kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

suterakuso氏の「神経に障るコメント」を批判する

浜矩子「老いらく国家」を批判する - kojitakenの日記 にいただいた、id:suterakuso氏のコメント*1

suterakuso 2012/04/21 07:36
 こういうのを拝見すると、kojitakenさんは、南北問題的な視点からは、日本をどう見ているのかなと感じます。例えば、日本は環境技術で…ってのは、知的財産権が守られることで日本に利益がもたらされるんですよね。あと、研究開発をするための資本があるとか。つまり、きまぐれを去って行った人が「アメリカ」という言葉で表現するものが普及・強化されるほうが、日本に利益があるということです。まあ、自分自身は、視点をそこまで大きくすると、態度保留なんですけどね。「万国の人民よ…」ってのが、やっぱり正しい気もしたりします。
 あと、スポーツのライバル関係の話ですが、星野と長嶋は、「人」として成長してああなったのかな?とか、少し思いました。まあ、これは余談ですけど。
 でも、浜氏の話には、確かに腹が立ちますね。


率直に言ってこの人のコメントはしばしば私の「神経に障る」ものがある。いや、私だけではなく『きまぐれな日々』のコメント欄でしばしば他のコメンテーターから批判を浴びていた。上記のコメントを批判する。

まず、南北関係やら「万国の人民よ」がどうこう、という話だが、それは今後何世紀先までのスパンを見据えた場合にはsuterakuso氏の言わんとしていることには(上記コメントのような婉曲な表現が私を苛立たせるのであって、もっとストレートな表現を用いるべきだと思うが)「理」があると思う。だが、私が念頭に置いているのは、いま現に日本で生きている人たちのことである。

日本は環境技術で…ってのは、知的財産権が守られることで日本に利益がもたらされるんですよね。あと、研究開発をするための資本があるとか

というのはその通り。だが、日本はそのメリットを現に今失いつつあることを認識していただきたい。

知的財産権云々についていえば、小泉純一郎政権時代に特許件数を減らすというバカげた政策がとられたことによって日本のシェアはみるみる低下している。日本の特許出願件数は、小泉政権から安倍晋三政権へと移行した2006年以降年々減少しているが、リーマンショックの2008年より前、つまり日本の民間給与所得が年々下がってきていたとはいえ企業の業績が良かった頃から既に減り始めている。これは、詳細は省略するけれども、特許出願に負のインセンティブを与えるような政策が小泉政権によってとられたことが大きな原因だ。皮肉な言い方をすると、小泉政権は自国(日本)を犠牲にして「国家間格差」を縮小するという、suterakusoさんが泣いて喜びそうな政策をとったわけだ*2

そして現在は、日本の産業の力は明らかに低下傾向にあり、大手メーカーはリストラを行ない、社員はサバイバル競争に駆り立てられている。「痛み」は、下請け・孫請けや派遣社員のように弱い立場の人たちにとってはさらに深刻であることはいうまでもない。そういう現実によって「痛み」を味わっている人が、suterakusoさんの

日本は環境技術で…ってのは、知的財産権が守られることで日本に利益がもたらされるんですよね。あと、研究開発をするための資本があるとか

などという「お花畑」のコメントを読んだら、怒り心頭に発するに違いない。将来的にはその理想は素晴らしい(かもしれない)。だが、いま現に日本に住む私にとっては、日本に住む人々のことが第一なのである。先進国による発展途上国の搾取はもちろん問題だが、それよりもいま現に日本で職を失い、貧困に陥り、死へ追い込まれていく人たちのことを第一に考えなければならないと私は考える。なお、特許制度について「先進国の権益を守る」ためのものというsuterakusoさんの認識はあまりに短絡的である。

もっとも、suterakusoさんのコメントで一番頭にきたのは下記のくだりかもしれない。

あと、スポーツのライバル関係の話ですが、星野と長嶋は、「人」として成長してああなったのかな?とか、少し思いました。

何言ってんのあんた。星野と長嶋? この2人の間にどんな名勝負がありましたっけね。悪いけど1つのシーンも思い浮かびませんよ。それに第一、星野や長嶋が腐ったのは監督になってからでしょうが。星野の場合は現役時代からその片鱗を見せてたけどね。

プロ野球でいうなら、長嶋と村山、王と江夏の関係などは「互いを高め合ったもの」と確かに言える。以前当ダイアリーでも書いたことがあるが、読売が9連覇を達成した1973年のシーズン終了間際の10月10日と11日に、後楽園球場で読売と阪神の「天王山」の2連戦があり、その初戦は5対1とリードされた阪神が6回表に1点を返したあと、なおも続く満塁のチャンスに田淵がホームランを放って6対5と逆転し、その裏からの4イニングを江夏が読売打線を抑え込んで阪神が勝った。試合後に長嶋は「日本選手権のような試合」と振り返り、王と長嶋は自分たちを抑え込んだ江夏の投球を絶賛した。そうしたことを数年前に知った私は大いに感激したものだ。当時の江夏・田淵と王・長嶋の間には、間違いなくフェアなスポーツマンシップがあった。残念な結果に終わった1973年のセントラルリーグペナントレースの最終成績にかかわらず。

長嶋茂雄は、中間管理職(監督)になったあと、特に第2期監督時代にナベツネに利用されるとともに自らもナベツネに強く依存して晩節を汚した。「わしが育てた星野仙一の場合はもともと権力志向の強い人間であって、その「素質」が1986年シーズンオフの中日監督就任以降、「黒い花」として開花したのである。

最後に、suterakusoさんは「浜氏の話には、確かに腹が立ちますね」と仰るが、私は浜矩子の話よりもsuterakusoさんのコメントにもっと腹が立った。

*1:http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20120420/1334880799#c1334961367

*2:但し、それによって得をしたのはアメリカ、中国、韓国などであって、「南北問題」の解決にはいっこうに寄与していないと言うべきかもしれない。