http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100324/1269399406 より。
10年近く前に、或るCDの存在を知った。仏蘭西の或るジャズ・ミュージシャンがワーグナーの曲を室内楽に編曲してレコーディングしたというのだ。そのレヴューにはたしか、こういうワーグナーだったらニーチェとの友情も壊れることはなかっただろうと書いてあった。しかし、CDのタイトルもミュージシャンの名前も失念してしまった(orz)。
これってもしかしたらユリ・ケインかなあ?
フランスではなくてユダヤ系(!)アメリカ人だけど、1997年に下記のアルバムをリリースしている。
- アーティスト: ユリ・ケイン・アンサンブル
- 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
- 発売日: 1997/12/21
- メディア: CD
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これは、まさしくワーグナーを室内楽に編曲したCDで、5年前に買って聴いた。なぜ買ったかというと、その1年ちょっと前に、たしか神戸(三宮)のタワーレコードでかかっていた、マーラーをジャズにアレンジしたケインの演奏が異様に面白かったので、これを衝動買いしてしばらく愛聴していたからだ。"Dark Flame"というアルバムだった。
- アーティスト: ユリ・ケイン
- 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
- 発売日: 2003/12/21
- メディア: CD
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ケインにはもう一枚マーラーをジャズにアレンジしたアルバムがある。これも面白かった。
- アーティスト: ユリ・ケイン
- 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
- 発売日: 1997/04/27
- メディア: CD
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ケインのジャズ版マーラーは、奇想天外な演奏で非常に面白いのだが、ユダヤ人作曲家マーラーとユダヤ系アメリカ人ケインの波長が合ったのではないかと思う。一方、"Wagner e Venezia" では、ジャズ版ではなく、原曲にかなり忠実な編曲で、カフェ・ミュージック版ワーグナーが聴ける。しかし、私にはケインのマーラーほど面白くはなかった。
クラシックの演奏家では、ウラディーミル・ホロヴィッツの最後のアルバムが、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」のラスト「イゾルデの愛の死」で締めくくられる。もちろん、もともとは楽劇(歌劇)で、それをリストがピアノ独奏用に編曲したバージョンである。これも素晴らしい演奏だ。
- アーティスト: ホロヴィッツ(ウラディミール),ハイドン,ショパン,リスト,ワーグナー
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2004/11/17
- メディア: CD
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この「イゾルデの愛の死」は、ユリ・ケインのアルバムの冒頭に置かれたと同じ曲だが、なんとホロヴィッツもユダヤ人なのである。反ユダヤ主義で悪名の高いワーグナーの音楽を演奏するユダヤ人は、意外なほど多い。
ワーグナーの思想は唾棄すべきものだが、その音楽は多くの人の心をとらえているのだろう。もっとも、私自身はグスタフ・マーラーの音楽は愛好しているが、ワグネリアンでは決してない。特に嫌いでもないけれど、ワーグナーの「毒」に当たったと感じたことはない。好きな人ははまるんだろうなと思うことはよくあるけれど。