遠藤周作の「海と毒薬」を読み返した。三回目になる。もちろん小説としては名作だが、実話をヒントにしたフィクションであることはおさえておかねばならない。
- 作者: 遠藤周作
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1960/07/15
- メディア: 文庫
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文庫本は1960年発行だが、単行本は1958年刊だ。戦後13年しか経っていない時期の作品だけに、戦争の記憶が生々しい。
ところで、この作品で学部長の親類である田部夫人の手術を、教授が政治的に利用しようとしたものの手術に失敗し、夫人が亡くなってしまうくだりを読んで、浦沢直樹の漫画「MONSTER」を思い出した。
- 作者: 浦沢直樹
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/06
- メディア: コミック
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「海と毒薬」が生体解剖なら、「MONSTER」は人体実験(旧東欧で行われたといわれる人格改造の実験)を扱っている。この漫画には昔ずいぶんはまったもので、「MONSTER」とドストエフスキーの作品の連関についてトンデモな私論を唱えたりして一人悦に入っていたものだが(詳細についてはすっかり忘れてしまった)、ネット検索したら、本気で「MONSTER」とドストエフスキーを関連付けて論じている学者を見つけてびっくりした。批判的な言及なのでリンクは張らないでおくが。