kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「Z世代」と「ジェネレーションレフト」

 しばしば目にするものの、つい最近までその定義を知らなかった言葉が「Z世代」だ。

 この言葉でGoogle検索をかけたらまず表示されたのが下記リンク。

 

manamina.valuesccg.com

 

 以下引用する。

 

Z世代とは

 

Z世代は、1990年半ば〜2010年代に生まれた世代を表す言葉です。

Z世代の語源は、1953年に出版されたフォトエッセイ「Generation X」にあります。1953年、ハンガリーの写真家、ロバート・キャパがフォトエッセイ「Generation X」を発表。第二次世界大戦後の若者たちに「未知(X)」という意味をこめ「X世代(Generation X)」と名付けました。その後、1つの世代ごとにX,Y,Zと、アルファベットで世代を表現するようになりました。

 

Z世代の人口

 

日本の人口に対するZ世代の割合は15%、世界の人口に対するZ世代の割合は32%です。

日本では少子高齢化の影響によりZ世代の割合が少なく、さほど注目を集めてはいません。しかし世界では3人に1人がZ世代であり、すでに消費への影響力を持っているため注目されているのです。

 

Z世代のライフスタイル

 

Z世代のライフスタイルは、以下2つのキーワードで表すことができます。

 

1 デジタルネイティブ

 

インターネットの発展と共に育ったため、スマホタブレットなどのデジタルデバイスを上手に活用します。例えば、スマホに複数のアプリをダウンロードして生活やビジネスに駆使することも容易です。

 

2 SNSネイティブ

 

インターネット検索よりもSNSを中心に情報収集します。SNSの発信にも長けており、プライベートな内容を発信することにも積極的です。人気YouTuberにもZ世代は多く、日常を切り取ることで動画コンテンツを提供しています。

 

出典:Z世代とは?年齢や特徴、X世代・Y世代からα世代までの違い総まとめ | [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン

 

 要するに、物心ついた頃からインターネットにアクセスできた世代という意味らしい。

 下記は Z世代 - Wikipedia からの引用。

 

名称の由来[編集]

名称は1950年代、ハンガリー写真家ロバート・キャパにより出版された、第二次世界大戦後生まれの青年を撮影した写真集『Generation X』より出拠する。 現代の社会的文脈においては1991年ダグラス・クープランドにより上梓された著書『ジェネレーションX -加速された文化のための物語たち英語版』が国際的にベストセラーとなったことより称されている。クープランドによる著書においては、当時青年期であった、およそ西暦1965年1979年出生者を「ジェネーションX」と標榜した。英語の「X」には、SFテレビドラマの「X-ファイル」や、発見された当時に得体の知れぬ物体であったことから「X」と称された名残を持つ「X線」など、ギリシャ語の「Xei」から転じられた「未知」を表しており、「前世代のベビーブーマーよりもつかみどころのない、未知なる世代」であるとして、欧米にて人口に膾炙した[4]日本におけるジェネレーションXは、概ねバブル世代ロスジェネ世代にあたる[5]

ジェネレーションXの次世代となる西暦1980年1994年頃出生したポストX世代を、アルファベットでXに次ぐ世代として「ジェネレーションY」(ミレニアル[注 1]世代とも呼ばれる。日本ではロスジェネ世代末期~プレッシャー世代ゆとり世代にあたる)となぞらえた[4]

のちに、ジェネレーションYのポスト世代(概ね1995年~2010年生まれ、一部メディア等では1992年から1994年生まれの者もZ世代に含める事もある)を、Yの次にあたる「ジェネレーションZ」と称される運びとなる[4]。日本においても、若者研究の第一人者[6]として知られる原田曜平によって、ポストゆとり世代を「Z世代」と紹介される[7]。徐々にマスメディアマーケティング業界を中心に呼称が浸透し、2021年には、ユーキャン新語・流行語大賞トップ10に選出された。

 

出典:Z世代 - Wikipedia

 

