kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

12月実施の抗体検査、東京で陽性率0.91%(日経メディカル)【追記あり=東京都の陽性率は1.35%(確定値)】

 少し前に昨年春に行われた抗体検査について触れたが、同12月にも5都府県で抗体検査が行われていた。その結果が厚労省から発表された。下記は日経メディカルの記事へのリンク。

 

medical.nikkeibp.co.jp

 

 以下引用する。

 

NEWS◎厚労省が5都府県1.5万人を対象とした抗体検査結果を公表

12月実施の抗体検査、東京で陽性率0.91%

2021/02/05

安藤 亮=日経メディカル

 

 厚生労働省は2021年2月5日、5都府県で計1万5043人を対象として、2020年12月に実施した新型コロナウイルスSARS-CoV-2)抗体検査の結果を発表した。抗体陽性率は東京都で0.91%、大阪府で0.58%、宮城県で0.14%など、地域によりばらつきがあった。また、6月に実施した第1回調査時の陽性率(それぞれ0.10%、0.17%、0.03%)からはいずれも上昇した。

 

 厚労省は12月14~25日にかけて、東京都、大阪府宮城県、愛知県、福岡県において、調査への参加同意を得た20歳以上の一般住民それぞれ約3000人を対象に、過去に新型コロナウイルスに感染した人の割合を調べる抗体検査(定量検査)を実施した。東京都、大阪府宮城県では、6月に同規模の第1回抗体保有検査を実施している(関連記事)。

 使用した測定機器は、米国Abbott社(化学発光免疫測定法[CLIA法])およびスイスRoche社(電気化学発光免疫測定法[ECLIA法])の装置。第1回調査と同様、陽性の判定をより正確に行うために、異なる免疫測定法を用いたこれら2種類の検査試薬・装置で陽性が確認された場合のみ、陽性(抗体保有)と判定した。

 計1万5043人に対する抗体検査で陽性と判定されたのは、東京都では3399人中31人(0.91%)、大阪府では2746人中16人(0.58%)、宮城県では2860人中4人(0.14%)、愛知県では2960人中16人(0.54%)、福岡県では3078人中6人(0.19%)であり、地域によりばらつきが見られた(図1)。

 6月に行われた第1回調査での抗体陽性率は、東京都で0.10%、大阪府で0.17%、宮城県で0.03%で、いずれも半年間で陽性率は上昇したものの、12月時点でも人口の大半が抗体を保有していないことが明らかになった。また、5都府県での人口当たり累積感染者数(12月7日時点)と比較すると、今回確認された抗体保有者数は報告されている感染者数の1.6~3.6倍に相当する。

 

(日経メディカルより)

 

出典:https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202102/569001.html

 

 引用文中の「図1」は下記厚労省発表資料の2頁に掲載された結果の表。

 

 抗体検査の結果には驚きはない。弊ブログではこのところずっと、日本国内のPCR検査による感染者の捕捉率は33〜50%程度だろうと書いてきた。それは、COVID-19の真の致死率を仮に0.5%として、それと国内の第2波の致死率1.0%と第3波の致死率1.5%とを対比して、ざっと公称の2〜3倍の感染者がいるんだろうなと大雑把に推測していたためだ。12月の抗体検査から得られた倍率が1.6〜3.6倍だというのだから、推測は大きくは外していなかったようだ。なお現在では、第3波は2%程度の致死率になる可能性があるから、捕捉率は25〜50%の間、つまり公称の2〜4倍の感染者がいるのではないかと考えている。

 今回の結果から導かれる「人口の大半が抗体を保有していない」というのも当然で、これについてはあの大阪府知事・吉村洋文でさえ「集団免疫獲得にはほど遠い」と認めていた。つまりいかに極悪な維新府政といえども、今後集団免疫獲得を狙った戦略をとることはほぼないと思われる。

 ただ、昨年12月上旬と現在とでは、累積陽性者数が全然違う。

 日本全国では、昨年12月7日の陽性者数は164,435人だったのに対し、昨日(2/5)累積陽性者数が40万人を突破して401,661人になった*1。この間に2.44倍に増えている。また東京都では昨年12月7日の43,992人から今年2月5日には102,777人に*2、つまり2.34倍に増えた。

 このことから、現在の東京都の抗体保有率が0.91%に2.34を掛けた2.1%程度であっても不思議はない。

 もちろん、昨年12月の抗体検査が無作為抽出といえるかどうかの問題点などもあるだろうが、大まかに言って東京には感染者または感染したことのある人が2%程度いるというのは、実感ともそんなにかけ離れていない数字だと思う。

