kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

今年も「改憲」支持者は減ったが...

読売新聞が改憲試案を初めて紙面に掲載したのは1994年だっただろうか。それから10年ほどの間、改憲支持者は年々増え続けてきたが、2004〜05年あたりをピークにして減少した。減少傾向は特に2006〜07年に顕著で、2008年以降は漸減傾向というか、下げ止まりになっている。その理由はもちろん、国民生活の問題をほったらかしにして、なりふり構わず改憲の目標に向かって突進した、2006〜07年当時の首相・安倍晋三にある。安倍の狂気じみた言動を見て、「こいつ、何をやらかすつもりだ」と警戒した人々が多かったと思われる。安倍は、読売新聞が中曽根康弘とタイアップして、長年かけて盛り上げてきた改憲の機運に水を差した。

それでも改憲を是とする意見の方が多いのだが、こと9条に限ると、改正反対の比率の方が高く、今朝の朝日新聞調査では67%が「9条改憲に反対」としている。もちろん、この中には小沢一郎らのような「解釈改憲」派も含まれる。

読売新聞は、昨年の憲法記念日には社説を通常と同じ二本立てにして、そのうち一本だけで憲法を取り上げるなど、意気消沈ぶりが感じられたが、国民投票法が施行される今年は、さすがに一本の大型社説にして、改憲への執念をにじませている。だが、「9条改憲」には直接触れず、「(日米関係の)「対等」を掲げるなら、まず、集団的自衛権行使という憲法上の問題に正面から向き合わなければならない」と主張するにとどまっている。これだと、小沢一郎の主張とほとんど変わらない。というより、小沢の「解釈改憲」志向に対する批判が不活発なことが問題だろう。「小沢を批判することは自民党を助ける」というエクスキューズがまかり通っているが、大連立騒動に典型的に見られるように、小沢一郎はいついかなる行動をとるかわからない男だ。

読売の社説に戻ると、噴飯ものなのが、「財政規律の維持をうたう条項を憲法にどう盛り込むかが、切実さを増すゆえんだ」などと書くところだ。ナベツネもすっかり耄碌してしまったのではないか。

とはいえ、安倍晋三はまだ政治の世界から葬り去られたわけではない。それどころか、なぜか安倍は最近やたらと元気で、自民党内では森喜朗よりも大きな顔をするようになった。かつて一度は読売新聞などによって敷かれた改憲へのレールに、国民は安易に乗せられたことを忘れるべきではない。もし安倍晋三があそこまで性急に事を進めようとしなければ、改憲はもっと目前に迫っていただろうし、安倍が強行採決を繰り返して成立させた法案の数々は今も生きているのだから、改憲の危機は去ったと安心するのはまだ早い。