- 作者: 岩川隆
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/09
- メディア: 文庫
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安倍晋三の父である安倍晋太郎が岸信介の娘婿であることは有名だが、安倍晋太郎は安倍寛という政治家の息子で、毎日新聞社に勤めていた。安倍寛については、かつて吉田司が『AERA』に記事を書き、それを「きまぐれな日々 安倍のもう一人の祖父は「平和主義者」だった」で紹介したことがあるが、岸信介とは対照的に、大政翼賛会非推薦で当選し、軍部批判で鳴らした反骨の政治家であり、「今松陰」の異名をとっていた。
その安倍寛の息子である安倍晋太郎に、岸信介の娘・洋子との縁談が持ち込まれたのだが、晋太郎はこれをいったん受諾したものの、後日断ろうとしたことがあったらしい。なぜかというと、岸信介はA級戦犯容疑で逮捕、投獄されていたために、安倍晋太郎は「戦犯の娘をもらうそうだ、というので新聞記者仲間から村八分にされていた」*1のだそうだ。
結局、「政界の寝業師」と呼ばれた福家俊一(ふけ・としいち)と佐藤栄作に説得されて、安倍晋太郎は岸洋子と結婚したのだが、これはなんとも痛恨の選択だった。
なぜって、その理由は書かずともおわかりだろう。
*1:前掲書99頁