給付金等の所得制限に関していつも思うことだが、ネオリベほど所得制限を設けたがる傾向が強い。彼らは普遍主義の原則への理解を欠いているからだ。
かつて「政権交代」の目玉の一つだった「子ども手当」に所得制限を設けろと時の総理大臣・鳩山由紀夫に申し入れたのは小沢一郎だった。2011年に野田佳彦は子ども手当の廃止と児童手当に所得制限を盛り込んで復活させることで合意した。これらの例は、小沢一郎及び野田佳彦が新自由主義者であることを示した以外の何物でもないと私は認識している。
そして今回、18歳以下の子どもへの10万円給付に所得制限を設けることに「貢献」したのが日本維新の会だった。それを誇らしげに語るのが橋下徹だ。
橋下徹氏 10万円相当給付の所得制限に「維新の会の存在がすごく大きかった…衆院選の国民の一票の結果」
11/11(木) 9:07配信
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(52)が11日、フジテレビの情報番組「めざまし8(エイト)」(月~金曜前8・00)に出演。自民、公明両党が新型コロナウイルス経済対策として一致していた18歳以下の子どもへの10万円相当給付に当たり、年収960万円の所得制限を導入する方針で合意したことに言及した。
岸田文雄首相(自民党総裁)と山口那津男公明党代表が官邸で会談し、確認した。首相は夜の記者会見で「厳しい経済状況にある学生にも、修学継続のため10万円の緊急給付金を支給する」と明らかにした。政府は自公党首会談での決着を踏まえ、19日の閣議で給付策を盛り込んだ経済対策を決定し、早期給付を目指す。首相と山口氏の会談ではマイナンバーカード新規取得者や保有者に対し、最大2万円分のポイントを付与することも申し合わせた。
橋下氏は、所得制限が設けられたことに「岸田さんがリーダーシップを発揮したなと思ってます」と言い、「自民党と公明党で意見が割れてる時に幹事長会談で決めさせた。前の菅さんだったり安倍さんだったりすると、最後はトップで決めていったんですけど、岸田さんはまず幹事長で決めさせる。幹事長で決められなかったこと、いわゆる困窮学生に対する給付金っていうのは総理会見で打ち出した。しかも重要なのは公明党の案を丸のみしなかった。所得制限だけは絶対に入れてくれってことを幹事長に命じた」と説明。そして、「もう一つ重要なことは維新の会の存在がすごく大きかった。今まで公明党に押されると、自民党は公明党案を丸のみしてきたんですけども、自民党の中で“そんなに公明党に言われるくらいだったら維新と組んでもいいんじゃないの”って声も上がって、公明党も譲歩せざるを得なかった。まさに今回の衆院選の国民の一票の結果がこのような政治になったと僕は思ってます」と自身の見解を述べた。
(スポーツニッポンより)
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/f56fa081373983aa53a3d35beff6bc216db84315
そりゃネオリベラリストの代表的な人間である橋下ならそういうことを言うだろう。それに対する私の感想は、上記記事についた「はてなブックマーク」の一番人気のコメントと同じだ。
橋下徹氏 10万円相当給付の所得制限に「維新の会の存在がすごく大きかった…衆院選の国民の一票の結果」(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
所得制限をかけることを成果として誇るの、本当にズレてるなと思う
2021/11/11 13:26
岸田文雄が自民党総裁選で新自由主義からの脱却を訴えてから、脱ネオリベの言い出しっぺが枝野幸男である可能ような議論が、一部立民支持層から出ているようだが、そんなことはあり得ない。黒川滋(くろかわしげる)氏が指摘する通りだ。
最初っていつの時点から最初なのかという問題があります。1993年政治改革から起算すれば日本共産党だし、1998年から起算すれば福島みずほさんだし、民主党という枠で言えば官公労系で、その他が旧友小野善康さんを掘り出してきた菅直人さん。民主党が下野した後では前原さん。 https://t.co/Ol4jNcIsCX
— くろかわしげる (@kurokawashigeru) 2021年11月11日
上記ツイートに絡めて言えば、私がネオリベに強い問題意識を持ったのは共産党より遅く、福島瑞穂と同じ頃ということになる。
私は枝野さんの新自由主義への批判は遅かったように思いますが、2017年に選挙を前に小さな政府にどんどん回収されていく希望の党チャーターメンバーの言いぶりを横目に、新自由主義批判を思い切りやるのを初めて見て、むしろその清々しさに好意的に見ていました。
— くろかわしげる (@kurokawashigeru) 2021年11月11日
確かに枝野幸男の転向はずいぶん遅かった。2017年の政局と衆院選前後には、今頃やっと旗幟を鮮明にしたのかと思ったものだ。あの小沢一郎と比較してもずいぶん後れをとったくらいだから相当遅かったといえる。もっとも小沢の場合は「転向」したあとも「私の考えは橋下市長と同じ」と口癖にように言うなど、今に至るも本当に転向したのか大いに疑わしいが。
2017年、そして今回と、大きな選挙の前後に、ネオリベラリズムに対する批判とネオリベ側からの反動が繰り返して起こった。今回の衆院選で、ここ4年間で抑えられる傾向が強まりつつあったネオリベパワーの反攻が一気に出きて、その根強さを痛感させはしたが、この反攻も長くは続かない。ネオリベパワーの影響力を長く保たせるほどの体力は、もはや日本社会から失われているからだ。