日付が変わってしまって「昨夜」になってしまったが、28日の午後9時から、TBSとテレビ朝日がともに「原発」を取り上げた番組をやっていた。テレ朝の方は『報道ステーションスペシャル』だったか、古舘伊知郎と長野智子が司会を務める「報道番組」だったが、TBSの方はビートたけしが司会で、原発賛成派と反対派の討論という形はとっていたものの、単なるバラエティ番組だった。
なにしろメンツがひどい。それも、原発推進側だけではなく、「反対派」の人選がひどかった。なんと武田邦彦とバ勝谷誠彦が出ていたのである。武田邦彦は東電原発事故の前までは紛れもない「原発推進派」の人間だったことは武田自身が認めているし*1、武田がネットに公開した記事についた「はてなブックマーク」*2を見ると、昨年(2010年)8月の時点でも「思いっきり原子力を推進していた」*3らしい。いわば「一夜にして『脱原発』派に転向した」人間といえる。
バ勝谷に至っては、この男が「脱原発」側に座っているのを見て目を疑った。昔、私はこの男が毎日更新していた「さるさる日記」を読んで朝っぱらから血圧を上げるのを日課にしていたことがあるが、バ勝谷が原発を批判した記事などついぞ見たこともなかったからだ。
ググってみると、案の定下記の記事が見つかった。
http://blog.livedoor.jp/manguhsai/archives/1631619.html(2011年4月30日)
そもそも勝谷氏は原発賛成派でしょ。断片しか記録していませんが、地震が起きた直後の日記にはこう書いていました。
それが、まるで自分は今まで原発の危険性を言い続けてきたかのような主張に変わっている。呆れてものが言えない。何が「マスコミが一行も書かない」だ。オマエが1度でも原発の危険性を指摘したことがあるのかっつーの!
やはり、バ勝谷誠彦もまた、武田邦彦同様、「一夜にして『脱原発』派に転向した」人間であるようだ。
ところで、この番組で飯田哲也氏の顔を見たような気がしたが、しばらく経って赤組の「反原発派」全員が映った時、飯田氏はそこにいなかった。あれっ、誰かと見間違えたのかなあと思い、原発推進派の面々(大槻義彦もいた)の発言や、反対派にしたところで山本太郎や武田邦彦やバ勝谷の話など聞きたくもないのでチャンネルをテレ朝に切り替えたのだが、見間違いではなく、確かに飯田氏は出演していた。
http://twitter.com/#!/iidatetsunari/status/151853790713225216
@iidatetsunari
飯田哲也 tetsu iida@ISEP
今日12/28夜21時〜ビートたけしのガチバトル2011「放射能汚染と原発問題」に出演します。セットされた台本で、なぜか前半は飯田が放射能安全側に、後半は菅谷松本市長が原発必要派に座り二人とも「変ですねぇ〜」と慰め合う。前半は武田さんと高田さんのバトルに終始。後半は脱原発派圧勝
なんと飯田氏は「放射能安全派」の側に座っていたのだった。どうやら、番組の前半は東電福島第一原発から放出された放射性物質のリスク、後半は今後のエネルギー政策がそれぞれテーマだったようで、TBSによって飯田氏は「放射能安全派」で「脱原発派」、菅谷松本市長は「放射能危険派」で「原発必要派」と色分けされていたらしいのだ。「セットされた台本」とのことだから、やはり討論番組を装った単なるバラエティ番組である。
そもそもバ勝谷だの武田邦彦だのが「脱原発派」面をしていること自体、不愉快千万である。先の戦争中に軍国主義のパシリをやっておきながら、敗戦後に「民主主義者」に転向した人たち同様の「恥知らず」としかいいようがない。いちおうは科学者の端くれである武田にはまだそれなりにまともな発言もあったが、バ勝谷にはそれさえもなく、ただひたすら時流に乗って多数派*4におもねりたいという卑俗さが感じられるばかりだった。
しかも、バ勝谷といえば有名な「小沢信者」である。小沢一郎も、自らが「脱原発派」であるかのような世論工作をする一方、自公による菅内閣不信任案提出をたきつけて、「脱原発」に冷水を浴びせようとした四流政治家だが、不信任案提出劇の際、バ勝谷が小沢を批判したかといえば、間違ってもそんなことはなかっただろう。
こんな低俗な番組を作ったTBSのセンスも大いに疑う。