議員だったが、2012年の衆院選落選後、2014年にも落選して、大阪の民主党にいても勝ち目はないと業を煮やして民主党を離党した。そこに現れたのが小池百合子前原誠司が立ち上げ、小沢一郎も一枚噛んだ「希望の党」だった。樽床は真っ先に飛びつき、2017年の衆院選で近畿ブロックの比例名簿1位の座を勝ち取って、濡れ手に粟で国政に復帰したのだった。この時に割を食って落選したのが同じ旧民主党右派系政治家の馬淵澄夫だった。しかし、その後旧希望の党が瓦解したため、立憲民主党にも国民民主党にも入れなかった樽床は、「比例近畿ブロック」の無所属衆院議員になった。

今の樽床には大阪12区を勝ち抜くなど残っていない。その樽床が補選に出るとは、いったい何を考えているのかと思ったが、「与党系候補として出馬する可能性」という共同通信の記事から、ある推測が成り立つ。

つまり、樽床は野党票を割る目的で、与党から糸を引かれる形で無所属として出馬するのではないかということだ(これは昔からの自民党の得意技だ)。

旧民主党系からすれば、たとえば立憲民主党衆院選希望の党から刺客を送られた怨念もあり、樽床に拒絶反応を示す向きが多いだろう。また、希望の党から出馬した連中でさえ、楽して比例で当選しやがって、との反感を持つ人が少なくないだろうし、特に割を食って落選した馬淵澄夫に近い人たちは強く反発するだろう。また樽床のような右派・新自由主義系政治家に共産党が手放しで「共闘」できるとは到底思えない。

一方、これまでの選挙で樽床に投票してきた有権者の中には、それでも樽床が出馬すれば投票する人たちがいるだろうから、仮に樽床以外の野党統一候補として出馬したとしても、確実に「票を割る」ことができる。

補選で樽床が落選することは間違いないが、仮に与党が本命とする候補が、樽床が票を割ってくれたおかげで当選するなら、自民党が次の衆院の本選で、論功行賞で樽床を比例名簿に載せる、そういう密約がなされているのではなかろうかとの憶測だ。樽床ならそれくらいのことはやりかねない。

なお、この樽床伸二は、2010年6月に鳩山由紀夫の政権投げ出しを受けて行われた民主党代表選で、小沢一郎の一派に推されて立候補したが菅直人に敗れた。当時、鳩山が普天間基地移設の「現行案」回帰を打ち出して社民党の政権離脱を招いていたので、小沢が「社民党にも支持される候補を」と言っていたのに、いざ蓋を開けたら右派でバリバリの新自由主義者の樽床(なにしろ、当時樽床は「努力した者が報われる社会を」という、典型的な新自由主義者の決めゼリフを発した)を担いできたのに呆気にとられたものだ。一方の菅直人前原誠司野田佳彦(「野ダメ」)をはじめとする民主党右派に担がれていたのだから、この代表選は「右派・新自由主義者(樽床)対右派・新自由主義者に担がれた御輿(菅)」の戦いとなり、民主党政権の前途ににわかに黒雲が垂れ込めるのを感じた。事実、菅は政権発足直後に消費増税を打ち出して、民主党の優勢が予想された参院選を敗北に導き、そこから民主党政権は奈落の底へと落ちて行ったのだった。

当時、「小沢信者」御用達のエコノミストとして信者たちから熱狂的に支持されていた「ミラーマン植草一秀が樽床を絶賛した恥ずかしいブログ記事に、改めてリンクを張っておく。


[追記]
この件に関してネット検索をかけると、樽床は自民党公認候補として出馬するのではないかとの推測が結構多いようだ。まさか、と一瞬思ったが、自民党ならやりかねないと思い直した。なにせ、自民党は「何でもあり」の政党だ。