kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

田原総一朗も肩入れする「地球温暖化懐疑論」、論破される

朝まで生テレビ』は、今年に入ってからはほとんど見ておらず、8月に放送されたという「激論!ドーする?!地球温暖化」も未見だ。

テクノロジー : 日経電子版 は、この番組に出演した江守正多氏が、番組の議題について書いた記事だ。江守氏は1970年神奈川県生まれで、国立環境研究所地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室室長。つまり、環境問題の専門家である。

以下引用する。

 劇的な政権交代をもたらすことになった衆院選のまさに直前、8月28日深夜に、討論番組「朝まで生テレビ!」が「激論!ド〜する?!地球温暖化」をテーマに放送されました。僕はその中で、東京工業大学丸山茂徳さんと、「温暖化 vs 寒冷化」という討論をすることになりました。今回はそのことを振り返ってみたいと思います。

 そもそも、僕は今世紀の気候予測について「温暖化 vs 寒冷化」というまともな科学的論争があるとは思っていませんが、テレビのいわば「出し物」のつもりで、仕方がなくその枠組みに乗って議論をしました。丸山さんが「寒冷化説」、僕が「温暖化説」です。丸山さんには中部大学の武田邦彦さんが、僕には東北大学の明日香壽川さんがセコンドに付くような形になりました。

 司会のお馴染み田原総一朗さんは、武田さんと丸山さんの共著本(『「地球温暖化」論で日本人が殺される!』)の解説を書いています(田原さんは「私は科学的に何が正しいかわからないが、世の中が全員で一方方向に進むのは危険な気がする」といった趣旨の、ある意味無難な解説をされていました)。そのせいかわかりませんが、前回僕が同番組に出たときに比べると、田原さんがいわゆる「懐疑論」にやや同調的だった感じがしました。

なんと、田原総一朗武田邦彦丸山茂徳両教授の共著に解説を書いていた!

池田信夫に続いて田原総一朗までもが、一部ネット左翼も大好きな「地球温暖化懐疑論」に乗っかったわけだ。左右共闘だけじゃなくて、電波芸者連の大ボスまで応援団に加わり、まさしく最強軍団だね!

 さて、せっかくなので、僕は前から感じていたあることをここで言おうと思って用意していきました。それは、いわゆる「懐疑」には「健全な懐疑」と「不健全な懐疑」があるということです。

 「健全な懐疑」は、科学の進歩に必要不可欠な、科学者が誰でも持つべき態度です。従来の理論に問題はないか、別の可能性はないか、考え落としていることはないか、などと問い続けることによって、科学は進歩していくものです。このとき、従来の科学的な知見をしっかりと踏まえて、その上に議論を展開することが大前提になります。

 一方、「不健全な懐疑」は、この大前提を満たさない、科学者としてふさわしくない態度です。従来の科学的な知見を踏まえず、あるいはわざと無視したり、わざと曲解したりすることによって成り立つような懐疑です。このような懐疑は、往々にして従来の説を不当に貶(おとし)めます。

 よく、懐疑論を擁護する発言として「科学には懐疑が不可欠だ」といわれますが、本当に擁護されるべきは「健全な懐疑」であり、「不健全な懐疑」ではないはずです。

これは胸のすく正論。

 では、「不健全な懐疑」を見破るにはどうしたらよいのでしょうか。その一番の方法は、「原典にあたること」だと思います。本に引用されている文章やグラフの原典を探して、本当にそう書いてあるのか、本当にそういう文脈で出てきているグラフなのか、ということを確認することです。場合によっては、データの原典にあたる必要もあります。

本多氏は、このコラムでその一例を挙げる。詳細は、コラムの2ページ目を読んでほしい。

 つまり、太陽活動は、60年ごろから70年ごろに向けていったん下がり、それから上がって、90年ごろから00年ごろに向けてまた下がっています。それにもかかわらず、その間、気温は長期的にはずっと上昇傾向を示しています。この期間のデータを見せられたら、太陽活動が強いほど気温が高いという説明にすぐに納得する人はあまりいないでしょう。

 丸山さんは、根本さんのグラフの前後のデータがこのようになっていることを当然知っているはずですが、それにもかかわらず根本さんのグラフを引用し続けるのはなぜでしょうか。僕は番組中で丸山さんに聞いてみましたが、答えは得られませんでした。

丸山教授はテレビ討論で本多氏の質問に答えられなかったとのこと。

 一方、丸山さんからは、海水準変化から推定した過去1000年スケールの気温変化が太陽活動の変化とよく対応している、というグラフが提示されました。僕はそのグラフを見るのは初めてだったので、当日は具体的な論評をするのを控えておきました。

 結局、10年程度の時間スケールでは僕が言うように太陽活動と気温の変化は必ずしも対応しないが、1000年の時間スケールでは丸山さんが言うように太陽が重要なのだろう、という雰囲気になんとなくなって、この議論は時間切れになりました。

 しかし、それならばなぜ、丸山さんは「今後5年間を見ていれば温暖化か寒冷化か決着が付く」なんて短い時間スケールのことが自信満々に言えるのでしょうね。これも番組中で丸山さんに聞いてみましたが、答えはよくわかりませんでした。

 まあ、テレビの出し物ですので、こんなもんでしょう。

丸山教授は、質問に答えられなくなったら話をそらしたらしい。たいした科学者である。なお、丸山教授は地質学者(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻教授)であり、気象学の専門家ではないことを書き添えておく。