kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

1976年に朝日新聞の大熊由紀子が「地球温暖化」論を「原発推進」論の口実に用いていた

またまた飯田哲也氏のTwitterより。


http://twitter.com/#!/iidatetsunari/status/95065628095950848

言及はあったかもしれませんが、政策で強く出してきたのは京都会議以降なのは、飯田は当事者として証言できます RT @watawata52: ぼくも温暖化と原発は無関係だと思っていますが、口実として利用してきたのは80年代後半からだと思います。当時の原子力白書などでそういう記述を


政策にリンクさせたのはともかく、「地球温暖化」論を「原発推進」論の口実に用いる行き方は、1970年代には既にあった。
その証拠は、あの元朝日新聞科学部記者(のち論説委員)・大熊由紀子の迷著『核燃料―探査から廃棄物処理まで』である。
1976年に朝日新聞が連載した大熊由紀子の原発推進記事「核燃料―探査から廃棄物処理まで」 - kojitakenの日記 でも紹介したが、再掲する。

原子力は人類絶滅の危険をはらむ」というタンブリン博士たちの論法をまねることが許されるなら、その二酸化炭素は「全人類を絶滅される危険がある」と主張することもできる。なぜなら、大気中の二酸化炭素は、地球の表面から外へ向かって逃げようとする熱を吸収して、そのまま蓄え、地球の気温を上げるからだ。「二酸化炭素温室効果」と呼ばれる現象だ。

(大熊由紀子『核燃料―探査から廃棄物処理まで』(朝日新聞社、1977年)172頁)


当然これは大熊由紀子の独創ではなく、取材対象の誰かから聞いたか何かで読んだかした話を記事にしたものだろう。だから、既に70年代にはこうした言説はかなり原発推進派に浸透していたのではないかと思う。私は大熊のこの記事を知って、「地球温暖化論を原発推進の口実にする言説はこんなに古くからあったのか」と驚いた次第。

もちろん、これと実際に政策決定の際に「地球温暖化論」を出してきた時期とはズレがあって当然だろう。また、「本当に原発地球温暖化防止に役に立つのか」という点についても検証が必要なのではないか。そもそも原発はそれを動かすための電力を必要とするし、大量の温排水を海に垂れ流す存在でもある。


もちろん、当ブログで繰り返し意見を表明してきたように、私自身は「地球温暖化懐疑論」ないし「地球温暖化陰謀論」には与しない。