kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

維新は「シンシンシン党」(新・新進党)構想を持っているか?

 そういえば今年の参院選に向けての自民党公明党との相互推薦が進んでいないという、しばしば報じられる事象の意味というか、それに働く力学がよく理解できなかったのだが、それはもしかしたら維新による公明党への働きかけに起因するものかもしれないな。下記記事にいただいたコメントを読んでそう思った。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 Jiyuuniiwasate

そうそう、この当選者のリストを見て思い出したが、
ブログ主の言う「維新主要打撃論」だが、
これには一つ大きな穴がある。
それは、去年の総選挙での大阪を見れば一目瞭然。
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/shugiin/2021/
大阪では、公明が維新と完全に出来てるということだ。
つまり、大阪については維新だけを叩いては駄目なわけで、
同じ熱量で公明も叩かなければならない。
ここが厄介な所だ。

 

 Jiyuuniiwasate

いま維新と最も親しいのは、
安倍のいる自民ではなく、公明だ。
この厳然たる事実を押さえずに維新を叩いても、
暖簾に腕押しだろう。

 

 ネトウヨは自民と公明の相互推薦が進まないのは自民が公明を切って維新と組もうとしているのではないかと彼らにとって好都合なことを言っているが、現在の自民党政権公明票の上乗せによって維持されていることは自明だから、私は自民党がそんなハイリスクなことをやるはずがないのになあと首をひねっていたのだった。

 この動きが自民党側からではなく公明党側からであることは明らかだ。

 では、何が公明党を動かそうとしているのか。

 反自民側からの発想だと、自民党に愛想を尽かした創価学会からの働きかけではないかと想像するのが好都合だし、私も漠然とそうかなと思っていたのだが、それだと総理総裁が極右の安倍・菅から(実際には極右の圧力に屈しまくりとはいえ)「ハト派」のイメージがある岸田に代わってから相互推薦が進まない事態が起きたことが説明できない。

 これを、いずれは自民に代わって天下を、と狙っているであろう維新からの働きかけではないかと考えれば、確かに一番すっきりする。

 維新は、新自由主義色が非常に強かった前首相・菅義偉とは戦いにくかった。衆院選前に菅が退陣して岸田に代わってくれたことは維新には好都合だったに違いない。「金融クラスタ」なる極右ならぬ極ネオリベ(略して「極ネ」とでもいおうか*1)の間では岸田内閣支持率は3%だとかいう話をどこかで見たが、「極ネ」の中には菅義偉なら自民党に入れてやるけど岸田なら維新にするかと思った連中がいても不思議はない。

 蛇足ながら、現在彼ら「極ネ」が熱望しているのは「高市早苗政権」だ。高市安倍晋三と同様の極右だが、「自覚なきネオリベ」に過ぎない安倍と違って極端な新自由主義者を兼ねているし、政治思想面でも「エピゴーネンは本家本元より過激」との定式が当てはまる高市を万が一総理大臣にしてしまったら何をやらかすかわからない恐怖がある。一部には、岸田が新型コロナで失政を演じているのにリベラル・左派が岸田に甘過ぎるのではないかとのお叱りの声もあるが、仮に岸田政権が早期に潰れた場合、現時点で次の総理大臣になる可能性が最も高いのは岸田よりもはるかに悪性度の高い高市か、仮に高市を回避できた場合でも極端な新自由主義者である河野太郎(しかも河野は右翼も兼ねている)あたりであろうと思われる。高市だの河野だのなんて真っ平御免であって、少なくともこの2人と比べれば岸田の方がよほどマシだから、どうしても岸田批判は安倍や菅に対する攻撃よりも手緩くなってしまうのだ。しかも、衆院選で躍進した維新の脅威もある。

 その維新にとっての当面の敵は野党第一党立憲民主党であることはいうまでもない。しかし維新は野党第一党の座を立民から奪い取ったあとの手も考えているだろう。それが公明党との連携ではないかということだ。

 それで思い出したのがかつての新進党だ。あれは小沢一郎が公明と民社を取り込んで第二保守政党を作り、自民党から政権を奪おうとしたものだ。維新は当時の小沢と同じような構想を持っているのではないか。

 小沢にとって連立の枠内で邪魔だったのは社会党とさきがけだ。それと同じように維新にとって邪魔なのは立民だが、具合が悪いことに元さきがけの枝野幸男に代わって元希望の党泉健太が立民代表に就任してしまった。

