政治おじいちゃん氏のXを見ていたら、下記Xがリポストされていた。
これは、素直に評価できる。 https://t.co/MtDFYcHPuc
— YA (@YA26669600) 2024年4月22日
発信者のプロフィールを見ると、立民と共産を支持していると書かれている。
一方、乙武洋匡の「選挙妨害を無くす『公職選挙法の改正』」は、乙武を推薦する都民ファ◻︎ストの会が言っていることでもある。背景にはむろん、今回の衆院東京15区補選で黒川敦彦一派がやらかしている乱暴狼藉への対応がある。
だがこの件で「立民と共産を支持する」若年層の方が、都ファと乙武の公約を「素直に評価する」姿勢で良いのだろうか。大いに疑問だ。
泉健太支持者のnaoko氏のTwilogを見ると、本件に関する立民・五十嵐衣里都議のXがいくつかリポストされている。このところ何度も弊ブログからリンクして紹介している五十嵐都議のXには非常に良いものが多い。naoko氏がまずピックアップしたのは下記Xだ。
都民ファも同じ。平素あれだけ「表現の自由」とか言っておいて自分達に何かあると、規制の意味や萎縮効果を考えず、すぐ罰則強化を主張して、都民ファやってる感アピールに利用。非常に問題ある選挙妨害ですが、既に選挙妨害罪があり、施政者なら現行法で対応できるか検討するのが先ではないでしょうか https://t.co/IcSjbIcgFP
— 五十嵐えり💁♀️都議・弁護士(武蔵野市選出) (@Igarashi_Eri) 2024年4月23日
上記Xは、米山隆一衆院議員の下記Xを受けて発信されたものだ。
私は①罰則強化に犯罪防止効果はあまりなく罰則強化は不要。認識している通り、②③の条文変更も不要で、ただ単に警察が仕事をすれば/政府・自民党が適切な行政運営をすればいいだけだと思います。改正するなら公選法201の15第3項で「維新脱法機関紙ビラ」を明示的に禁ずべきと思います。 https://t.co/DQWN3LCNTz
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) 2024年4月22日
それにしても、平素あれだけ表現の自由だの覚悟だのと言っておいて、何かあると、規制の行き過ぎや委縮効果を考えず、直ぐ罰則強化に行くのが #如何にも維新 #如何にも音喜多氏 だと思います。勿論この件の加害者は言語道断ですが、それでも表現の自由、政治活動の自由は最大限守るべきものです
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) 2024年4月22日
米山議員は批判の焦点を維新に当てているが、五十嵐都議は「都ファも維新と同じ」と断じ、「施政者なら現行法で対応できるか検討するのが先ではないか」という。私はこちらに説得力を感じる一方、何かというとすぐに「罰則強化」を言い出す維新だの都ファだのには強い反感を持つ。しかし今時の30代の立民・共産両党の支持者を自認する方が都ファ(乙武)の「公職選挙法改正」との公約を「素直に評価できる」と仰るのだから頭が痛くなる。支持政党は立民や共産であっても、思考は都ファや維新に近いのではないかと疑われる。そんなことで良いのだろうか。もっとも最近は立民や共産もその支持層の組織防衛志向の強さに閉口させられることが多いが。
naoko氏がリポストした五十嵐都議のXを続ける。
ちなみに確認したところ、公職選挙法は、演説による妨害を排除していないという。選挙の自由妨害罪(公職選挙法225条2号)は「演説を妨害し」「選挙の自由を妨害したとき」は暴行罪よりも加重の4年以下の懲役もしくは禁固又は100万円以下の罰金刑となる。… https://t.co/NU9DSvtYA5
— 五十嵐えり💁♀️都議・弁護士(武蔵野市選出) (@Igarashi_Eri) 2024年4月23日
