政治おじいちゃんお化け氏のマストドンより。
残念ながら全く同意できない。
議論には定量性が必要だ。また、ある程度長い時間的スパンでの考察が欠かせない。
その点ですぐれているのが三春充希氏の労作の数々だ。
氏は最近「リアルタイム得票数推定」というパラメータの時間変化をグラフにして公開している。これが非常に有用だと思う。
グラフの起点は2022年1月だが、前回の衆院選は2021年10月末に行われた。その衆院選での各党の比例ブロック得票数は、Wikipediaを参照すると下記の通りだ。
- 自民 1991万4883票
- 立民 1149万2115票
- 維新 805万0830票
- 公明 711万4282票
- 共産 416万6076票
- 民民 259万3375票
- 新選組 221万5648票
- 社民 101万8588票
最新の各党の「リアルタイム得票数」を上記2021年衆院選で各党が獲得した比例得票数で割ると、同衆院選の時点と比較した各党の党勢の消長がよくわかる。その数字は下記の通りだ。
- 自民 82.6%
- 立民 69.6%
- 維新 90.9%
- 公明 87.1%
- 共産 103.5%
- 民民 115.7%
- 新選組 146.7%
- 社民 101.1%
ご覧の通り、立民が一番悪くて一昨年の衆院選当時より3割も予想得票数を落としている。2番目に悪いのは自民だが、立民はその自民にも大差をつけている*1。
だが、三春氏のグラフからわかる通り、少し前の立民はもっと悲惨だった。立民の「リアルタイム得票数」は今年8月末頃が底で、当時は640万票程度だったと思われる。それを2021年の立民の比例票で割ると、実に55.7%。つまりその当時の立民は、泉健太が惨敗と位置づける2021年衆院選(泉はその衆院選に「惨敗」した立民の再建者であると自らを位置づけている)の時点から、さらに45%も得票力を下落させていたのである。今は2か月前のマイナス45%からようやくマイナス30%にまで戻したに過ぎない。
今年の通常国会の後半に、岸田文雄が解散総選挙をちらつかせたことがあったが、当時弊ブログが何度も書いた通り、あの当時は岸田と自民党にとってまたとない解散総選挙の大チャンスだった。当時「私が岸田なら必ず解散総選挙を行う」と何度も書いたが、そのタイミングで岸田はかなり大きな内閣支持率低下に見舞われ、解散を断念した。
私は「これは助かった」と胸をなで下ろしたものだ。
たとえば5月後半の自民の「リアルタイム得票数」は約1800万票で、対21年衆院選比で約90%だったのに対し、立民は約700万票で、対21年衆院選比約60%だった。また維新は920〜930万票で、21年衆院選よりも比例票を約15%増やすことが見込まれた。その維新が今では21年衆院選比で約マイナス10%程度にまで落ち込んだ。それを思えば、通常国会後半に岸田に解散をやられずに済んだのは本当にラッキーだった。私は当時、ここで解散をやられたら日本の政治は再起不能に陥ってしまうのではないかと気が気でならなかったのだ。いや冗談ではなく本当にそう思った。
逆に言えば、泉は自らが大惨敗だったと位置づけた21年衆院選よりもさらに45%も得票力を落としながら責任をとろうとする気配もなかった。いや実は4月の衆参補選に4戦全敗した時に一度だけ幹事長の岡田克也ともども辞任を検討したことがあったようだが、連合会長・芳野友子の慰留などを受けて「辞めるのをやめて」しまった。泉健太の面の皮の厚さは本当に半端なかった。
現在はその泉立民に票が戻ってくるくらい、岸田文雄と自民党にとんでもない大逆風が吹いている。しかしそれは立民にとっては敵失で得た得点でしかない。先に終了したプロ野球日本シリーズでいえば、第5戦で阪神のダブルエラーによってオリックスがリードを2点に広げた場面にたとえられようか。
あの試合でオリックスは先発の田嶋投手を代えてはならなかったと思うが、今の立民の場合は逆で、ここは党首交代の一手だと私は思う。