kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「春に酔える者」との「告別」

ちょっと前にショスタコーヴィチについて書いたことを思い出して、2ちゃんねるクラシック音楽板を見に行ったら、こんなスレが立っていた。
中川昭一元財務相に捧げるクラシック

スレ主が書いた最初の書き込みを見て吹いた。

1 :名無しの笛の踊り:2009/10/04(日) 11:45:55 id:KCirQA3v
マーラー大地の歌

合掌。

マーラーの「大地の歌」は、李白、銭起、孟浩然、王維の詩のドイツ語訳にマーラーが音楽をつけたもので、「交響曲第9番」と並んで作曲者の最高傑作とされているが、その第5楽章が、李白の詩による「春に酔える者」。そして、全曲の半分の長さを占める最後の第6楽章が「告別」。これは、前半が孟浩然、後半が王維の詩による、この世との別れの歌。最後は、"Ewig, ewig...."(永遠に、永遠に)のリフレインで終わる。

中川昭一が「もうろう会見」の醜態をさらした「ローマの窮日」は、春も名のみの2月だったとはいえ、立春は過ぎていた。そして、「告別」。あまりにドンピシャな符合に笑ってしまったわけだ。スレ主は「合掌。」とは書いているものの、「大地の歌」を持ち出しているところに、明らかな悪意が感じられる。

ところが、このスレの書き込みには、スレ主の意図が読み取れないのか、それともそれにはお構いなしなのか、中川(酒)支持の意見が多い。

お約束の陰謀論者もいる。

74 :名無しの笛の踊り:2009/10/06(火) 01:08:59 id:aoE9W5UA
お前みたいな奴がいるおかげで裏の謀が着々と進んでいくんだよ
世界で今何が起きているか、どこに向かっているか解かってないのはお前だろ
自分が洗脳されてるからそのセリフ吐くんだよ、自覚無いのか?
いつまで脳天気の極楽トンボでいるつもりなんだww尻に火がついてるぞww


93 :名無しの笛の踊り:2009/10/18(日) 13:42:50 id:j3SnyLET
ウィーンで指揮者の座を追われ、異国で失意の死を遂げたマーラー
財務大臣として業績を上げながらも、マスゴミの情報操作によって叩かれ、落選し、失意の死を遂げた…

二人の死に様は似ている。
共通してそこにいたのは、真実が見えない馬鹿な民衆。
我々は中川氏に謝らなければならない。

後者に至っては、スレ主の悪意が通じていないどころか、中川(酒)マーラーと並び称している。そして、「マスゴミ」という単語を目にすると、「鳩左ブレー」が懐かしく思い出される。

しかし、このスレの中でもっともぶっ飛んだのは、下記の書き込みからリンクを張られているブログ記事だった。

24 :名無しの笛の踊り:2009/10/04(日) 21:09:52 id:GNMy7qYx
絶滅危惧雑誌に中川昭一先生再起待望論
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?p=1149

レコード芸術にのったそうですね。

以下、上記リンク先のブログ記事から引用。

私が毎月読んでいる雑誌で「レコード芸術」というのがある。

(中略)

ただ、この雑誌、まさに、絶滅危惧種的なもので、雑誌の廃刊が近時たえまない業界で、よく生き残っているものだと、感心する。

この雑誌の購読者には、私のようなオーディオ・マニアも含まれているので、オーディオの機械について触れた記事も多い。

そのなかに「寺島靖国の武蔵野オーディオ目録」という、1ページもののコラムがある。

筆者の寺島さんは、吉祥寺で「メグ」という音楽喫茶を経営されていて、ここのメインのスピーカーは、ウン千万円もする「アバンギャルド」という、ホーン型スピーカーの名機である。

その寺島さんが、「レコード芸術2009年10月号」で、場違いな話題として、中川昭一さんのことについて、その再起待望論を書かれている。

こんな具合だ。

以下引用

テレビを見ていたら、落ちた議員の中川昭一さんがメシを食っていた。
中略
「今の季節はやっぱりサンマだねぇ。」などとモソモソ言っている。
それにムリがあって、可笑しかった。憎めない男である。私は好感を持っている。品があって、政治屋という感じがしない。
中略
酔っぱらい癖ぐらいは可愛いものである。
中略
ああいう、トロンとした酔いには、ユーモアがあって悪くない。
中略
日本国民は正義の味方、黄金バット(古いね)だから、ローマの酔っぱらい会見を、ここぞとばかり叩いた。水に落ちた犬に石を投げる塩梅だ。
世界の人々は、日本にも、オモロイ人物がいるじゃないか、朴念仁ばっかりじゃないんだ、気に入った、などと、日本人を見直すんじゃないか。
ああいう人物は、政界に置いておいていい。
落とすべきは******」

以上引用終わり

レコード芸術」は、昔オーディオのセットを買った頃に立ち読みしていたこともあるが、最近は手に取ったこともない。ほとんど売れてもいないだろう。まさに「絶滅危惧種」の雑誌。しかし、その雑誌にこんな右翼記事が出ていたとは驚いた。しかも、人の名前のことを言っちゃいけないのかもしれないが、著者名が寺島「靖国」氏とは。クラシック音楽とは無関係の右翼政治家の弁護を書く人には似つかわしい名前とも言える。

かつてのNHK-FMクラシック音楽解説陣は左翼揃いだったが、一般のクラシック音楽の愛好家やこの分野の雑誌の編集者には右翼が多いのかどうか、それはわからない。クラシック音楽というとドイツが本場だからネオナチは好むのか、それとも国粋主義者たちは外国の音楽を嫌うのか、それもわからない。

ちなみに、マーラーユダヤ人である。