kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

民主・自民両党で原発推進派が猛烈な巻き返し

一昨日(31日)の朝日新聞記事より。


http://www.asahi.com/politics/update/0331/TKY201103310499.html

菅首相原発新増設の見直し検討 東電存廃も議論へ

2011年3月31日20時58分


 菅直人首相は31日、記者会見を開き、原子力発電所新増設を盛り込んだ政府のエネルギー基本計画の見直しを検討する意向を表明した。東京電力福島第一原発の事故にめどがついた段階で、同社の存廃を含む国内電力会社のあり方を議論する姿勢も示した。

 首相は同日、サルコジ仏大統領と首相官邸で会談し、原子力政策を中心に意見を交換。その後、サルコジ氏と共同会見した。

 首相は「原子力、エネルギー政策は(今回の)事故の検証を踏まえ、改めて議論する必要がある」と指摘した。これに先立ち、首相は志位和夫共産党委員長と会談。志位氏によると、首相は原発の新増設について「見直しを含めて検討したい」と述べたという。

 また、電力会社の将来像について、首相は会見で「今後の電力会社のあり方も存続の可能性も含めてどうした形になるのか、議論が必要だ」と強調。東電の責任問題のほか、電力事業をすべて民間に委ねることの是非も検討する意向だ。

 政府は昨年6月に閣議決定したエネルギー基本計画で、現在54基ある原発を2030年までに14基以上増やすと決定。うち2基は建設中だ。ただ、今回の事故で原発に対する国民の信頼は失墜し、政府内でも「計画の見直しは避けられない」(経済産業省幹部)との声がある。民主党がまとめた復興基本法案原案でも「国は原子力に依存したエネルギー政策を見直し、安全で安定したエネルギー供給の確保について検討すること」との一文が盛り込まれた。


この記事を読む限り、菅直人は5年前の小沢一郎代表時代に「原発積極推進論」へと舵を切った民主党のエネルギー政策を再転換させかねない勢いに見える。

民主党は、2009年総選挙のマニフェストで「原子力利用について着実に取り組む」とうたい、昨年の参院選マニフェストでは「総理、閣僚のトップセールスによるインフラ輸出」として一段と踏み込んだ姿勢を見せていた。後者は菅直人が総理・代表になってからのことだから、菅直人の変わり身は早い。

一方で、民主党内の原発推進論者は巻き返しに必死だ。

今朝(4月2日)の朝日新聞4面で、旧通産省(現経産省)OBで自民党出身の岡田克也が先月27日、「少し冷静になって、落ち着いたところで議論した方がいい」とコメントしたことが紹介されている。また小沢派は、菅内閣の危機管理を批判することはあっても、民主党原発推進政策の再転換に言及することはない。

先月17日にエネルギー政策転換に言及した自民党谷垣禎一総裁への風当たりはさらに強いようだ。同じ朝日新聞記事によると、原発を地元に抱える議員が谷垣総裁を「原発を否定するのか」と批判し、谷垣総裁は1週間後の会見で「安定的な電力供給ができないと製造業などが維持できるのかという問題もある」と軌道修正を余儀なくされた。

結局、民主党自民党も相も変わらず原発推進政党のままというのが現状だ。

統一地方選でも、エネルギー政策は全然論点にならない。「原発東京湾に作ったって安全」、「震災は天罰だ」などと発言してきた石原慎太郎に、東京都民はさしたる問題を感じていないらしく、都民というのはいったいどういう人種なのかと、同じ都民として呆れ返っている。このまま石原を四選させれば、東京は世界一民度の低い都市であることを自ら証明することになる。

ほっといても40年を超える原子炉の運転を地元が認めるはずもない。仮に福島県原発10基以外の現在の原発の運転をそのまま継続するにしても、いずれは運転を止めざるを得ないし、新規の原発なんか決して建てられない。誰が、そしてどの政党が政権を担っても「脱原発」かつ自然エネルギー推進の政策をとらざるを得ないし、東電はもちろん政府の管理下に置くしかなく、その後電力業界の解体的再編へと向かわざるを得ない。そうは思うのだけれど、それにしても惰性とはおそろしいものだ。