kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

悪徳電力会社は東京電力だけじゃない。関西電力の悪逆非道を見逃すな

http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20110421k0000m070156000c.htmlに出ている下記の件だが、昨日、職場で話題になった。「毎日新聞に出てたけど、原子力村の人ってどうこう」といった具合で、「原子力村」という言葉が、広く世の中に普及してきた。世論の変化は本当に急激だ。

 ある地方テレビ局が数年前、原子力に批判的な研究者をドキュメンタリー番組で取り上げたところ、地元電力会社が「原子力を理解していない」と猛烈に抗議した。番組はこの電力会社を直接批判する内容ではなかったが、テレビ局は広告主の抗議を無視できず、記者による定期的な原発見学を約束した。


 この件について取材した私に、電力会社の役員は「(原発が)いかに安全か理解していない。『反省しろ』ということだ」と言い放った。その傲慢な態度は、今回の事故を巡る会見で見た東電幹部と重なり合う。


 ◇官民にまたがる狭い人脈社会 


 なぜ、こんな体質が醸成されるのだろうか。


 原子力の技術者だった飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長は、業界の実態を「原子力村(ムラ)」と名付けた。大学や大学院で原子力を学んだ学生は、電力会社やメーカーに就職したり、国や立地自治体の技官になる。就職先は担当教官の意向で決まることが多い人脈社会で、彼らは官民に分かれても「ムラ」の一員として育っていく。


 原発関係の事故はメディアで大きく報じられる。市民団体などの批判にさらされることも多い。“被害者意識”から、彼らは批判を「素人の意見」だと一方的に決めつけ、独善的な専門家意識を強めていくのだろう。


 原発の安全規制は、保安院原子力安全委員会による「ダブルチェック」体制とされる。しかし現実には十分機能していない。チェックする方も、される方も、同じ「ムラ」の構成員なので、業界全体の利益を守ろうという意識が働く。保安院に至っては、原発を推進する経産省に属するという構造的問題を抱えている。


 組織の名称にしても、米国は「原子力規制委員会(NRC)」なのに、日本の機関には「規制」ではなく「安全」が使われている。「原子力は安全」という宣伝を優先するあまり、規制や監視という視点が欠落していたとしか思えない。


この記事を書いた日野行介記者は、毎日新聞大阪本社社会部所属だ。ここで日野記者が言及した地方局とは、大阪の毎日放送であり、番組名は「なぜ警告を続けるのか〜京大原子炉実験所・”異端”の研究者たち〜」という。2008年10月19日に放送された。この日は、プロ野球セントラルリーグクライマックスシリーズ第2回戦で、地元の阪神タイガース中日ドラゴンズを破って対戦成績を1勝1敗の五分にした日だった*1ので、関西人はそちらにばかり気を取られて、日曜日の深夜に放送されたこの番組を見た人はごく少数だったと思われるが、番組放送直後に関西電力から毎日放送にクレームがついた。関電は、毎日放送原発の安全さを理解していないとして、同局の全番組からコマーシャルを引き上げるぞと脅した上、「原発がいかに安全か」という講習を局幹部が受けるようねじ込んだというのだ。関西電力のコマーシャルというと、その前年の2007年から、当時阪神タイガースのシニア・ディレクターを務めていた星野仙一原発の宣伝をしていた。「テレビ局は広告主の抗議を無視できず、記者による定期的な原発見学を約束した」とのことだから、毎日放送は関電の要求をのんだようだ。「マスゴミ」とネット民から叩かれる放送局だが、放送局以上に権勢をほしいままにしているのが「ほしいのう」が宣伝役を務める電力会社だというわけだ。

さらに関電の役員は、この件を取材した日野記者に向かって、「(原発が)いかに安全か理解していない。『反省しろ』ということだ」と言い放ったとのことだから、関電の役員、ひいては関電という企業の体質は東電と何ら変わるところがないことがよくわかる。

福井には関電の原発がたくさんある。私は子供の頃、夏休みの旅行で福井県を二度訪れたことがある。瀬戸内海は汚くて泳げたものではなかったから、日本海側の若狭湾に出かけたものだが、もうその頃には若狭湾原発はできていた。現在、福井県はすっかり原発漬けになっているが、大阪人が福井の原発をなくしたら福井県の雇用はどうなる、などと言う資格はない。それは、東京人が福島の原発をなくしたら福島の雇用はどうなる、などと言ってはならないのと同じ理屈だ。後者は、震災前までの東京人が平然と口にしていたし、原発事故が起きた直後にもまだ言っていた。どういうわけか、原発推進厨はみな、原発事故は早期に終息すると信じて疑わなかったらしく、事故発生直後に当ブログが騒いでいた時にも、「これでこのまま事故を終息させることができれば、『これだけの地震にも耐えた』として日本の技術力はいっそう高く評価される」などとブクマをつけてきた人間がいた。政府内でも、菅直人は当初から事故の深刻さを認識していたようだが、玄葉光一郎あたりは根拠のない楽観論を信じていたらしいことが新聞記事に記録されている。

何度も書くけれども、関電の原発依存度は48%にも達している。これは、東電の23%をはるかに上回る、とんでもない数字だ。東京都知事石原慎太郎原発推進論者だが、大阪に遷都しろなどとほざく橋下徹は、原発に対して果たしていかなるスタンスをとっているのか。仮に福井の原発が事故を起こしたら、京阪神の混乱は、現在の首都圏の比ではあるまい。西日本に遷都するなら、原発依存度が8%の中国電力管内といいたいところだが、こちらも安倍晋三の差し金で山口県に上関原発の建設を強行しようとしているからやはりダメだ。遷都する先は福島県しかない。

関西人は、関電の体質に批判の目を向けずして、政府や東電を批判する資格はないと私は思う。

*1:阪神は翌日に行われた第3回戦に敗れ、このシリーズに敗退した。