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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

国立大学法人法の改正案 あす成立へ 大学側から危惧も(NHK)

 これまで全然暇がなくて書けなかったが、既に完全な失敗が事実として明らかになっている「稼げる大学」なるコンセプトを惰性で続けるばかりかその邪悪さをさらに増す「国立大学法人法」改正案は論外の新自由主義及び権威主義をむき出しにした法案だ。同法はこれまでも日本の国力を劇的に弱めてきた。こんな法案に賛成する自公や維新、民民などはすべて某国の政党だとして指弾するほかない。また、これらの政党には政権担当能力がないことを露呈しているにもかかわらず「ホップ・ステップ・ジャンプで5年後の政権交代を目指す」などと呑気なことを吐かしている野党第一党の党首は即刻交代すべきだ。5年も待ってられるかと言いたい。

 以下NHKニュースより。

 

www3.nhk.or.jp

 

国立大学法人法の改正案 あす成立へ 大学側から危惧も

2023年12月12日 20時26分

 

大規模な国立大学法人に、中期計画や予算などを決定する「運営方針会議」の設置を義務づけることなどを盛り込んだ国立大学法人法の改正案は、12日の参議院文教科学委員会で採決が行われ、自民・公明両党や日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決されました。

 

国立大学法人法の改正案は、管理運営や研究体制の充実を図るためとして、大規模な国立大学法人を「特定国立大学法人」に指定し、学長と3人以上の委員でつくる「運営方針会議」の設置を義務づけたうえで、中期計画や予算・決算を決定する権限を与えることなどが盛り込まれています。

立憲民主党は「運営方針会議には懸念がある。大学の自治や学問の自由に対して理解のない人は、運営方針委員に選ばれることはないと考えていいか」と質問しました。

これに対し盛山文部科学大臣は「大学みずからが運営の当事者として、ともに発展に取り組んでいきたいと考える人を学内外から人選してもらい、運営方針会議としての責任と役割を果たすことが重要だ。民間企業の実務経験がある人などを想定しているが、大学に関する理解を深めることができる取り組みをしてもらうことが重要だ」と述べました。

そして採決が行われ、自民・公明両党や日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決されました。

改正案は、13日の参議院本会議で採決され、可決・成立する見通しです。

 

衆議院と同様に付帯決議が可決

 

参議院文教科学委員会では、衆議院と同様に付帯決議が可決されました。

それによりますと
▽運営方針会議が重要事項を決定する権限を有する組織であることを踏まえ、委員の選任では、ジェンダーバランスをはじめとする多様性に留意し、選定過程の透明性・公正性が担保されるよう検討を行うことや

文部科学大臣が委員を承認するにあたっては過去に政府の意に沿わない言動があった人などについて、言論活動や思想信条を理由に恣意的(しいてき)に承認を拒否することのないよう、大学の自主性・自律性に十分に留意することなど
が盛り込まれました。

 

これまでの議論は

 

国立大学法人法の改正案では、国立大学法人のうち、学生や教職員の数、収入・支出の額などが特に大きい法人を「特定国立大学法人」に指定し、「運営方針会議」の設置を義務づけるとしています。

「運営方針会議」は学長のほか、3人以上の委員で構成され、中期計画や予算・決算を決定し、その内容に基づいて運営が行われていない場合は学長に改善を求めることができるとしています。

そして委員は、特定国立大学法人の申し出に基づいて文部科学大臣が承認したうえで、学長が任命すると規定されています。

これについて、立憲民主党共産党などは
▽時の政権と主義主張が異なる人物は大臣が承認しないおそれがある
▽大学運営から教職員を排除する仕組みとなっていて、学問の自由を大きく侵害する可能性がある
などと指摘しています。

これに対し、政府は
▽もともと国立大学法人文部科学大臣が学長を任命することになっており、今回の法案では学長の権限の一部を「運営方針会議」に移譲する形となっていることから、大臣が委員を承認する必要があると説明しています。

