kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

口先だけで中身が伴わない「草の根右翼」・城内実

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100109k0000m040034000c.html より。

石原知事:派遣村「あの程度の行事」 入所者「甘えた話」

 国と東京都が開設した「公設派遣村」で多数の入所者の所在が分からなくなっている問題を巡り、石原慎太郎知事は8日、「こっちは国に頼まれてやったこと。国の役人が現場へ来て手伝ったらいい」と述べ、国の責任を強調した。鳩山由紀夫首相や閣僚が派遣村を視察したことについては「あの程度の行事に総理大臣が出かけて行くべきじゃない」と批判。「私は行きません」と断言した。

 公設派遣村は国が費用を負担し、実施場所の確保や運営は国の要請を受けた都が受け持っている。石原知事は「本当は現場を構成するはずの国が何もしないでおいて、総理大臣が(視察して)『お気の毒ですね、大変ですね』っていうことで済むのかね」と述べた。

 公設派遣村は5日から、日雇い労働者向け宿泊施設「なぎさ寮」(大田区)に拠点を移し、2週間の期限で入所者の支援を続けているが、石原知事は「期限は延長しない」と明言。入所者については「仕事をあっせんしたら『それは嫌だ』と言い、とにかく生活保護をもらえれば結構だという人もずいぶんいる。甘えた話だと思います」と語った。【市川明代】

毎日新聞 2010年1月8日 19時26分

いかにも石原の言いそうなことだ。で、この記事についた「はてなブックマーク」。
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kechack 石原慎太郎 弱者に厳しいのが保守だと思っている55年体制脳の保守政治家が支配してる限りは保守は脅威ではない。弱者に手を差し伸べオルグを始める保守団体が登場した時が脅威。 2010/01/09
shigeto2006 「弱者に冷たい保守」という政治思想が10年前から全然変わっていない石原慎太郎。こんな都知事が3選していたとはね… 2010/01/09
FUKAMACHI 石原慎太郎 だいたい弱者に冷たい保守ってなんなんだ。存在価値ないだろ。オリンピック脳の悲劇。 2010/01/09

ま、「弱者に厳しい保守」というのは何も「55年体制脳」に限らず、サッチャーレーガンの流れをくむ新自由主義者は概してそうだった。伝統的に新自由主義者というのは、サッチャーレーガンに代表されるように新保守主義者でもあった。新自由主義によって人民が受ける痛みを和らげる手段として、国家の権力や昔ながらの伝統、共同体と言ったものを重んじる新保守主義を用いたわけだ。彼らは、あくまで本質的には弱者に厳しい人たちであり、傷ついた弱者の痛みを緩和する役割を伝統的な共同体に丸投げしていただけだ。ところが、日本では昔ながらの伝統や共同体が既に壊れていたため、弱者が受ける痛みの緩和を共同体に丸投げすることさえできず、その結果、小泉純一郎石原慎太郎のような、ただひたすら冷酷なだけのポピュリスト的新自由主義者が国や首都の長になるという特異な現象が起きたのである。

さすがに、2007年の参院選や昨年の衆院選でその反動が起き、自民党政権が終わってしまったが、自民党自体も今後そう遠くない時期に終焉の時を迎えるだろう。もちろん、それに対して右翼も黙っているはずがない。

はてブコメント」に指摘されているような、右翼も弱者に手を差し伸べて勢力を回復しようとする動きは、もちろん以前からあって、政治家でいえば村上正邦らの運動がそうだろう。彼らは現実に「草の根保守(右翼)」を増やし、それが小泉時代に頂点を迎えたといえる。しかし、首相就任当時には新自由主義新保守主義をともに掲げていた小泉が、次第に新自由主義一本槍に傾くと、右翼というか国家主義者たちが離反していった。そしてその決定的なできごとが「郵政総選挙」だった。

この時、郵政民営化法案に反対して選挙で「刺客」・片山さつきを立てられて落選したのが、われらが城内実である。城内は、このいきさつから「小泉構造改革」に反対するようになった。

☆お知らせ☆ チャンネル桜に出演しました « 城内 実(きうちみのる) オフィシャルサイト に、「チャンネル桜に出演したから見ろ」と書いてあるので、長いのを我慢して見た。



だが、ここで紹介されているのは、大部分が延々と続く城内実の国会質問であり、質問時間を15分ももらった城内は、そのすべてを、千葉景子法務大臣に対する人権擁護法案反対の立場からの質問に充てた。番組で城内はこのほか、外国人参政権と、選択的夫婦別姓(を含む民法改正案)を民主党が成立させようとしていると言って、これらを「日本解体法案」とか何とか言って批判していた。

このまま番組が終わるかと思った27分過ぎになって、ようやく城内は「保守も福祉や経済を重視すべきだ」と口にした。「弱者に対する慈しみの心が大事だ」とか、「(保守は)私(注:城内実)自身もそうだったが、経済についてはトンチンカンだったから、小泉・竹中の郵政民営化を許してしまった」などと言っていたが、それだけだった。

結局、城内実は、課題としては「右翼も弱者に手を差し伸べる姿勢を見せるべき」だと認識していても、実行が伴っていないようだ。それが証拠に、「チャンネル桜」のこの番組でも城内は、福祉や経済については終わりの方で申し訳程度に触れた程度だった。口先だけで、中身が全くない。新自由主義者片山さつき大村秀章でさえ、昨年の「派遣村」に姿を現したというのに。

しかも番組の最後で城内は、政界再編を目指す舛添要一を評価する発言をした。舛添は、渡辺喜美率いる新自由主義政党「みんなの党」との提携を模索している人物であり、当然舛添自身も新自由主義者だ。城内は、そんな舛添と手を結ぶことも視野に入れているようだ。

この様子では、城内が「弱者に手を差し伸べる真正保守のリーダー」として台頭する可能性はほとんどないように思えた。ま、4年間選挙区でドブ板を続けた資金力は、平沼赳夫の援護もあっただろうけれども、城内実が地元の有力者の倅だったからともいえるわけで(「普通の人には資金が続かなくてとても真似できない」と評された)、そんな城内に「草の根右翼のリーダー」はそもそも務まらないのかもしれない。

もちろん、その方が良いのだけれど。