 「若者研究の第一人者として知られる原田曜平」氏は慶應大学教授で、1977年生まれの46歳。

 ところがこの「Z世代」には、現在の日本で主流の人たちには困った特性があるらしい。再びWikipediaから引用する。

 

ジェネレーション・レフト[編集]

欧米ではミレニアル世代と合わせてジェネレーション・レフト(左派世代)と呼ばれる経済格差や気候変動、ジェンダー問題、ポリティカル・コレクトネスブラック・ライヴズ・マターヴィーガンなど左派的活動を行う者が目立つ[24]旧ソ連型の体制を知らないミレニアムやZの若い世代は社会主義に負のイメージがなく、資本主義体制に失望するほど左派に傾倒。世論調査会社ユーガブの19年の調査によると「社会主義の候補者に投票するか」との問いにZ世代の64%、ミレニアム世代の70%が「投票の可能性が高い」と答えた。16年の大統領選の民主党候補者選びでは民主社会主義バーニー・サンダース旋風に一役買った。2022年現在の日本では同世代(ミレニアル世代・Z世代)が左派的活動をしていることは少ないが、左派系知識人やマスメディアを中心に「Z世代」という言葉を日本にも広めて欧米のジェネレーションレフトを賞賛し、同じように日本の同世代が「目覚める」ことを期待して日本でのジェネレーションレフトを増やそうとする意図が存在する[25][26][27][28]

 

URL: Z世代 - Wikipedia

 

 これを読んで、あっ、それが理由かあ、と得心した。

 何がって、日本維新の会政党支持率が30〜50代ではあれほど高いのに、20代以下になるとガクンと落ち込むことだ。これは自民党を含む他の政党には見られない、維新特有の傾向だ。

 そういえば、現在の維新人気は2020年のコロナ禍初期に大阪府知事・吉村洋文がテレビに露出しまくったことをきっかけにしていることがほぼ定説になっている。インターネットではなく、X世代(1965〜79年生まれ*1)やそれ以上の世代の人々にもっとも影響力の大きなメディアであるテレビを最大限に利用したのだ。維新が大阪で覇権を制したのも、在阪テレビ局を押さえ込むことに成功したからだ。

 Wikipediaには「2022年現在の日本では同世代(ミレニアル世代・Z世代)が左派的活動をしていることは少ない」と書かれているが、それは彼らの人口比が世界平均の32%に対して日本では15%と著しく低いためだろう。

 当然、維新の新自由主義思想にかぶれた世代の人たちにとっては、上記は看過ならない傾向だ。上記Wikipediaもその世代の人々の意向に沿った記述になっていることは明らかであって、だから上記引用部分のすぐあとに、下記の部分が続いている。

 

「Z世代」という表現に対する否定的意見[編集]

デジタルネイティブでジェネレーションレフトであるといったような世代論が、当事者を大人が作ったあるべきZ世代の枠に押し込める危惧もある[29][30]

お笑いタレントカズレーザーは「Z世代」という言葉は年配者が作った言葉であり、Z世代という表現そのものが今時の価値観ではないと提唱している[30]。自分自身をZ世代と称する2000年代生まれの人物より相談があり「老害が多すぎて嫌になる」という相談に対し、「Z世代とかY世代って上の(世代の)人(たち)が勝手に作った枠組みなんですよ……今の価値観にアップデートしたいんだったらこういう言葉は使わないほうがいいですよ、古臭く見られます……絶対“Z世代”なんてダサい言葉使わないでください。昭和だと思われます」と発言し、多くの称賛の声が挙がった[30]

 

URL: Z世代 - Wikipedia

 

 ここに書かれている「カズレーザー」とやらの言い草は、それよりもずっと歳をとった私から見ても、なんておっさんくさい物言いなのかと呆れるほど陳腐なもので、ひどい腐臭を発している。調べてみると「カズレーザー」は1984年生まれの39歳、本当にいい歳をしたおっさんなのであって、「Z世代」の言葉を日本に広めたという原田曜平とは7歳しか違わない。

