kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

新自由主義と新保守主義の根は同じ。橋下徹と安倍晋三の親和性は強い

よく、新保守主義(「ネオコン」)と新自由主義(「ネオリベ」)は本来相容れないとする主張を見かけるが、これは誤りである。両者は途中から分化して互いに相矛盾するものになったが、ルーツは同じである。サッチャー新自由主義の政策で痛んだ国民の心を一つにまとめるために新保守主義の政策を用いたとはよく指摘されるところである。そのサッチャーを信奉していた政治家が安倍晋三であり、平沼赳夫であった。

つい最近、さる有力ブログが平沼赳夫を「保守リベラル」と形容していたが、これは「ポリティカルコンパス*1でいうところの「保守左派(政治思想的には「保守」で、経済思想的には「左派」)という意味で書かれたものだろうと思う。しかし、私にいわせれば平沼赳夫は決して「経済左派」ではない。平沼は、2001年に初代の経産相として小泉純一郎「ネオリべ」内閣の経済政策を担当し、「大学発ベンチャー1000社構想(平沼プラン)」をぶちあげるなどした。実際には経産省の官僚が作った政策だろうけれど。それよりも何よりも、平沼は安倍晋三ともどもサッチャーの「教育改革」にかぶれてイギリスの教育を視察してこれを絶賛したのだった。サッチャーの「教育改革」の目玉の一つは教育に市場原理を持ち込むことだった。私に言わせれば、平沼赳夫もまた「新自由主義者」である。サッチャーの「教育改革」は、教育への市場原理の導入と右翼教育がセットになっている。要するに新自由主義新保守主義が分化する前の政策であり、安倍晋三平沼赳夫もこれにかぶれたのだった。安倍政権最悪の業績の一つが「教育基本法」の改定(2006年12月)だった。

いま大阪の橋下徹がしゃかりきになっている「教育基本条例」もサッチャーの「教育改革」と同じ方向性を持つものだといえるだろう。橋下徹安倍晋三平沼赳夫との親和性が極めて強い人間なのである。ただし、「立ち枯れ」の悪いイメージの強い平沼赳夫橋下徹が組む可能性は極めて低い。

新保守主義にして新自由主義」の政策を目指す橋下徹は、「頭の良い安倍晋三」といえるだろう。当ダイアリーは安倍が総理大臣に就任する2か月前の2006年7月29日にスタートしたが、当時から私はコメンテーターたち*2と「唯一の救いは安倍晋三の頭が悪いことだ」と言い合っていた。「安倍なら倒せる」(というより勝手に倒れる)と思っていたわけで、実際その通りになった。

しかし、橋下徹は「頭の良い安倍晋三」、「叩き上げの安倍晋三」なのである。手強さは安倍晋三を数桁上回る。橋下を倒すことは容易ではない。現に与野党の政治家や、植草一秀天木直人らに唱導された「小沢信者」たちは早くも橋下の軍門に下っている。橋下の正体は「サワヤカ」ならぬ「したたかな安倍晋三」、「たくましい安倍晋三」にほかならないというのに。

*1:http://sakidatsumono.ifdef.jp/political-compass.html

*2:開設当時はコメントを「はてな」ユーザー以外にも開放していた。