kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

鳩山由紀夫よ、蓄電池と普天間がどうつながるのか?

鳩山由紀夫は昨年「蓄電池議連」を立ち上げたらしいが、その鳩山へのインタビューが「日経ビジネス」に出ている。インタビューは3/12。


http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120319/229946/?leaf_rcmd&rt=nocnt

 原発事故後、脚光を浴びる再生可能エネルギー。その動きと軌を一にして、蓄電池の重要性も認識されつつある。太陽光や風力などの自然エネルギーは日照や風向きで発電量にばらつきが出る。こういった不安定な発電が送電線網に与える影響も無視できない。

 だが、大規模な定置型蓄電池を設置して電力をためることで、この問題は解決できる。現在も課題になっている昼間と夜間の需給ギャップを平準化することも可能だ。現状ではコスト高を指摘されているが、今後のエネルギー問題を考えれば、蓄電池はカギを握る存在と言える。

 そのことに、国会議員も気づき始めた。

 民主党の一部議員は昨年7月、「蓄電池の普及および蓄電社会システム産業の国策的振興を目指す議員連盟」を設立、定置型蓄電池の普及に向けた勉強会を進めている。3月12日、蓄電池議連の会長を務める鳩山由紀夫・元首相に、大阪府堺市から伊丹空港に向かう車中で構想を聞いた。

(聞き手は篠原 匡)


 福島第1原子力発電所原発事故の結果、「原子力発電は必要だが、過度に依存した状況は抜け出さなければならない」と感じている方々が増えています。どのようなエネルギーでまかなうのかは、まさに議論が起きているところですが、再生可能エネルギーを迅速に発展させ、実用化していくことは言うまでもないことだと理解しています。

 私は先日、博多湾九州大学や福岡市が進めている浮体式海上風力発電の実証実験を視察しました。海上に浮かぶ風車は直径3メートルほどの小さなものですが、従来の3倍の電力を発電できるといいます。既存の風力発電と比べて音も小さい。様々な研究者が自然エネルギーに力を入れているな、と嬉しく感じました。

 ただ、多くの再生可能エネルギーに言えることですが、その瞬間の状況によって発電量が大きく変化してしまう。太陽光も風力も、その場の環境に左右されるので、質の高いエネルギーに変える必要があります。その時に、いかにして電力を蓄えるか、本当に必要な時にどう取りだして使うか。その課題を解くカギが蓄電池なんです。日本だけでなく、世界を救う技術になると信じております。

 私は地球温暖化ガスを2020年までに1990年比で25%削減すると提唱しました。この目標を実現するために、2030年までに原子力発電の比率を5割まで増やす必要があった。ところが、現実を見れば、原子力を5割にすることなど不可能です。

 応急措置としての天然ガスと石油を使うことは仕方がないとしても、地球温暖化ガスの削減には挑戦しなければならず、将来的には再生可能エネルギーに頼らざるを得ない。そのためには、コミュニティー単位で「地産地消」的な蓄電社会を築き上げるべきではないでしょうか。それが、日本という国を強靱にすると考えます。

 鳩山氏が率いる蓄電池議連は、再生可能エネルギーの導入や地球温暖化問題だけでなく産業育成の観点からも蓄電池に注目している。


 蓄電池議連が焦点を当てている技術がリチウムイオン電池です。現状、発電所で使えるような大容量のリチウムイオン電池は存在しないと聞いています。また、大容量化した時に、どういう現象が起きるか、必ずしも実証できていない面もある。ニッケル水素電池やナトリウム・硫黄電池などを否定するものでもありません。ただ、いずれにしても、国策的に蓄電池の普及を進める必要がある。

 日本が圧倒的に強かった半導体や液晶は韓国や台湾勢にやられました。高いシェアを誇っていた(ノートパソコン用などの)民生用リチウムイオン電池も韓国や中国が急速にシェアを伸ばしています。今後、勝てる可能性がある最後の領域が、大型の定置型リチウムイオン電池ではないでしょうか。ここに力を入れて産業を育成していかないと。

 蓄電池議連としては、今後2〜3年が勝負だと考えています。この間に、どれだけ実用段階まで持っていけるか。2011年度第3次補正予算や2012年度予算案で蓄電池に関連する予算が確保されました。今後は再生可能エネルギーの特定供給者に対して大規模定置型蓄電池による安定化を義務づけたり、補助金を与えて促進したり、といった流れを作る提言を出していくつもりです。利権あさりのように思われるかもしれませんが、そういう考えはまったくありません。我々は「正義の味方」ですよ。

 経済産業省は1月6日に「蓄電池戦略プロジェクトチーム」を設置し、蓄電池を活用した電力需給の負荷平準化や産業競争力の強化などの議論を始めた。だが、「どうもスピード感がない」(蓄電池議連の辻恵・幹事長)と議連は官僚の姿勢に疑問を抱く。事実、鳩山氏の話も、現状の永田町や官僚機構に対する不満へと移っていった。

(以下略)


蓄電池産業の育成は大いに結構だが、政府のやるべきことは蓄電池業界を直接支援することよりも、むしろ「脱原発」の基本的な姿勢を明確にして、「再生可能エネルギー推進」に政策の舵を切ることだろう。それをやらなければ、いくら業界支援に政府支出を行なったってたいした効果はない。3年前、2030年に原発のシェアを5割にするつもりでいて、現在も「地下原発推進議連」に加わっている鳩山由紀夫にそれができるのか。

日本のリチウムイオン電池技術は、特に安全性の確保に他国にないアドバンテージがあるのだから、安全規格を強化し、それを「世界標準」にする努力も求められるだろう。たとえば自動車業界は日本政府からたいした支援を受けなかった。高度成長期の日本政府が力を入れたのは、鉄鋼や石油化学などの重厚長大産業である。その自動車業界を強くしたのは、1978年に制定された「日本版マスキー法」だった。

その逆の方向性をとってついに破綻したのが原子力発電だった。「日本の原発は安全だ」という「安全神話」が重大事故への対策を骨抜きにして、そのあげく東電原発事故を引き起こした。原子力発電ほど国策で税金が注ぎ込まれた産業分野は他にないだろう。

原発政策については、徹底的に「推進」への傾斜を強めたのは小泉政権時代の2005年だったが、並行して小泉は原子力発電用機器の耐震試験を行なうための研究施設であった多度津工学試験所を廃止したり、日本の特許出願件数を抑制する政策をとるなど、日本の工業にとってマイナスになる政策ばかりを実施してきた。「新自由主義」は産業の発展を妨げる性質を持っているのではないかと思ってしまうほどだ。それら自民党政権時代の、特に新自由主義政策の失敗を批判的に検証し、それを改めて行くのが本来の民主党政権のあるべき姿ではないかと思うが、現在の「野ダメ」(野田佳彦)政権は「まず原発再稼働ありき」で動いていることからも明らかなように、その逆の方向性をとっている。日本の工業の将来は相変わらず暗いままだ。

最後に鳩山に言いたいのは、蓄電池産業の育成はまあいいとして、それとなんで「普天間」がつながるのかということ。論理の脈略が全くなく、鳩山が理系の博士様だとは信じられないくらいだ。