 Wikipediaが「多くの賞賛の声が挙がった」と書く論拠は、今や高年齢層の人々にしか相手にされていないスポーツ紙の下記記事だった。

 

www.sponichi.co.jp

 

 以下引用する。

 

カズレーザー、2000年代生まれZ世代からの「老害が多すぎて嫌」相談に神回答 「秀逸」「さすが」の声

[ 2022年9月12日 09:27 ]

 

 お笑いコンビ「メイプル超合金」のカズレーザー(38)が12日までに自身のユーチューブチャンネルを更新。2000年代生まれのファンから届いた「老害が多すぎて嫌になる」という質問に、冷静に回答した。

 

 カズレーザーは、視聴者から届いた質問に答える企画動画を更新。さまざまな質問が寄せられる中、「2000年代生まれのZ世代です。いつまでも、昭和の価値観で物事を判断したり、老害が多すぎて嫌になります。(男はこうで女はこうあるべきや、結婚してない=ダメや、過度なパワハラ、セクハラを悪いと思わなかったりなど)」という質問を読み上げた。

 質問には、続けて「特に大御所芸人がMCのバラエティー番組での姿を見ると特に昭和の嫌な価値観を感じます。どうして令和の今でもこんな古臭い価値観は消えないのでしょうか?こんな嫌な価値観は無くなって、アップデートされてほしいです。またY世代のカズレーザーさんは、昭和の価値観についてどう思いますか?」とつづられていた。

 この質問に対しカズレーザーは「Z世代とかY世代って上の人が勝手に作った枠組みなんですよ。本当に今の価値観にアップデートしたいんだったらこういう言葉は使わないほうがいいですよ、古臭く見られます」とチクリ。「もしZ世代に当てはまっているんだったら、絶対“Z世代”なんてダサい言葉使わないでください。昭和だと思われます。そこだけは気を付けてほしいですね」と質問者の言葉選びを指摘した。

 このカズレーザーの返答には「Z世代の質問に対する返しが秀逸」「人生を何周したら、この答えが出てくるんだろうかといつも思う」「カズレーザーさんのわかりやすい回答に目からウロコでした!」「令和の若者が正しい今時 と思うなら 結果を出せば何も文句は言われなくなる」というコメントが寄せられた。

 

スポーツニッポンより)

 

URL: https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/09/12/kiji/20220912s00041000268000c.html

 

 世代論というのはいつの時代にもあって、私が若い頃には「新人類」という呼び方がされた。新人類 - Wikipedia を参照すると、1955〜67年生まれの世代を指すらしい。現在の悪しき新自由主義志向はこの世代から強まり始めたといえるかもしれない。

 以上のような(俗流の)「世代論」の当否は別にしても、情報の媒体が社会や政治を規定することは当然あるだろう。まず新聞が生まれ、次いでラジオ、テレビ、インターネットと続いた。この流れにつれて情報の拡散力は増していき、現在は世界の思想の潮流に日本も否応なしに影響される。いや、かつてもそうだったのかもしれないが、影響力が拡散する時間がかつてとは比較にならないほど短くなり、影響力は大きくなっているはずだ。「ジェネレーションレフト」の傾向が本当にあるとしたら、それは日本も影響を受けずにはいられないだろう。

 私見では、その兆しはすでに見られるのではないか。というのも、ネットであれほど猛威を振るった「ネトウヨ」の影響力が今やすっかり低下したと思われるからだ。昨年の安倍晋三暗殺は、その意味から言っても大きな出来事だった。

 次なる最大の脅威が維新に代表される新自由主義であることはいうまでもない。この世代は30〜50代を占めるから影響は長く続く。その間に世界の各国との違いは拡大されるだろうし、他国からの影響力を遮断するためにも保守・ネオリベ勢力は「改憲」を急ぐことになるのではないか。それと並行して進むのが日本経済のさらなる崩壊だろう。

 今後には大変な時代が待ち構えているとしか思えない今日この頃。「立憲野党」群は、本当ならいつまでも組織防衛にかまけてなどいられないはずだと強く思う。

*1:一説には1960〜74年生まれ。