kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

福島県議選、自民も立憲も共産も敗北 躍進したのは若手と無所属(朝日)/岸田自民の現状は2007年に、泉立民の現状は2012年に似ている

 先週土曜日を最後に政治の記事を公開していなかった。

 その間、日曜日には福島県議選で自民、立民、共産という私の見るところの「三大内向き政党」がすべて敗北するという象徴的な地方選があった。

 以下に朝日新聞デジタルの有料記事の無料部分を示す。前記三党の敗北は無料部分に書かれていたので有料記事のプレゼントはしない。

 

www.asahi.com

 

 以下に記事の無料部分を引用する。

 

福島県議選、自民も立憲も共産も敗北 躍進したのは若手と無所属

 

 福島県議選(定数58)が12日、投開票され、県議会で第1党の自民、第2党の立憲民主、第3党の共産のいずれもが現有議席を減らす異例の結果となった。代わりに非自民系の無所属候補らが躍進し、高齢の現職の落選も目立った。ベテラン議員を中心とした既成政党への有権者の不信が表れたかたちだ。

 19ある選挙区に、自民は33人(現職28人、新顔5人)を擁立したが、県連の総務会長を務める当選3回の小林昭一氏(71)と、当選9回の元・党県連副会長の青木稔氏(77)を含む4人が落選した。議席を改選前の31から29に減らし、単独過半数には届かなかった。国政では岸田文雄内閣の支持率が低迷し、党県連幹部は選挙中に「岸田首相への不信が広がり、都市部を中心に自民に相当逆風になっている」との厳しい見方をしていた。

 ところが、逆風が吹いたのは自民だけではなかった。新顔5人を含む13人を擁立した立憲も、11あった現有議席を10に減らした。県連幹事長で当選4回の高橋秀樹氏(58)も、定数8の福島市選挙区で最下位の9位で落選した。次の衆院選で県内の選挙区が5から4に減り、区割りが大きく変わることから、長年無投票だった選挙区に候補を立てるなどし、自民との対決構図に持ち込んだものの、支持は広がらなかった。

 共産も、いわき市選挙区で当選2回の男性現職(64)が落ち、現有議席を5から4人に落とした。公明は現有4議席を維持した。

朝日新聞デジタルより)

 

URL: https://www.asahi.com/articles/ASRCF00ZSRCDUGTB00F.html

 

 私が各党の党勢の象徴を示す指標として最近注目している三春充希氏の「リアルタイム得票数推定」が更新された。

 

mstdn.jp

 

リアルタイム得票数推定

自民 1688 万票
立憲  757 万票
維新  735 万票
公明  613 万票
共産  429 万票
れいわ 349 万票
国民  287 万票
参政  139 万票
社民  75 万票
政女  39 万票

 

 前にこの指標を取り上げた時と同様に、2021年衆院選の比例ブロック得票との比較を行う。22年参院選ではなく21年衆院選と比較するのは、次の国政選挙が衆院選だろうと思われることと、21年衆院選は立民の枝野幸男執行部下での最後の国政選挙であり、これを現在の同党の泉執行部下で予想される立民の比例区得票力とを対比する必要があると考えているからだ。つまりぶっちゃけた話、泉を批判するためのエビデンスにする意図を私は間違いなく持っている。それは認める。

 2021年衆院選での各党の比例票は下記の通り。政党名の表記は弊ブログ流に「立民」「新選組」「民民」を用いる。

  • 自民 1991万4883票
  • 立民 1149万2115票
  • 維新 805万0830票
  • 公明 711万4282票
  • 共産 416万6076票
  • 新選組 221万5648票
  • 民民 259万3375票
  • 社民 101万8588票

 

 三春氏の「リアルタイム得票数推定」を2021年の8党の比例票と比較すると下記のようになる。

  • 自民 84.8%
  • 立民 65.9%
  • 維新 91.3%
  • 公明 86.1%
  • 共産 103%
  • 新選組 158%
  • 民民 111%
  • 社民 73.6%

