kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「よりにもよって与謝野」の新党結成構想に大連立工作の匂い

与謝野馨という政治家は、マスコミの評価は高いが、それは与謝野の政策が財務官僚の言いなりの消費税大増税による財政再建路線一本槍だからだ。政治家としての実力は低い。しかも財務官僚に洗脳されるくらいのコンサバだから、自ら新党結成に走るような行動力のあるタイプとは思われない。だから、よりにもよって与謝野が新党を結成するという報道は、最初はガセネタだと思っていた。しかし、各紙が一斉に与謝野新党を書き立てるに及んで、これは本気であると解釈せざるを得ない。それに、思い出してみれば与謝野は『文藝春秋』4月号に「論文」を書いていたのだった。そして、その与謝野の新党結成構想には、以前から与謝野を高く買っていて、かつ以前大連立騒動を仕掛けたことのあるナベツネが一枚噛んでいるという以外の解釈はできない。ナベツネが支配している読売新聞は、ネット版でも長文の記事を流している。


http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100402-OYT1T01143.htm

与謝野・園田氏が月内に新党、来週にも自民離党


 自民党与謝野馨・元財務相園田博之・元官房副長官が、来週にも離党する意向を固めたことが2日、分かった。

 新党を結成する意向を表明した平沼赳夫・元経済産業相(無所属)との合流も視野に、月内の新党結成を目指して調整している。ベテラン議員の相次ぐ離党により、自民党の谷垣総裁の求心力低下は避けられない情勢だ。

 与謝野、園田両氏は2日、都内で平沼氏、同氏に近い自民党参院議員の藤井孝男・元運輸相と会談し、新党結成を巡って意見交換した。参院自民党幹部によると、藤井氏からは既に離党の意向が伝えられているという。

 園田氏は2日、「新党結成の意欲は前から持っている。反民主党票の受け皿として、ウイングを広げることが目的だ」と周辺に語った。平沼氏との連携についても、「有力な選択肢の一つだ」と指摘。先に自民党を離党した鳩山邦夫・元総務相についても、「迎えたいメンバーだ」と連携に前向きな姿勢を見せているという。

 与謝野氏は2月の衆院予算委員会で政治とカネの問題で、鳩山首相を「平成の脱税王」と厳しく批判した。しかし、直後の党首討論で谷垣氏が首相に退陣を迫らなかったため、3月に月刊誌「文芸春秋」への寄稿で谷垣氏の辞任を要求した。

 また、園田氏とともに、谷垣執行部を刷新し、若手・中堅を幹部に起用して出直しを図るべきだと主張してきたが、谷垣氏が1日の党全議員懇談会で、大島幹事長ら幹部の交代は行わない考えを表明したことを受け、党再生は困難と判断。新党結成の方向で検討に入った。新党結成には、夏の参院選で、民主、自民両党への批判票や保守票の受け皿になることで、与党を過半数割れに追い込む狙いがあるとみられる。

 与謝野氏が平沼氏らと連携しない場合、政党要件を満たすために必要な5人以上の国会議員を確保できるかどうかは不透明だ。ただ、与謝野、園田両氏が共に財政再建重視派として知られるのに対し、平沼氏は自主憲法制定を掲げるなど保守色が強く、自民党内では「政策面で与謝野、平沼両氏の開きは大きい」との指摘がある。

 与謝野氏は党政調会長や経済財政相、財務相などを歴任し、党内きっての政策通とされる。園田氏は1993年に自民党を離党し、新党さきがけ結党に参加。自社さ連立の村山内閣で官房副長官を務めたが、99年に復党した。

 一方、藤井氏は2005年に郵政民営化に反対し平沼氏らと自民党を離党。07年参院選を経て復党した。

(2010年4月3日03時01分 読売新聞)


この読売新聞の記事にもあるように、与謝野と平沼赳夫の合流構想は理解できない。赤字ボールドの部分で読売新聞も指摘しているように、与謝野と平沼の政策は水と油だ。与謝野が財政再建厨であるのに対し、平沼はもともと極右思想にばかり熱心で経済政策など何も持っていないが、あえていえば「郵政民営化反対」であり、小泉純一郎との行きがかり上、新自由主義に反対しているかのように評価している向きもある。私はそうは考えてなくて、そもそも平沼は経済に関心を持っていないとみなしているけれど、二人の政策が合うはずはないという「自民党内の指摘」は妥当だと思う。

一方、ナベツネが考えていることはほぼ想像がつく。ナベツネは、政権に財政再建路線と早期の消費税増税をやらせたくて、そのような政策を持っている与謝野とその取り巻きを政権に送り込みたいのだ。その場合、与謝野と経済政策がもっとも合わないと考えられるのは亀井静香である。つまり、現在マスコミが焚きつけている社民党の連立離脱だけではなく、与謝野と民主党の大連立は、国民新党の連立離脱を促すことが予想される。そして、社民党国民新党の代わりに民主党と連立を組むことになるのは、与謝野新党に加えて公明党である。民主、与謝野、公明の連立政権となれば、これは去年までの自公政権とほとんど変わらない。普天間基地移設だって現行案で決着するだろうし、早期の消費税増税は、税調専門家委員会委員長の神野直彦教授たちの力では止めることはできないだろう。専門家委員会はお飾りになってしまう。しかし、それこそがナベツネの狙いなのである。民主党支持のブログの間には、自民党の崩壊だとしてはやし立てる向きもあるが、それはあまりにも考えが浅い。警戒すべきは大連立であり、ナベツネ主導の政治である。

平沼は、本来ナベツネがたくらんでいるであろう民主・与謝野・公明の野合など批判すべき立場であるはずなのだが、長年与党で暮らしてきて、官僚なしではやっていけない程度の政治家だから、スケベ心が出始めて与謝野との連携に傾いているのだろうか。昨日の日記では城内実をさんざんに批判したが、もし城内実の真意が民主・与謝野・公明の大連立には与しないという立場から平沼構想に賛成していないというものであれば、批判を撤回して城内を見直したいと思う。平沼一派は、あくまで「真正保守」(笑)としてわが道を行くべき貴重な政治勢力なのだから。