kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

地下原発派が想定する「臨海部の山」は特に地震の恐れが大きいのでは?

http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20110610 経由で東京新聞の記事を孫引き。

 「こちら特報部」が入手した地下原発議連の名簿には、民主、自民、公明、みんな、国民新、たちあがれ日本新党改革の各党と無所属の計四十九人が並ぶ。反原発を掲げる共産、社民両党以外の主要政党が顔をそろえた。

 会長は、たちあがれ日本代表で元経済産業相平沼赳夫氏。顧問は、民主党鳩山由紀夫前首相、羽田孜元首相、石井一副代表、渡部恒三最高顧問、自民党からは谷垣禎一総裁、森喜朗元首相、安倍晋三元首相、山本有二元金融担当相、国民新党亀井静香代表ーの計九人。

(中略)

 実際、谷垣、安倍、鳩山の各氏は「菅降ろし」の急先鋒(きゅうせんぽう)。顧問以外のメンバーを見ると、不信任三世賛成に動いた民主党小沢一郎元代表に近い西岡武夫参院議長、山岡賢次副代表、松木衆院議員(民主党除名)らが入っている。

 事務局長を務める自民党の山本拓衆院議員は、「原発銀座」と呼ばれる福井県選出だ。山本氏は「菅降ろし」を視野に入れた動きとの見方について「特に意識はしなかったが、メンバーを見ると、不信任に賛成しそうな人ばかりだった。昔の仲間が集まれば、大連立の話もするかもしれない」と含みを持たせる。


とりあえず、こういう人たちがメンバーであることを頭に入れていただくとして、本論はこれからだ。以下は推進派の言い分。

 当時から反原発活動などで地上での新規立地は難航していた。地上式では建設が難しい臨海部の急峻(きゅうしゅん)な未利用地まで選択の幅を広げるのが狙いだった。八一年には、同調の検討委員会が「技術的、経済的も可能」とする報告書をまとめた。

(中略)

 そもそも地下原発とはどのようなものなのか。

 地下原発議連の資料によると、全地下式の場合、臨海部の山の地下空洞に、原子炉やタービン発電機など主要施設を配置し、そこに取水・放水トンネルやケーブルトンネルがつながっている。

 原子炉が設置される空洞は幅三十三メートル、高さ八十二メートルと巨大なものを想定。既存の地下揚水発電所などの空洞よりも二十五メートルほど高いが、岩盤をコンクリートなどで補強すれば十分掘削は可能だとしている。

 なぜ地下に原発を造ろうとするのか。

 山本拓氏は「地下は自身と津波に強い」と利点を挙げる。「地表に比べて地下の揺れは小さい。福島第一原発も地下式にしていれば津波をかぶって電源を喪失することもなかったはずだ」

 事故時の放射能対策でも、地下式は優れているという。議連資料では、土が三十メートルかぶった原発(出力百万キロワット)で炉心を冷やす一次冷却水が失われる事故を想定。試算の結果、地表に出る放射性ヨウ素は、地上式の十万分の一になるとしている。「(岩盤などで)放射能を封じ込めていくのが地下原発だ」と山本氏は説明する。

 建設費についても「かつては地下の方が地上より二割ほど高いといわれたが、今は建設コストも安くなっている」。地下に設けることで、原発を狙ったテロ対策にもなるという。


これに対するNPO法人原子力資料情報室」の伴英幸経堂代表の反論と東京新聞デスクのコメント。

 地下原発の動きに対し、NPO法人原子力資料情報室」の伴英幸経堂共同代表は「放射性核廃棄物をどう処理するかという問題は、地下でもクリアできない」と指摘。

 安全性にも疑問を投げかける。「内部で爆発があった場合、衝撃力が内にこもる。圧力容器や格納容器が無事でも配管が壊れれば、大きな事故につながりかねない。そうなれば地上式より作業員が近寄りにくくなる」と、かえって危険な状態になるとみる。

 津波の影響は受けないのか。「冷却が必要だから、原発は水から離れられない。地下式にしてもどこかで海とつながっており、津波の影響を受ける可能性は残る」  放射能の封じ込めについても「数十メートルの土がかぶっていたとしても、放射能は地上に抜けていくだろう」と、効果は限定的だと予測する。

 再浮上してきた地下原発。「原子力に携わっている企業と『族議員』とが生き残り策を探っているようにしか見えない」と、伴氏は手厳しい。

(中略)


デスクメモ

 平面図は構造物を簡略化し、実際は各トンネルが縦横に張り巡らされ、配管も多い。地下深くにどう造るというのか。掘った空洞に原子炉やタービンをどう収納するのか。安全性の議論以前に採算と難工事を考えれば非現実で、モグラもお手上げだ。その熱意を自然エネルギーに振り向けたほうがいい。(呂)


私がまず思ったのは、「臨海部の急峻な未利用地」、「臨海部の山」なんて特に地震の危険の大きなところではないかということ。臨海部の急峻な地形というと真っ先に思い出すのは三陸海岸リアス式海岸だが、そもそも地震の活動が活発だから急峻な地形になるのではないのか。阪神大震災だって、震源地のすぐ近くには六甲山がある。

それだけでも「地下式原発」なんて論外だと私は思ってしまう。もちろん、伴英幸氏の言う放射性核廃棄物の問題がもっとも大きいことはいうまでもないし、地下式原発であれば(平時でも)被曝労働は生じないのかとか、伴共同代表も言うように事故発生時のアクセスの問題など、ちょっと考えるだけでも問題だらけであることはあまりにも明白だ。東京新聞のデスクが書く「コスト」以前の問題で論外だろう。

そう考えると、参加者の本当の目的は「原発利権の維持」にあり、いかに「原発維持(or推進)政権」を作るかに血道を上げているだけだとしか思えない。