kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

橋下徹一派圧勝だが、今回は「愚民」云々と書く気にはなれない

前のエントリは20時ジャストに公開したが、この事態を予想して19時50分頃から下書きしていたものだ。もし20時の当確が橋下だけなら松井一郎に関する部分だけdeleteすれば済むようなタイトルと文章にした。

同じ手法は4月の東京都知事選の時にも使い、この時には東京都民(しばらく前から私もその一員に加わったのだが)を「愚民」呼ばわりしてすさまじいアクセス数*1とともに大ブーイングを浴びた。もちろん、自らブーイングを呼び込もうと思って書いた記事だった。それくらい、わざわざ福島に出向いて「原発推進発言」をした石原慎太郎をむざむざ当選させた東京都民が許せなかった。

今回は、その時とは違う感想だ。選挙の少し前くらいから石原伸晃小沢一郎亀井静香といった保守政治家たちが橋下にすり寄る発言をしたことが相次いで報じられていたので、「大阪維新の会」に猛烈な追い風が吹いていることは明らかだった。だが、マスコミや与野党の政治家が特に支援したわけでもないのにふがいない東京都民がむざむざ石原慎太郎を圧勝させた都知事選とは違って、今回の大阪ダブル選挙は、保守政治家やマスコミが「風を吹かせた」印象が非常に強い。

少し前まで、関西ではないけれどもその少し西の中国・四国地方に合わせて10年住んでいた私は、日曜日の昼間に大阪の読売テレビがやっている「やしきたかじん」の極右番組で橋下徹が絶大な人気を誇っていたことはもちろん知っているし、一度「きまぐれな日々」でこの番組を批判したところ、すさまじいブーイングを浴びたこともよく覚えている。橋下徹は関西マスコミ(主に電波媒体)の寵児だった。

現在のメディアの問題点として挙げられているのが新聞とテレビの系列化である。朝日新聞系の朝日放送も、平松邦夫の出身企業である毎日放送(TBS系の放送局の場合、必ずしも毎日新聞系列とは言い切れないが)でさえも、橋下に逆らうことはできなかったはずだ。否、朝日放送のごときはあの「電波芸者勝谷誠彦を重用していた放送局と聞いており、実質的な橋下翼賛メディアでさえあったのではないか。まさか系列放送局のスポンサーに遠慮したわけでもあるまいが、選挙期間中の朝日新聞から鋭い橋下批判記事を見出すことはできなかった。スポーツ紙に至っては、橋下の動向にはスペースを割くけれども、平松は無視していたはずだ。スポーツ紙が橋下「だけ」を取り上げることは、「橋下に投票することがスタンダードなんだな」という印象を読者に与えるのに大きく役立ったに違いないと思う。

ここまで人為的に「橋下への追い風」を「権力側」(マスメディアだって立派な権力だ)が吹かせたら、もともと橋下に親和的な民主・自民・公明などの支持層以外の無党派層でも、空気を読んで橋下一派に投票しても仕方がない。だから、今回は大阪市民・大阪府民を「愚民」呼ばわりして済む話ではないと思ったのである。

今回もう一つ目立ったのが、世の「リベラル・左派」の人たちのふがいなさであり、彼らは大阪ダブル選挙における橋下批判をほとんどしなかった。特にひどいと思ったのはいわゆる「小沢信者」たちであるが、彼らに対してはこれまでもさんざん毒づいてきたので、この記事でそれを繰り返すのはやめておく。

それにしても、こんな不愉快な日曜日の夜は滅多にない。とはいえ、4年に1度、東京と大阪の首長選がある年には必ず味わう辛酸ではあるのだが。

*1:「きまぐれな日々」を併せても1日のアクセス数としては個人記録となる3万件近いアクセスがあった。