kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

1/25は結局死亡者数42人。オミクロン株の感染爆発で結論が出た「検査抑制派」の破綻

 結局、昨日(1/25)発表された新型コロナの国内死亡者数は42人だった。うち大阪府が10人。昨日はたまたまイレギュラーに多く出た可能性もあるが、傾向的にも、つまり7日間移動平均値(1/19〜1/25では17.7人)で見ても死亡者数は急増している。なにしろ昨年12月の死亡者数は32人だったから、1日でその数字を上回った。下記にNHKのデータ*1に基づく対数グラフを示す。

 

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国内のCOVID-19新規陽性者数及び死亡者数 (2020/3-2022/1, 7日間移動平均対数=NHK)

 

 オミクロン株は当初株や従来の変異株と比較して有病期間が短いらしいから、新規陽性者数のピークから死亡者数のピークまでのタイムラグも、従来株の約3週間より短い、たとえば2週間くらいになるのかもしれないが、現段階では新規陽性者数も国内に備蓄された検査キットが底を尽きつつあるらしいにもかかわらず未だに増え続けている。

 この件に関して、日本国内ではリベラル・左派においてすら検査数不足に対する批判が従来あまりにも不足していた。たとえば、下記ツイートの指摘は良いだろう。私も同意する。

 

 

 しかし上記ツイートを承けた下記ツイートはどうだろう。

 

 

 これではまるで検査増強派が沈静期(たとえば昨年11月頃)においても「検査が足りない」と言っていたのが悪い、と言わんばかりだ。

 私は「検査増強も重要だが、もっと重要なのは感染拡大期に人流を抑えることで、それよりもっと重要なのは初動(つまり沈静期における検疫)だ」という立場だ。「検査は一次関数的にしか増えないが感染は指数関数的に増える」とよく強調するので、検査数さえ増やせば良いと言わんばかりの一部の「検査増強原理主義者」から「検査抑制派」呼ばわりされたことも一度ならずある。だから前記「原理主義者」たちに対する一定の批判も持っている*2。しかし、確か西浦博(この人も検査増強原理主義者たちの一部からよく槍玉に挙がる)が日本は世界に冠たる検査最弱国だと言っていたのを彼の著書で読んだ記憶があるが、そんな国においていつまでも検査数が不足している状態を続けていてはならないことは当たり前だ。そのあたりに関して、リベラル・左派側からの圧力がこれまで弱すぎたのではないか。

 日本政府はそもそもPCR検査数の備蓄の目標値そのものが小さすぎたというほかない。人口が日本の半分ちょっとのフランスで日に40万人以上の新規陽性者数が発表されたが、比例計算すれば日本では日に80万人くらいの陽性者数を計上できるキャパがなければフランス並みとはいえないだろう。ところがそれより一桁少ない新規陽性者数の段階で検査が底を尽きかかっているのは、日本政府の大失態以外の何物でもない。

 下記黒川滋氏のツイートも頭にきた。

 

 

 上記ツイートは、その前に挙げたこたつぬこ(木下ちがや)氏のツイートなど比較にならないくらい悪質だ。

 そりゃ検査数は一次関数的にしか増えないのに対して感染は指数関数的に増えるのだから、検査数が十分だったつもりでも、予想を超える感染力の強い変異株の出現によって検査が足りなくなる事態が起き得ることは当たり前だ*3。たとえばそれがイギリスで起きたらしいことは以前弊ブログにも書いた。

 しかし、第5波の陽性者数を少し超えたくらいの段階で検査がサチってしまうというのは、数理的にではなく政策として大問題だろう。そういう現状に対して、なんというふざけたツイートを発信するのかと激怒した。日本政府は数理的ではなく政策的に非現実的な政策をこれまでとっていたのにほかならないのだ。

 思えば、第1波が立ち上がった2020年春に「検査を増やせば医療崩壊」なる戯言が幅を利かせていて、その論理が私には理解不能だったが(もちろん今でも全く理解できない)、彼らの論拠が完全崩壊したのが今回のオミクロン株による第6波だといえる。そして彼らの言説に支えられた自民党政府の政策の失敗も明らかになった。

 なお、指数関数的に増加する感染に対しては、そうならないための検疫がもっとも重要であることはいうまでもない。だからオミクロン株対応での日本政府の一番の失敗は、在日米軍の兵士に対して検疫を求めなかったことだ。それに対して問題を感じない人がこの国には半分ほどもいるという現状には頭痛がする。

*1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/

*2:例えば検査数さえ十分に確保すれば陰性者には自由な行動が許されると言わんばかりだった一時期の(今はどうだか知らないが)玉川徹の意見などは論外だと考える。

*3:しかしその反面、人口は有限なのでいつかは検査不足が起きないだけの検査キットの備蓄は可能になるはずだとも思うが。