kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

カナダ下院が解散、10月14日総選挙へ

今朝目を引いたのが、カナダの下院が解散し、10月14日に総選挙を行うというニュースだ。
http://www.asahi.com/international/update/0908/TKY200809070169.html

カナダでは2006年1月の総選挙で、それまで政権を握っていた中道左派自由党から右派の保守党に政権が交代し、現ハーパー政権は親米で、環境問題には不熱心だとは聞き知っていた。

リンクを張った朝日新聞の記事によると、

 国民の最大の関心は、米国の景気停滞の強い影響を受ける国内経済の落ち込み。とくに7月の失業増加数は91年以来最悪を記録した。生活不安の高まりから医療保険改革の論議も高まっている。ハーパー首相は、景気がさらに悪化する前に解散した方が与党に有利と判断したようだ。

 前回総選挙で13年ぶりに政権を奪われた自由党は、環境問題を中心にアピールしてきた。京都議定書の目標達成を断念するなど地球温暖化対策に消極的とみられた保守党政権との違いを打ち出す狙いだが、経済不安が増すなかで国民の受けはいまひとつだ。

などと書かれているので、興味をそそられた。そこで、ちょっと調べてみた。

まず、左派から右派への政権交代のあった2006年総選挙については、
2006年カナダ総選挙: カワセミの世界情勢ブログ
が検索に引っかかったが、ここからリンクの張られている
http://www.canada.com/national/features/decisioncanada/data/elxn_update.html
が面白かった。カナダ下院の総選挙は小選挙区制で、極端な結果が出たかと思いきや、保守党124議席自由党103議席と拮抗している。オンタリオ州では自由党議席が多く、ケベック州では「ケベック連合」が圧倒的な支持を得ているが、中西部で保守党が圧倒的に強く、いわば地方の保守票で政権を獲ったもののようだ。思わず、日本で自民党の強い中国・四国・九州を連想してしまった。

上記リンク先「Canada Decision」は、各小選挙区の得票状況がクリック一発でわかるのが実に楽しく、同じオンタリオ州でも、トロント中心部が自由党の圧勝だったのに、ナイアガラ・フォールズでは保守党が辛勝したりしている。

さらに面白かったのが「日本deカナダ史」の2006年1月25日付記事
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2006-01-25
で、現代カナダ政治史のあまりの面白さに、食い入るように夢中になって読んでしまった。

まるで日本の現代政治史の鏡像みたいで、二大政党制とは名ばかりで、大部分の時期は中道左派自由党が政権を握っていて、保守は万年野党だったこと。カナダでも、ご多分に漏れず新自由主義勢力が台頭したものの、これが中西部の旧保守の地盤を食い荒らしてしまって保守分裂の様相を呈し、自由党の政権をますます磐石にしたこと。新自由主義政党は「改革党」と称していたこと。日本で民主党自由党が合流したと同じ2003年に、保守合同が実現して、ようやく保守勢力が自由党に対抗できるようになったこと。与党・自由党は内紛や政権投げ出しなどで次第に弱体化し、2004年総選挙では辛勝したものの、2006年総選挙でついに政権交代を許してしまったことなどが記されている。

ちょうど左右が真逆だが、推移は日本と実によく似ている(カナダの場合、イギリス系国民とケベック州のフランス系国民の対立があるので、日本よりずっと複雑ではあるが)。そして、今回の総選挙では経済問題が争点になるそうだが、野党の主張する環境税の導入は、国民には不評らしい。そのせいもあって、保守党は支持率で自由党をリードしており、小選挙区制をとるカナダの場合、支持率のリードが少し広がった程度でも、獲得議席に大差が生じる可能性がある。保守党政権は、この機を逃すと、アメリカ経済の失速によって、親米の現政権の支持率が下がる恐れがあるので、チャンスは今しかないと判断して議会の解散に踏み切った、ざっとそんなところのようだ。

ハーパー首相が下院を解散、総選挙は10月14日:日本deカナダ史:So-netブログ
によると、どうやら保守党有利の情勢らしい。

私に興味があるのは、日本に先立って選挙戦が行われるカナダで、与野党がいかなる主張をし、それに国民がどう反応するかである。それが、きたるべき日本の衆議院選挙における選挙戦でも参考になると思うのである。