また、委員について
▽大学の申し出に手続き的な不備や違法性がある場合
▽明らかに不適切と客観的に認められる場合
を除き、大臣は承認を拒否することはできないとしています。

衆議院文部科学委員会では付帯決議が採択され
▽委員の選定過程の透明性・公正性が担保される選任のあり方を検討することや
▽委員の承認に当たっては、過去に政府の意に沿わない言動があった人物などについて恣意的に承認を拒否することのないよう大学の自主性・自律性に十分留意することなどが盛りこまれました。

 

強い危惧や廃案求める声も

 

国立大学法人法の改正案をめぐっては、国立大学協会が強い危惧を示す声明を出したほか、廃案を求める署名活動や集会の動きも出ていました。

このうち「国立大学協会」は、11月24日に永田恭介 会長名で声明を発表しました。

この中では、改正案で大規模な国立大学法人に「運営方針会議」の設置を義務づけていることについて「国立大学法人が区分され、差異のある取り扱いがなされる可能性があることに強い危惧がある」としました。

そのうえで、
▽会議の設置の有無などで、取り扱いに差を設けないことや
▽会議を設置する国立大学法人の自主性・自律性を尊重することなどを求めています。

また、改正案で会議の委員は文部科学大臣の承認を必要としていることなどから、有志の大学教授らが「大学の自治を侵害している」として、廃案を求めるおよそ4万3000人分の署名を12月1日、文部科学省に提出していました。

 

教授らの団体「大学の自治、学問の自由を葬り去るもの」

 

改正案が参議院文教科学委員会で可決されたことを受け、廃案を求める署名活動や集会を行ってきた有志の大学教授らでつくる団体が抗議の声明を出しました。

声明では、『運営方針会議』に中期計画や予算・決算を決定する権限を与えることなどが盛り込まれていることについて、「学長の重要な権限を移譲すると定めている点で、学内の民主的な意思決定の仕組みを根底から覆し、学外者による大学支配を可能とし、『大学の自治』さらに『学問の自由』を葬り去ろうとするものだ」としています。

そのうえで、「政府・与党は改正を必要とすべき立法事実の説明をまともに行わず、法案の策定過程にかかわる公文書も断片的にしか提出しなかった」として、法案の審議過程についても批判しました。

 

NHKニュースより)

 

URL: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231212/k10014286181000.html

 

 この法案を批判した記事を1件挙げておく。11月25日に公開された記事で前後編の後編らしいが、今日も時間がないのでこれを挙げるにとどめておく。

 

news.yahoo.co.jp

 

大学教育崩壊につながる「国立大学法人法改正案」の問題点とは…民間企業が「稼げる大学」法案で大学を食い物にする矛盾

11/25(土) 13:01配信

 

国立大学法人法改正案」の問題点#2

 

2023年11月20日、大学の自治と学問の自由を奪いかねない「国立大学法人法改正案」が衆議院を通過した。この法案は「稼げる大学」の過熱や文部科学大臣の人事介入を招き、学問の多様性喪失、学生の教育環境悪化を加速させる恐れがある。その理由を解説する。(前後編の後編)

 

「学生に必要な公共施設」より「稼げる民間施設」が優先される危険性

 

この改正案による大学教育への悪影響は多岐にわたる。

 

*本記事で説明を省略する問題点(一県一国立大学の原則崩壊、軍事研究など政権が推進する学問が優遇される恐れ等)を含む全体像は、筆者のtheLetter「第二の日本学術会議問題。国立大学法人法改正による大学教育崩壊の全体像」(2023年11月10日)参照

 

学生の立場でわかりやすい例を挙げると、大学キャンパスで「学生に必要な公共施設」(運動場、寄宿舎、学生食堂、保健管理センター、図書館等)よりも「稼げる民間施設」の建設・整備が優先され、学生の教育環境悪化に拍車がかかることが問題視される。

 

2004年の国立大学法人化以降、予算カットや規制緩和によって政府や経済界が国立大学に「稼げる大学」への変身を求めてきた中、2017年には大学から企業への土地貸付までも認められたが、それには文科大臣の「認可」が必要だった。

