kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

安倍晋三と阿部知子は「消費税増税賛成」なのに「復興増税反対」

今頃知ったのだが、自民党が5月に立ち上げた「増税によらない復興財源を求める会」の会長を安倍晋三が務めているらしい。


http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110529/stt11052920300008-n1.htm

「反復興増税」「地下式原発」… 与野党重鎮が相次ぎ超党派議連
2011.5.29 20:29


 内閣不信任決議案提出が秒読みを迎える中、党幹部を歴任した重鎮クラスを中心とする超党派議連の立ち上げが相次いでいる。テーマは「反復興増税」と「地下式原発の推進」。これまでは中堅・若手中心の議連が先行していたが、不信任後の政界再編を見据え、ベテラン議員たちも主導権を発揮しようとしている。

 自民党安倍晋三元首相を会長とする「増税によらない復興財源を求める会」を立ち上げた。賛同者には森喜朗元首相、古賀誠元幹事長、中川秀直元幹事長ら衆参国会議員53人が名を連ねる。

 27日の初会合では、1枚の決議案文が配られた。震災国債発行、日銀の全額買いオペレーション、「安定物価目標政策」導入…。西岡武夫参院議長をはじめみんなの党渡辺喜美代表らが結成した超党派議連「増税によらない復興財源を求める会」の声明文とまったく同じ文面で、双方が地下水脈でつながっていることを印象づけた。超党派議連側も、各党内に反復興増税議連を立ち上げ、相互に連携を取る戦略を描く。

 31日には民主、自民両党の首相経験者や与野党党首が顧問に名を連ねる「地下式原子力発電所政策推進議員連盟」も発足する。福島第1原発事故で原発の危険性が指摘される中、事故の封じ込めが可能な地下式原発の推進を目指す超党派の勉強会だ。

 自民党時代に地下式原発の勉強会を主導したたちあがれ日本平沼赳夫代表が会長に就き、民主党鳩山由紀夫前首相、羽田孜元首相、自民党の森、安倍両元首相が顧問に入る。谷垣禎一自民党総裁亀井静香国民新党代表、渡部恒三民主党最高顧問も顧問に就任する。

 民主党樽床伸二国対委員長自民党菅義偉総務相らが17日に「国難対処のために行動する『民主・自民』中堅若手議員連合」(民自連)を立ち上げるなど中堅・若手が党派を超えて連携を強める一方、重鎮クラスは民主党結党以来、選挙で激しく対峙(たいじ)してきたため、各党間のパイプは細りつつある。議連を通じ人脈の再構築を目指す狙いもありそうだ。


その後、安倍を会長とする自民党の議連は同盟の超党派の議連に合流した。「みんなの党」に近い高橋洋一竹中平蔵の元ブレーン)は6月にこう書いた。


「復興」「社会保障」「財政再建」の三段階増税を許すな新聞が報じない増税反対に集まった超党派議員211人(髙橋 洋一) | 現代ビジネス | 講談社(1/8)

安倍元総理の参加が目玉だった。安倍元総理は「自民党安倍晋三から社民党阿部知子先生まで、反対側のアベとアベが一緒になった」と話して会場は爆笑だった。


TPP反対で自民党極右派の稲田朋美と社共の福島瑞穂志位和夫が席を同じくしたことを思い出させる。


しかし、安倍晋三は総理大臣在任中から消費税増税を目指してきた人間だし、阿部知子社民党にあって早くから消費税増税に理解を示す発言を続けてきた人間だ。昨年の参院選前の阿部知子の発言は、『しんぶん赤旗』の記事「消費税3%「上げざるを得ない」/社民政審会長が発言 TV番組」に批判されていた。そんな彼らが「復興のための増税」(財源は所得税の一時的な定率増税法人税減税の一時凍結を中心とする)にだけ殊更に「反対」する意図はどこにあるのだろうか。

「復興のための増税」には賛否両論あることはもちろん知っている。震災直後にいち早くドイツの「連帯税」に倣った一時増税を提言した神野直彦をはじめ、金子勝なども「復興のための増税はあっても良い」という立場だ。その財源として想定されているのは直接税であって間違っても消費税ではないが、所得税増税といっても累進性を強化するものではなく定率なので、被災地以外について「再分配」を強化するものではない。これを意図的に曲解した城繁幸がメチャクチャなことを書いていたが、それについては「城繁幸って頭オカシイんじゃないか? 「定率増税」が「金持ち増税」だと思ってる人間なんかいるわけないだろ - kojitakenの日記」で批判した。あんなトンデモな文章で対価を受け取れるとは良いご身分である。

私は神野・金子両氏らの主張に与するものだが、仮に「増税によらない復興」を求める立場、すなわち、不景気の今、景気低迷をさらに悪化させる増税は行なってはならないという主張を認めるとしても、それなら9年連続で民間給与所得が減少していた時期やリーマン・ショック後の景気後退が深刻だった時期に彼らが発していた「消費税増税」発言はいったい何だったのかと問いたい。

阿部知子の場合は単なる人気取りだろう。かつて「消費税増税」容認発言をしていた頃には、そんな発言をしても強い批判を受ける「空気」はなかった。それに対して、昨年「減税日本」が名古屋で躍進して「減税」あるいは「増税反対」の空気が強まった現在は、「増税」に反対しておけば人気が得られるという判断によるものと思われる。繰り返して書くが、私は現在の阿部の「復興増税反対」と過去の阿部の「消費税増税容認」発言の整合性を問うているのであり、この記事の主旨は阿部の「復興増税反対」という主張自体を問題にしているのではない。

安倍晋三の場合はもっと悪質で、安倍はおそらく新自由主義におもねる者として「茶会」的な主張に走ろうとしているのではないか。今後、政界の「ガラガラポン」とやらに私は一切期待していないが、それは必ずや起きるだろう。そしてその際、安倍は「減税」に傾く民主党の勢力、すなわち小沢一郎だの河村たかしだのに接近することもあり得るのではないかと予想している。その時に橋下徹がどんな絡み方をするのかまでは想像もつかないけれど。

「茶会」の主張は「富裕層から税金を取るな」というもの。これほど安倍晋三と親和性の高い政治勢力はない。