 

 このように、立民が最悪で、次いで悪い順番に社民、自民、公明、維新となる。共産は数字上は微増だがほぼトントンで民民が増え、新選組は相変わらず勢いを増しているといえる。なお社民についてはもともとの得票数が少ないので推計値の変動の度合いがきわめて大きくなる。比例は主に社民党に投票している私としてはまことに遺憾だが、議論の際には社民を考慮から外した方が良い。

 ところで「リアルタイム得票数推定」に、指標の考案者である三春氏の政治的立ち位置に起因するバイアスがかかっているのではないかとは、決して考えるべきではない。各メディアの世論調査もそうだが、各人や各機関はいかに正確な推計をするかでしのぎを削っている。それがこの種の調査を行うあらゆる人間の特性だ。たとえば以前世論調査の不正が指摘された産経は、指摘される以前には各メディアの数値の中間にあたる中庸を得た結果を出すとみられていた。実際にはそうなるようにデータを操作していただけだったことが明らかになったわけだ。産経については、むしろ不正が暴かれたあとに再開した世論調査の方が、開き直りでもしたのか妙なバイアスがかかっているのではないかと私は疑っている。つまり産経をまともなメディアとは認めていないわけだ。

 要するに2021年10月末と比較しての各党の党勢でもっとも落ち込んでいるのは、今も変わらず立民、立憲民主党である。また、参政党や私が絶対に議席を与えてはいけないと考えている日本保守党のような一昨年の衆院選後に現れた政党の中でもっとも伸びているのは新選組である。これらはほぼ客観的な事実であることを立民の支持者たちは肝に銘じる必要がある。泉執行部を支持するにせよ批判するにせよ、その認識の上に立った議論が求められると強く思う。

 共産については、かつて社会党が自社さ政権で与党に入った時に支持率が急増したことを思えば、自民が落ち、立民がもっと落ちている現状で支持率がほぼ横バイというのは立民などから流入する分と同じくらいの比率で支持層が流出していることを示しているから、新選組と民民の次に良い数字になっているからといって喜べるものでは決してない。ただ、現在の日本は極端に政治不振が高まっていて国政選挙の投票率も下がると思われるから、共産党議席はそれなりに増える可能性が高いとは思っている。

 一昨年の衆院選当時と比較しても勢いが増している新選組については、そりゃ他党があれだけひどければ伸びるよなあと思うだけだ。特に泉立民が提案型野党で自民にすり寄り、それが参院選惨敗で有権者のしっぺ返しを食らうや維新に接近して泉が「維新八策」を絶賛するなど迷走したことが大きく、あれで新選組はずいぶん漁夫の利を得たのではないだろうか。「新選組わしが育てた」とは、泉健太に当てはまる言葉だ。

 先日、三春氏の「リアルタイム得票数推計」に関して、弊ブログに下記のコメントをいただいた。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 とくとく

立民が維新を抜き返したんですね。与党ほどではないですが、野党第一党もそれなりに非支持者からの票の流入があるという実証研究があったと思うので、「維新は野党第一党の器ではないかもしれない」と感じ始めた市民が増えているのかもしれません。まだコアな支持層の動揺があるとは思えませんので。
しかし三春氏が態度未決定者の票などをどのように推定しているかにもよりますが、「リアルタイム得票数」の推定票の総数が前回衆議院選の比例得票数の総数より明らかに少ないのは不穏ですね。立民と自民で350万ずつ減らしていて、参政の130万、民民の40万、れ新の100万を足しても全然足りません。これで維新が70万、公明が90万減らすというわけですから、実に「消えた600万票」ということになります。投票率にしておよそ5ポイント、2021年の55.93%から単純計算すると2014年(52.66%)を抜いて歴代ワーストの投票率になることになります。
ブログ主はどこかで2009年に似ていると書いていたような気がしますが、むしろ民主党政権末期に近いのかもしれない、と感じます。当時も政治への不信感たるや最悪に近い雰囲気でしたから、似たような空気感だとしても無理なからぬことです。
それとは別ですが、小沢議員や別記事で取り上げられた重徳議員の動きなんかを見ていると、自民・維新・立民などから横断的に「改革派」の議員が分派、合流して、「希望の党よ、もう一度」というパターンが起こる可能性も感じます。各々が古巣から2割ずつ票を引っ張ってきて、「消えた600万票」を足し上げたらもうそれで1200万票で自民党の1320万票とほとんど差がない。ある意味で維新が単独で政権を取るよりも酷いことになるかもしれません

