厚労省のデータも毎日は更新されなくなる。だからこのタイミングで、昨年9月27日まではNHK、同9月28日から今年5月7日までは厚労省の集計による新型コロナウイルス感染症の国内陽性者数および死亡者数の7日間移動平均値のグラフを、片対数グラフおよび線形グラフの2種類で以下に示すことにした。
第9波の立ち上がり方は、今までのところオミクロン型が流行の主流になった第6波以降ではもっとも緩やかで、それは職場での陽性者数の推移とも整合するが、この先に第7波や第8波のような大きな波になった場合は、そういった周囲の状態から推測するしかなくなった。つまり状況の把握が遅れてしまう。
累計陽性者数は延べ3380万人強、この他にも全くの無症状だったために陽性者にカウントされている人々も少なくないだろう。実際、今年2月の厚労省の調査では、国内の新型コロナの抗体保有率は42.3%だったという。以下今年3月のNHKニュースより。
新型コロナ感染による抗体保有率
全国で42.3% 厚生労働省
2023年3月24日
新型コロナウイルスへの感染によってできる抗体を持つ人は、献血の血液を分析した結果、2023年2月時点で全国で42.3%だったとする結果を厚生労働省が示しました。抗体の保有率は2022年11月の調査から、感染の第8波を経ておよそ14ポイント増加しました。
厚生労働省は、2023年2月下旬に献血に訪れた16歳から69歳の1万3121人の血液を調べ、新型コロナに感染した場合にだけできる抗体を持つ人の割合を分析しました。
それによりますと、抗体の保有率は全国で42.3%で、2022年11月時点の28.6%から感染の第8波を経ておよそ14ポイント増加しました。
年代別では16歳から19歳が62.2%、20代が51.6%、30代が52.2%と30代以下では2人に1人以上となりましたが、40代は46.0%、50代は36.7%、60代は28.3%と年代が上がるほど低い傾向が見られました。
地域別では、福岡県が59.4%、沖縄県が58.0%などと高かった一方、岩手県は27.4%、福島県は31.7%などと地域によって差が見られています。
また、東京都は42.2%、大阪府は50.2%、愛知県は51.8%でした。
厚生労働省の専門家会合の脇田隆字座長は「欧米では抗体保有率が8割を超える国もあり、そうした地域に比べてまだ低い水準と言える。抗体保有率の低さが今後の感染状況に影響してくる可能性もあるため分析を続ける必要がある」としています。
(NHKニュースより)
URL: https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/category5/detail/detail_32.html
抗体保有率が42%強ということは、日本国内の半分以上の人々はまだ抗体を持っていないことになる。従って、5類移行はタイミングが早過ぎたのではないかと思われる。それなのに移行を急いだことには、岸田政権が大規模な軍事費増大などで圧迫される財政支出を抑えたかったため以外の理由は考えられない。
先月までの月間の陽性者数及び死亡者数の推移を以下に片対数グラフで示す。
以上は昨年9月まではNHK、それ以降では厚労省の集計に基づく、いわば「上っ面の数字」だけについての簡単なまとめだが、そのほかに水面上に浮かび上がってこないコロナの影響の問題がある。
今のところ弊ブログ運営者の私だけが読者登録をしているnanijiro-iさんが、6日付朝日新聞の報道に基づいてそれに関する超過死亡者数の問題を掘り下げた記事を公開しているので、以下にリンクを示す。
ここで記事を引用するとリンク先の記事に飛んでくれない読者が多いので*1、引用はしない。はてなアカウントをお持ちで、かつ記事に関心を持たれた方にはブログ購読の検討をおすすめする。更新の頻度が高いとはいえないが、記事の多くには興味深い分析が掲載されている。
一言だけ書いておくと、超過死亡者数の問題は最終的には平均寿命に反映される。2021年には日本の平均寿命が予想に反して下がった。2022年のコロナ死亡者数は2021年よりずっと多かったから、2022年の平均寿命はさらに、しかも今度はかなり大きく下がる可能性が高いと思われる。
さらに蛇足を書くと、2021年の平均寿命の低下が報じられたのは昨年7月末だった。その頃のコロナ感染状況や物価がどうなっているかはわからないが、この平均寿命の件を含めて岸田政権にとって不都合な事実が次々と噴出し、またぞろ内閣支持率が下降に転じる可能性がきわめて高い。
だからこそサミット後の衆院解散と総選挙の可能性もまた相当に高い。現在からしばらくの間しか岸田文雄にはチャンスが残されていないからである。