 ここでは、12月7日から2月5日までの日本全国の累積陽性者の増分である237,726人に、1.6倍と3.6倍の真ん中である2.6を掛けた約61万7千人を直近2か月の感染者数と仮定する。この数字は、日本の人口の約0.5%に当たる。

 昨年12月7日時点でのCOVID-19による死亡者は2,398人だったの対し、今年2月5日には死亡者は6,282人に達した。この間の死亡者数は3,884人だ。以下、粗っぽい計算だが、12月と1月の感染を原因とする死亡者数を4千人とすると、それが人口の0.5%が感染した時の死亡者数になる。昨年春に西浦博が想定した集団免疫獲得時の感染者は60%だったから、人口の0.5%の感染で4千人が死ぬなら、人口の60%では48万人が死ぬ計算になる。2.6倍ではなく3.6倍として約85万6千人を2か月の感染者数と仮定した場合でも、これは人口の約0.67%だから、人口の60%では約35万人が死ぬ計算になる。

 つまり、昨年春に西浦博が警告した「何もしなければ42万人が死ぬ計算になる」という試算は、的外れでも何でもなかったということだ*3。このことがこの2か月ほどの感染状況からはっきりしたのではないだろうか。

 もちろん、昨年5月頃には、仮に基本再生産数が2.5だとしても、集団免疫獲得に必要な感染率は、理論が教える「1-1/R」(Rは基本再生産数)から導かれる60%ではなく20〜40%ではないかという議論が出ていたそうだ。これには西浦博自身が言及していた。1人あたりの再生産数の分布に偏りがある場合にそうなるらしい。また、基本再生産数2.5というのは欧州の感染状況から導かれた数字だったのに対し、武漢では1.7だったという話もあった。60%が20〜40%になるのなら、基本再生産数1.7の場合には「1/1-R」は41%だから、その3分の1から3分の2だと14〜27%程度になる。しかし、それらを考慮に入れても、何も対策をしなければ6桁の人が死ぬ恐れがあることには変わりはない。42万人が10万人強になるとか、その程度の違いでしかない。また、COVID-19の場合は抗体が持続しにくいという話もあるから、ワクチンも万能ではないかもしれない。

 新型コロナウイルス感染症とは、これほどまでにも恐ろしい感染症なのだ。間違っても「ただの風邪」なんかじゃない。なんとしても感染拡大を抑え込まなければならない。

 しかるに、菅義偉政権は人と人との接触を抑制するどころか助長する「GoToキャンペーン」なんかを推進した。2度目の緊急事態宣言もずっと出し渋り続けた。

 このことは大いに問題視されるべきではないか。菅義偉は責任を取って内閣総辞職すべきだ。またしても、このいつもと同じ結論で記事を締めくくることになった。

 

 

[追記](2021.5.7)

 

 その後発表された確定値で、東京都の陽性率は1.35%に改められた。以下2021年3月30日付日本経済新聞記事(共同通信配信)より。

 

www.nikkei.com

 

新型コロナの抗体保有、東京で1.35% 厚労省確定値

2021330 12:59

 

厚生労働省30日、新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査を昨年121426日に5都府県の計約15千人に実施した結果、東京都は1.35%、愛知県で0.71%大阪府0.69%から抗体が検出されたと発表した。2月に速報値を発表しており、その後追加の分析をして結果を確定した。

宮城県の抗体保有率は0.14%、福岡県は0.42%だった。国立感染症研究所で追加の分析を行ったことで、複数の地域で速報値よりも保有率が上がったが、厚労省は「欧米と比べても少なく、依然として多くの人が免疫を持っていないと分かった」と説明している。

今後は、感染の広がりだけでなく、ワクチン接種によって抗体を保有する人がどれだけ増えているかも調べていく。

調査は、新型コロナ感染の広がりを把握するため、同意が得られた5都府県の住民を対象に実施。検査会社2社の手法に加え、国立感染症研究所でも分析し、複数の手法で陽性となった人を「抗体がある」と判断した。〔共同〕

 

 この抗体検査は第3波真っ只中の昨年12月中旬から下旬にかけて行われた。その後、大阪を中心とする関西に大規模な感染を引き起こした第4波に見舞われたので、現在は東京都、大阪府ともに抗体保有率は2%を超えているのではないかと思われる。しかし依然として集団免疫獲得にはほど遠い数字であるため、ウイルス接種が待たれるところだ。

*1:NHKによる。https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/

*2:https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

*3:42万人は、前記の48万人と35万人の間の数だ。