 国民民主党の迷走と維新の構想に関係があるかどうかは知らない。小沢一郎の関与も不明だが、小沢と維新のパイプなんて話は知らない。小沢はかつて生活の党の議員を相当数維新の党に送り込んだが、維新三悪との関係はかつて橋下徹にしつこく言い寄り、橋下も思わせぶりな反応を示しながら結局小沢を振った2012年のいきさつがあるくらいではないか。何より、衆院選で躍進して意気軒昂の維新と、選挙区で負けて比例復活した小沢とでは勢いが違いすぎる上、2017年の「希望の党」騒動で結局小池百合子が小沢を切ったことからもわかる通り、野心家にとっては落ち目なくせにちょこまか動きまくる小沢など邪魔なだけの存在だろう。また玉木雄一郎のように野心の強い小政党の党首も小沢と同様に邪魔だ。過去の政争を見てもああいう小政党のボスはいずれ潰される運命にある。私が思い出すのは、2003年衆院選で清和会が送り込んだ刺客・城内実に潰された保守新党熊谷弘*2だ。ただ玉木は昔から小沢と昵懇であることには留意したい。昨年のポスト枝野の立民代表選挙で小沢一派が泉健太を推した件もある。結局、枝野が小沢を立民に取り込んだのは失敗だったというほかない。しかし小沢を含む立民右派や玉木の民民は、当面は維新の構想とは無関係だと思われる。小沢だの玉木だのがいなくなったあとの有象無象を取り込もうとはするだろうが。

 結局、維新の野望には最大限の注意と警戒が必要だ、という当たり前の結論しか出てこなかった。

 なお立民の支持層、特にその真ん中あたりの層に注文したいが、維新に甘い顔を見せては絶対にならない。少し前に、Abemaテレビだかがやっている橋下の番組に泉健太が出演した時に、泉が橋下に「なんでナベツネさんの(橋下をヒトラー呼ばわりした)時には何も言わなかったんですか」と反論したと言って泉を持ち上げていたが、あれは無党派層とともに立民支持層の左側が(それはおそらく3分の1くらいにしか過ぎないだろうが)橋下を激しく批判し、菅直人を擁護したからだ。その言い分の方が橋下が発したデマよりも説得力があったから、泉は橋下に反論せざるを得なかったのだ。あれが仮に、橋下の発信に対する反応の初動が、みんながみんな江川紹子氏だの黒川滋氏だの「日本がアブナイ!」のブログ主氏だのが示したような橋下よりも菅直人への批判に重きを置いた反応ばかりだったら、泉は橋下に「反論」などできなかったはずだ。政党の党首(代表)をはじめとする執行部は、党員や支持者や無党派層の意に反する言動はできないのである。JNN(TBS系)の世論調査では「橋下ヒトラー騒動」で菅側よりも橋下側に立つかそれに近い人の方が2対1だか七三だかで多かったようだが、こと選挙で立民に投票する人たち*3の間では橋下寄りよりも菅(かん)寄りの方が多数であるに違いない。その圧力が、橋下に対する反論を泉に言わせる結果につながったのだ。だから、維新は最大限に警戒する必要があり、泉に対しては維新にすり寄ることは絶対に許さないという強い圧力を今後もかけ続けることが必要不可欠だ。誰かさんのように「維新は敵ではない」などとは間違っても口走ってはならない。

 公明党については、あれは強い政党にコバンザメのようにくっつく習性を持つ政党であって、現に2017年の都議選では都民ファ□ストの会とくっついた。しかし、都ファの勢いが落ちたら離れた。だから公明と維新とを同じ強度で叩く必要はない。敵の中心はあくまでも維新である。敵は大阪にあり。私はその大阪の出身だが。

*1:そういえば故三宅雪子氏が極端なオザシン(小沢一郎信者)のことを「極オ」と略称していた。

*2:もっとも熊谷は小沢を「宿敵」とみなしていた。

*3:なお私は国政選挙の比例票で民主系の政党に投票したのは2005年の郵政総選挙が最後で、それ以降は一度もない。民主系の政党の公認候補者に投票したことは、香川1区時代の2009年衆院選小川淳也に投票したことを含めて何度かあるが。