上記Xは、同じ五十嵐都議の下記Xを受けたものだ。下記Xにはとりわけ印象に残る、素晴らしい文章が書かれている。
普通は権力者の自覚があれば、権力の行使は謙抑的であるべきということを理解しているはずですが。本件で警察は何もしないのではなく、現行法で逮捕することが憲法で保障された人権を侵害しないか慎重に判断する必要があるから。彼らは「逮捕」という公権力の行使が極めて強力な人権の制約であることを…
— 五十嵐えり💁♀️都議・弁護士(武蔵野市選出) (@Igarashi_Eri) 2024年4月23日
都ファや維新に対しては、上記Xに含まれる下記の批判が強く刺さる。
権力者である政治家から、国民の自由を制約する罰則強化を声高らかに、自党アピールのために宣言すること自体、こういう人たちに権力を持たせるのは恐ろしいなとつくづく思います。議会での「知事批判の発言削除の動議」しかり、自分たちは王様か何かと勘違いしているのでしょうか。
引用文の後半の「知事批判の発言削除の動議」とは、3月に都議会で都ファと自公とが一体になって立民と共産の都議の発言に対して発したものだ。五十嵐都議はこれを強く批判するXを持続的に発信してきた。これぞリベラル政治家の鑑であり、こういう人が都議選で武蔵野市から立候補して当選するんだなあと、リベラル不毛の地である東京15区に住む私は感心する。私は同都議が東京18区の候補者になれば良いのにと思っていたが、小池百合子一派が独裁し、立民衆院議員・手塚仁雄の秘書だった伊藤悠なる人物がパシリとして目黒区長になろうとしていたというこのとんでもない東京都においては、五十嵐都議のような人が都議会には欠かせないのではないかと思うようになった。同都議には、極悪独裁者・小池百合子が都政から去ったあとには国政に進出してもらいたいと強く思う。
それにしても、「普通は権力者の自覚があれば、権力の行使は謙抑的であるべきということを理解しているはず」という「普通」の権力者が、今の日本にはなんと少ないことだろうか。
「謙抑的」というのは、字面を見れば明らかな通り「謙(へりくだ)って控えめにすること」という意味だが、法律家がよく使う言葉なのだろうか。このあたりは宮武嶺さんにお伺いしたいと思う。一般には「権力者は権力の行使に抑制的であるべき」などという。
この言葉から思い出される近年(といってももう30年以上前だが)の首相としては宮沢喜一がいる。一方、真っ向からこれに反する首相として思い出されるのはいうまでもなく安倍晋三であり、またもしかしたら安倍以上だったかもしれない菅義偉である。菅は、安倍政権を内閣官房長官として支えた人だった。たとえば「権力行使 抑制的」という検索語でネット検索をかけると、4年前の下記毎日新聞記事が上位でヒットする。
現首相の岸田文雄はどうかというと、昨年、日経に下記のように書かれていた。
日経は
宮沢氏が唱えた「権力の抑制的な行使」と安倍氏の決断する姿勢をともに継承する。
と書いているが私は同意しない。岸田が継承しているのは安倍(や菅の)「決断する姿勢」だけである。だから安倍の国葬も、軍事費のドラスティックな増額も、国会のぎろんもほとんど経ずに、ほぼ岸田の独断で決まった。また安倍を国葬して安倍派にすり寄りながら、裏金問題が起きると中途半端な権力闘争を安倍派と展開している。それも、森喜朗や萩生田光一のような敵の本丸はむしろ庇い立てながら、塩谷立(しおのや・りゅう)のような小物を狙い撃ちする卑屈さだ*1。
五十嵐衣里都議のXの紹介に戻る。
>「選挙運動の自由を暴力、妨害等で侵す行為は公職選挙法上の処罰の対象となりうる」との見方を示した。
— 五十嵐えり💁♀️都議・弁護士(武蔵野市選出) (@Igarashi_Eri) 2024年4月23日
現行法で対処可能です。厳罰化を宣言してやってる感アピールするより、現行法で対処が先です。
総務相、選挙妨害「処罰の対象になりうる」 東京15区補選巡り 毎日新聞 https://t.co/OfnIVpNMAr
