ツイッター政治おじいちゃんお化け氏のツイートより。
衆院選挙制度の見直し開始ということだが、公明も含む自民以外の政党はそれぞれの思惑があるだろうが、自民にも見直しをした方がいいという感覚があるのだろうか。あるとしたら、それはどういう思惑なんだろうか。
— ツイッター政治おじいちゃんお化け (@micha_soso) 2023年2月3日
小選挙区のオセロゲーム的な議席傾斜に対する恐怖が、今の自民にもあるのだろうか。
そんな良心が自民党にあれば良いんですけど、どうですかね。せいぜい「中選挙区制に戻せ」などと×××新選組みたいなことを言う人がいるかもしれない程度で、大半の議員は小選挙区制維持派なんじゃないですかね。
それどころか、この件を報じた下記毎日新聞記事を見ると立憲民主党(立民)だって怪しいもんです。
毎日新聞 2023/2/2 18:56(最終更新 2/3 03:07)
与野党6党の国対委員長は2日、国会内で会談し、衆院選挙制度の見直しを議論する「選挙制度協議会(仮称)」の設置で合意した。今後、議席の都市部偏在への対応や、比例復活当選を可能としている現行制度のあり方などについて議論する。来週にも初会合を開く予定だ。
衆院特別委員会は2022年11月、「1票の格差」是正のため小選挙区を10増10減する改正公職選挙法を可決した際に、地域の実情を踏まえた区割りのあり方などを検討するため、与野党協議の場を設けるとする付帯決議を採択していた。
会談に出席したのは自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主、共産の各党国対委員長。自民の高木毅国対委員長は会談後、記者団に、当面の議題について「フリーな形で話し合いを始めるのがいいのではないか」と指摘した。立憲の安住淳国対委員長は「政権交代が可能で民意が反映される仕組みを考えることをベースに議論したい」と語った。【李舜、安部志帆子】
出典:https://mainichi.jp/articles/20230202/k00/00m/010/192000c
私が引っかかるのは安住淳が発した「政権交代が可能で」という一節。なぜなら比例代表制は政権交代が起きにくい制度だから。その代わり政権政党の党首である総理大臣が放恣な独裁を行なって国を誤らせた2012〜20年の日本のような事態は起こらない。ゆっくりにではあるが確実な変化をもたらすことができる。いうまでもなくドイツの比例代表併用制はそういう制度であり、ドイツ緑の党に前例がある「×××ローテーション」を山本太郎に進言したと疑われる長谷川羽衣子も、本心では衆院選を中選挙区制なんかではなく比例代表制をベースにした制度に変えたいと思っているはずだ。それなのに新選組が2021年衆院選の公約で中選挙区制を掲げたのはなぜか。
今の政治情勢ですべて仮に単純中選挙区に戻すと、
— ツイッター政治おじいちゃんお化け (@micha_soso) 2023年2月3日
自民 減
立憲 減
維新 増
公明 増
国民 横ばい(増の可能性あり)
共産 増
社民 横ばい(増の可能性あり)
れいわ 横ばい?(減の可能性あり)
参政 増
N国 0の可能性濃厚
といったところか。
私の感触だと自民は減るだろうけど立民は増減不明ですね。維新、公明、共産はもちろん増えるけど、社民はもはや中選挙区制でも増の可能性はないでしょう。あと新選組はおそらく減ります。
野党側としては、小選挙区比例代表併用制がいいのではないでしょうか。
— ツイッター政治おじいちゃんお化け (@micha_soso) 2023年2月3日
それは比例代表制をベースにした制度が良いに決まっています。但し、私は野党に有利だから比例代表制を推しているわけではなく、2009年の政権交代の頃にも小選挙区制を批判して比例代表制を推していました。2009年当時に関しては弊ブログよりもかつてメインブログにしていた『きまぐれな日々』に多くの記事が残っていると思います。私は一貫して小選挙区制は廃されるべき邪悪な制度であると考えています。
小選挙区比例代表併用制だと、
— ツイッター政治おじいちゃんお化け (@micha_soso) 2023年2月3日
自民 減
立憲 (今だと)横ばいからやや増?
維新 増
公明 増
国民 増
共産 増
社民 増
れいわ 増
参政 増
N国 増
と比例得票率の阻止条項がなければ、自民と立憲以外は議席増が見込まれる。
これは、ドイツ式の小選挙区比例代表併用制であれば下記の通りでしょう。
理由は後述する。まず上記ツイートへの反応から。
比例代表併用制は超過議席が認められているから第一党自民の議席占有率は得票率よりも若干大きくなるんじゃないかな。
— unknown (@unknown_tr808) 2023年2月3日
ドイツ式の小選挙区比例代表併用制にはその超過議席が認められていますが、それでもなお現行の小選挙区制比例代表並立制と比較すると議席占有率は激減します。
その制度だと阻止条項必須でしょうね
— 西新宿の風見鶏(引っ越し検討中) (@f_takeo) 2023年2月3日
そうですね。阻止条項がないと、カルト政党や極右政党がさらに乱立しそうですね。
— ツイッター政治おじいちゃんお化け (@micha_soso) 2023年2月3日
ドイツ式の小選挙区比例代表併用制には阻止条項があり、得票率5%未満の政党は原則として議席が認められません。2021年衆院選での小政党の比例代表得票率は民民4.5%、社民1.8%、新選組3.9%、N党1.4%(参政党は未結成)でした。また2022年参院選の比例区得票率は民民6.0%、社民2.4%、新選組4.4%、参政3.3%、N党2.4%です。従って2021年衆院選の得票率だと民民以外の政党の議席獲得は阻止され、2022年参院選の得票率だと民民以外は議席獲得を阻止されます。民民のように小選挙区で3議席以上獲得できる政党は、たとえ2021年衆院選のように比例代表の得票率が5%未満であっても阻止条項は適用されません。一方、新選組の場合は山本太郎以外の選挙区当選は難しいと思われます。
それから超過議席、つまり小選挙区で当選した候補者が得票率から計算される議席数を超過して全員の当選が認められるドイツ式の制度であってもなお、自民党の議席占有率が並立制と比較して激減することを示す資料としては、2017年衆院選東京選挙区の結果をドイツ式の小選挙区比例代表併用制に当てはめた場合の試算が示された下記サイトをご覧ください。
上記記事中の表を参照すると、自民党は得票率32%で議席占有率67%でしたが、阻止条項のない併用制なら44%にまで下がります。ドイツ式の阻止条項ありだといくつかの小政党の議席獲得が阻止されますが、それを考慮しても議席占有率は50%を割り込みます。ちょうど得票率と並立制の議席占有率の平均値くらいの数字になると思われます。
仮にドイツ式の5%の阻止条項があったとしても、それを優に上回る得票率が計算できる小政党にとっては小選挙区比例代表併用制はメリットしかないといえるでしょう。
×××新選組の場合、5%をクリアできるかどうかが大きなハードルになり、だから長谷川羽衣子は衆院選の公約に小選挙区比例代表併用制を盛り込めず、中選挙区制でお茶を濁したのかもしれません。