4月は結局月に12万人近くの新型コロナウイルス新規陽性者と1100人近くの死亡者が出た。見かけの致死率0.91%は感染の波の初期にしてはかなり悪い数字である。第2波の初期だった昨年7月には死亡者わずか39人で、見かけの致死率は0.22%だった。当時の東京・埼玉型変異株は弱毒性であったとされるのに対し、現在主に関西で猛威をふるっていて、首都圏や他の地域にも広がりつつあるN501Yは強毒性だ。
4月は最後の日が金曜日だったので、毎週と毎月のグラフを示す記事が同じ日になる。以下に、昨年3月以降の新規感染者数と死亡者数の7日間移動平均(対数プロット)、昨年1月以降の同月間値(リニアプロット)、昨年10月以降の同週間値(同)の3つのグラフを示す。データはNHKの集計*1による。
一昨日(4/29)が祝日だったために昨日の検査数は少なかった。もし一昨日が平日だったら、4月24日から30日までの平均新規陽性者数が5千人を超えていただろうが、祝日効果のために4981人にとどまった。それでも第3波のピーク時だった1月9日から15日までの週の80.7%に達した。
ただ、祝日効果を考慮に入れても、新規陽性者数の増え方ははっきり頭打ちになった。
問題はこのままピークアウトして新規陽性者数が減っていくかどうかだ。
というのは、上記一番下のグラフで第3波の陽性者数の推移を見ると、11月下旬にいったん増加が鈍化したあと、再び急増に転じて年末年始の爆発的増加につながったことが思い出されるからだ。第3波は明らかに2つの波が重なっていた。そして現在の第4波でも、種類の異なる変異株であるE484KとN501Yによる感染の波が重なっている。このうちN501Yの方が感染力も毒性も強いが、N501Yが既に感染の波の中期を迎えているとみられる関西を除いて、N501Yは感染を急拡大している段階とみられるから、今後再び感染が加速する可能性がないとは言えない。
またN501Yは強毒性だから、既に大阪府で起きている医療崩壊が全国に広がらないかどうかも懸念される。ここで感染を抑える上で大きな障害になるのが東京五輪であることはいうまでもない。
ただ、来週はゴールデンウィークに入って検査数が減ると思われるため、感染状況がわかりにくくなる問題がある*2。連休明けすぐに、現在4都府県に出されている緊急事態宣言を予定通り解除するかが問題になるが、その時にまともな判断を下すために十分なデータがあるとは思えないのである。
4月24日(土)から4月30日(金)までの1週間の新規陽性者数は34,869人(前週比8.8%増)、死亡者数は371人(同32.5%増)だった。前述の通り、先週はその前の週の新規陽性者数と比べて25.3%の増加だったから、今週は増加率が先週より大きく下がった。一方、死亡者数は急増した。
また4月の月間新規陽性者数は117,759人で、1日あたりの新規陽性者数では3月の2.87倍になるとともに、今年1月の154,988人に次いで過去2番目に多かった。また月間死亡者数は1,067人で、1日あたりの死亡者数では3月より13.8%減少した。とはいえ、記事の初めにも書いた通り、新規陽性者数の急増期にあったにしては異様に多い死亡者数だ。
現在はE484Kに関しては感染の波の中期から後期、N501Yに関しては初期(関西以外)から中期(関西)にあるとみられる。5月の新規陽性者数がどうなるかはわからないが、重症者数や死亡者数に関しては厳しい状態が続き、特に死亡者数に関してはほぼ確実に4月よりも増えると思われる。
*1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/
*2:昨年の東京都では、連休中でも検査数を確保せよという、当時「新型コロナファイター」を演じていた小池百合子の指示によって検査数は維持されたが、今年も同様の指示が出ているかどうかは知らない。