 

 「立民が維新を抜き返した」と言っても維新が落ちてきて並んだだけで、その後続伸もしてません。それどころか今回は数字を落としてますよね。

 三春氏が出したトータルの数字が2021年衆院選より少ないことには私も気づいていました。記事には書きませんでしたけど。

 今回のデータと2021年衆院選での8党の数字を比較すると、三春氏の推定で10党の合計が5111万票、2021年衆院選で8党合計が5656万5797票で、前者は後者よりも10%も少なくなっています。

 それから私は現状が2009年と似ているとは書いていません。2007年の参院選当時に酷似しているとは書きましたが。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 現在の政局は、私がブログを始めてからの時期でいえば、参院選小沢一郎代表時代の民主党が第1次内閣時代の安倍晋三総裁下の自民党を「KOした」2007年当時に酷似している。そう感じた最大の理由は、あの年の参院選と同様に四国の参院補選で立民系の無所属候補である広田一が圧勝したことだ。あの参院選では四国4県すべてで民主党が勝った。余談だが、当時の小沢一郎は消費税増税を選挙の公約に掲げるかどうかを迷ったあげくに、結局公約に入れるのを思いとどまった経緯がある。小沢にとっては消費税も政争の具に過ぎなかった。

 

URL: https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2023/11/08/083147

 

 ただ、似ているのは自民党に限定した話で、現在の泉立民は当時の小沢民主党とは似ても似つかないことは当然です。泉立民はむしろ2012年の野田佳彦時代の民主党に酷似しています。いま衆院選をやったら惨敗必至という点も含めて。

 自民党に関しては、このまま解散できずに岸田内閣支持率が下がり続けるか低位安定で20%台を維持するか、おそらくは後者でしょうけど、持続的な反転上昇はまず考えられない、というより絶対に考えられないと断言できます。もちろん一時的に上がったりはするかもしれませんが。ただ2009年までの流れと決定的に違うのは来年秋に総裁選があることです。これは2008年総裁選で選ばれた麻生太郎が内閣発足早々の解散をし損なった失敗に学んだ安倍晋三岸田文雄をけしかけて2021年に内閣発足早々の解散をやらせたからそうなっているわけです。

 一方の立民はどうかというと、これは2021年10月末の衆院選で立民が負けて泉が代表になったのが11月だから来年11月までが任期かと思いきやそうではなく、下記一昨年11月の毎日新聞記事を見ると来年9月までが任期みたいです。

 

mainichi.jp

 

 さすがにこのあたりは抜かりなくというか、自民党総裁選にタイミングを合わせているんでしょうか。これが来年11月までだと、自民党総裁が代わった直後の立民代表戦直前に解散総選挙を仕掛ける隙を自民党に与えてしまうので、それを回避する任期にしたんじゃないかと想像しました。

 両党の現状だと、岸田は解散できない一方、泉も責任を取らず、来年秋の自民党総裁選と立民代表選で一つの政局になるといったところでしょうか。もちろん岸田としてはそれ以前に解散したいでしょうけど、今年6月に解散できなかったことが命取りになりそうです。岸田にとってはあれ以上のチャンスはないことくらいは私にさえ簡単に想像できました。それすらわからなかった岸田の政局音痴ぶりには呆れるほかありません。まあこっちはそのおかげで助かったわけですが。

 繰り返しますが、自民、立民両党については、自民党の現状は2007年に、立民の現状は2012年にそれぞれ似ていると思います。