kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

2022年の新型コロナウイルス感染症新規陽性者数は2020年の116倍、死亡者数は同11.1倍/2023年1月は国内月間コロナ死亡者数が1万人超えか

 新型コロナの新規陽性者数のデータは、厚労省が全数把握を簡略化して一元管理するようになり、それに伴ってNHKが集計を止めてから、厚労省のデータを取り込むフォーマットは作ったもののデータのダウンロードもほとんどせずに放置していた。仕事が忙しかったせいもある。

 しかし、このところ第8波の新規陽性者数と死亡者数が増えているので、年末のタイミングに合わせてデータをダウンロードし、NHKが集計していた9月27日までのデータに接続してグラフを更新したので以下に示す。

 まず新規陽性者数と死亡者数の7日間移動平均値対数グラフ。

 

国内COVID-19新規陽性者数・死亡者数 (2020/3-2022/12, 7日間移動平均対数=NHK/厚労省)

 

 第8波は第6波以降のオミクロン株系3波の中ではもっとも立ち上がりが緩やかだが、その反面死亡者数が多い。オミクロン株の中では感染力はそう高くないが、毒性が前の2波より強いのが第8波の特徴であるようだ。死亡者が多いのは人体の免疫力が落ちる冬季の流行のせいもあるだろうが。

 波をよく見ると、倍加速度が速まったり遅くなったりを繰り返している。これは、複数の波が重なり合っていることに起因していると思われる。私は便宜的に10月13日から第8波入りしたとして数えているが、第8波に入ってから倍加速度は11月4日、11月11日、11月28日、12月13日の4回極大値をとっている。このうち、7日間しかインターバルがない最初の2つは別々の波かどうかはっきりしないが、少なくとも3つの波が重なり合っていると思われる。現在は前記第8-3波ないし第8-4波の倍加速度が非常に遅くなってきているから、このまま後続の波が現れなければ年始早々にピークアウトするか、または既にピークアウトしている可能性がある(7日間移動平均値なので、当日のデータは3日前の状態を反映している)。

 しかし死亡者数のピークは遅れて出る。既に今月は今年8月を抜いて過去最多の新型コロナ死亡者数を記録しているが、来年1月は今月を大きく上回ることはほぼ確実で、2023年1月は初の月間コロナ死者数1万人超えを記録する可能性がかなりある。少なくとも過去最多の月間死亡者数を記録することはほぼ間違いあるまい。

 以下に今月までの月間新規陽性者数及び死亡者数のグラフを示す。

 

日本国内COVID-19月間新規陽性者数・死亡者数(2020/1-2022/12,対数=NHK/厚労省

 

 月間コロナ死の過去最多だった今年8月はNHKの集計で7328人だったが、今月は厚労省の集計で昨日(30日)まで7330人と、わずかに上回った。今年8月の厚労省集計の数字は知らないが、大晦日の今日も200〜400人台の死亡者が出るだろうから、今月が過去最多になる可能性は非常に高い。昨年(2021年)は死亡者32人で、これは2020年2月以来の少ない数字だったから、それと比較すると実に200倍以上だ。ただ、波の極小期だった昨年12月と、波の極大期の少し前に当たる今月との比較にはあまり意味がないだろう。

 事実上の新型コロナ1年目だった一昨年と比較すると、新規陽性者数は116倍に増えたが、死亡者数は11.1倍だ。つまり致死率で表される毒性(ワクチンの効果込み)は一昨年の10分の1になったが、感染力が100倍になったために死亡者は10倍以上に増えたことになる。

 死亡者数累計は5万7千人を超えた。思い出されるのは西浦博の42万人という推算であって、対策を講じなければそのくらいの死亡者が出るという話だった。彼の試算は一昨年にはさんざん馬鹿にされたものだが*1、こうしてコロナが蔓延したあとに振り返ると非常に良い推算だったというほかない。日本と比較してコロナ対策に不熱心だったアメリカやイギリスの死亡率に日本の人口を掛けると42万人に近い値になるという話もあった。

 感染症研究の世界では理論疫学を「統計屋」と呼んで軽んじる風潮もあったようだが、それは不当な評価だったというほかない。

 しかし事実として2022年の日本国内の新型コロナ死は2020年の11倍以上を記録したのだから、後世から見ると「新型コロナの日本国内でのピークは2022年だった」とされるだろう。来年(2023年)は今年の死亡者を上回ることがあってもらいたくない。

 コロナ陽性者の累計は3千万人に迫っているが、他に感染していたのに無症状だった人が多数いるに違いないから、トータルすると日本に住む人の半数程度が新型コロナ感染を経験していると思われる。そのことと、ここまで短期間に顕著に見られるようになろうとは予想しなかったウイルス弱毒化の現象を考え合わせると、いくらなんでも来年は今年より新型コロナの死亡者数が減る蓋然性が高いのではないかと思われる。たとえ来年1月だけで新型コロナ死亡者1万人以上を記録することになろうとも。

*1:特にサンデーモーニング寺島実郎が何度もこの手の発言を行っていたのが非常に不愉快だったが、その寺島も今ではこの件に関して何も言わない(笑)。