選挙妨害について公職選挙法を改正すれば解決出来ると思って、改正を公約にしちゃう都ファは、現行法の条文も解釈もよく理解してないのでしょう。調べてもない。
— 五十嵐えり💁♀️都議・弁護士(武蔵野市選出) (@Igarashi_Eri) 2024年4月23日
自分達に何か起きたらすぐ「規制だ厳罰化だ」と騒ぐ。ただのやってる感アピール。現行法で対処すべきものは改正を待たず対処すべきです。 https://t.co/hEM6MGxcXH
選挙妨害について公職選挙法を改正すれば解決出来ると思って、改正を公約にしちゃう都ファは、現行法の条文も解釈もよく理解してないのでしょう。調べてもない。
— 五十嵐えり💁♀️都議・弁護士(武蔵野市選出) (@Igarashi_Eri) 2024年4月23日
自分達に何か起きたらすぐ「規制だ厳罰化だ」と騒ぐ。ただのやってる感アピール。現行法で対処すべきものは改正を待たず対処すべきです。 https://t.co/hEM6MGxcXH
上記Xには他の方とのやりとりがある。
彼らのやっていることを理解するのに時間を要しました。現行法の理解が足りていないのならつじつまがあいました。
— たろう (@jfhCeQqre3TKf51) 2024年4月23日
ただ、彼らに都政を任せて大丈夫なのかと改めて感じました。他の問題でも問題の本質を捉えず、やっている感アピールをきっとするのだろうと思うと政治が陳腐なものになると危惧します。
都民ファ候補の公約見てびっくりしました。運用の問題なのに、もっと公職選挙法が適用出来る改正をする、って具体性な改正案ゼロ。現行法で対応すればいいのに。候補者本人はともかく、周りも助言してあげなかったのが残念ですね。
— 五十嵐えり💁♀️都議・弁護士(武蔵野市選出) (@Igarashi_Eri) 2024年4月23日
「候補者本人はともかく、周りも助言してあげなかったのが残念ですね」というのには笑ってしまった。候補者とはたぶん乙武洋匡のことなんだろうけれども、乙武は都ファが「公職選挙法改正」と言い出したから慌ててお題目だけ追随したものなのだろう。問題はそんな候補のXを見て「立民・共産」支持を言明する人が「素直に評価できる」と思ってしまうことだ。いくらなんでも権力に対する懐疑が弱すぎる。
昨日は、目黒区議選に惜敗したばかりの西崎翔前都議が衆院東京15区補選の酒井菜摘候補の応援に駆けつけたものの、黒川敦彦一派(と思われる)の妨害に遭って演説会中止に追い込まれたらしい。五十嵐都議が西崎氏の下記Xをリポストしていた。
大切な仲間である酒井なつみ候補の応援に江東区へ駆けつけたのですが、マイクを持って30秒で妨害に遭い、演説会が中止に。これほど悪質かつ執拗な嫌がらせが連日続いているとは。民主主義の根幹を成す選挙の、重大な危機です。
— 西崎つばさ 【前都議・目黒】 (@Tsubasa2439) 2024年4月23日
しかし、現行法で対処可能と思われるこれらの暴挙に乗じて、公職選挙法改正(厳罰化)を掲げて「やってる感」をアピールするだけの(都)ファの候補に立民・共産支持者が迎合してどうする、と思った。
*1:思い出したが、自民党静岡県連の会長はあの城内実なんだってな。城内はなぜか安倍派には属さず無派閥だが、選挙ではスズキ元会長の鈴木修のバックアップを受けて常に楽勝らしい。この人を選挙で落とせるくらいにならなければ日本に本当の民主主義はやってこないと私は思う。かつてはこの人を「『右』も『左』もない。オレは『下』や」なるスローガンを掲げた某ネット軍師の旗の下で、ネットの反自公政権のブロガーたちに熱烈に応援された時期があった。私はその連中からパージされたのだった。あ、そうそう城内は2006年の正月には「世に倦む」なんとやらのブログに麗々しく登場したこともあったな。20年近くも前の話だからもう誰も覚えていない(知らない)だろうけれども。