 

今回の改正案では「届出」のみで可能になり、貸付のハードルが下げられた。これによって、土地で稼ぐことにさらに積極的になる大学が増えるだろう。こうした本末転倒な状況は国内最高峰の教育機関に位置付けられる東大・京大のキャンパスでも既に現実になっており、さらなる加速が見込まれる。

 

例えば、東京大学では学生寮が不足する問題は放置したままで、白金台キャンパスや目白台キャンパスの余った土地にホテルや老人ホームを建設するプロジェクトを事業者(三井不動産三菱地所等)が進めている。

 

また、京都大学では学生・教職員の健康を守る上で必要な保健診療所の廃止を大学が2021年12月に突然発表。学生らの反対署名を無視して強行されてしまった。「稼げるか、稼げないか」という本来は大学教育と相容れない価値観を押し付けた結果、最も尊重されるべき学生の教育環境は確実に悪化している。

 

さらにショッキングな事例としては、「図書館の図書購入・運営費用」(筑波大学)や「老朽化したトイレの改修費用」(金沢大学)をクラウドファンディングで調達せざるを得ない国立大学まで出てきている。

 

今回の改正案によって、半数が学外者で構成される合議体(運営方針会議)が強大な権限を持てば、このように「学生に必要な公共施設」よりも「稼げる民間施設」を優先する姿勢はさらに顕著になるだろう。

 

学内の教職員であれば決して許さないような、「学び」よりも「稼ぐ」ことを優先した意思決定を、学外の経済界関係者が躊躇なく進めることは容易に想像できる。これこそが、突然の法改正の狙いの1つだろう。つまり、約30年に及ぶ経済低迷で本業だけでは稼げなくなった日本企業が、本来は公共の財産であるべき土地を食い物にして生き永らえようとしているのが実態だ。

 

これは、神宮外苑や旧横浜市庁舎叩き売り(横浜版モリカケ)を始めとする再開発問題の構図とも酷似する。

 

1930年代におきた学問弾圧との共通点

 

身近に大学関係者がいない場合は、まだ当事者意識を持てないかもしれない。

 

この改正案がすべての日本国民にとって他人事ではないとわかるエピソードを最後に紹介する。衆議院で法案審議中だった11月14日、廃案への機運を高めるため大学関係者(大学フォーラム、「稼げる大学」法の廃止を求める大学横断ネットワーク等)は議員会館で緊急院内集会を開催。

 

そこで指宿昭一弁護士は、かつての日本にも現在とよく似た時代があったことを以下のように指摘した。

 

明治憲法下において大学の自治が侵害されて、何が起こったか。軍国主義が蔓延り、そして戦争への道に突入した。1933年、滝川事件。その次の年に天皇機関説事件。今、それと同じ政治社会状況にある。(中略)2つの事件を通じて大学の自治や学問の自由が破壊されてアジアへの侵略戦争へと国が進んでしまったことを私たちは決して忘れてはならない。だから何としてもこの法案を阻止しなければならない」

 

*滝川事件:著書が共産主義であること等を理由に京都帝国大学 瀧川幸辰教授を文部大臣が罷免・弾圧した事件

天皇機関説事件:「主権は国家にあり天皇には無い」と唱えた憲法学者 美濃部達吉を軍人や右派政治家が弾圧した事件

 

https://youtu.be/LjwId-NnidU

当日の集会映像。指宿昭一弁護士の該当発言は56分33秒~

 

指宿弁護士は、現在の日本は太平洋戦争直前の1930年代と酷似しているという。「歴史は繰り返す」という名言の通り、国立大学法人法改正案は大学教育の崩壊にとどまらず、近い将来に日本が再び戦争当事者国になる可能性につながるほど危険な法案といえる。

 

取材・文/犬飼淳

 

集英社オンラインより)

 

URL: https://news.yahoo.co.jp/articles/fe9a171357725b509e982f77bf46f7148567c996