kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

安倍政権の経済政策もひどいが、民主党と維新の党はもっとひどい

通常国会を報じる新聞のニュースを見ていると、ちょっと前まで「安保法案を仕上げたから、次は経済」と言っていたはずの安倍政権だったのに、ここにきて急に安倍晋三が「改憲議論も現実的な段階に入ってきた」と言い出している。

これは昔年の安倍晋三の野望抑えがたく、という面ももちろんあるのだろうけれども、ウリだったはずの安倍政権の経済政策が、賃金の下げ止まり程度の成果は確かにあげたと私は見るのだけれど、成果はその程度にとどまっていて、2014年4月の消費税増税以降はそのショックによる経済の落ち込みからなかなか立ち直れず、停滞感が強まってきたところへの年初からの株価の急落(前場で音を上げた昨日ですら、後場であんなに急落するとはちょっと驚いた)があって、たった3週間で株高の時に突っ込んだ年金マネーが何兆円も毀損されたに違いない惨状にあって、とてもでないけれども安倍政権の経済政策の効果を高唱できる状態ではないことが影響しているとみるべきだろう。

さて、経済問題ではなく政治問題を取り上げた きまぐれな日々 「共産党の国会開会式出席」に物言えぬ「政権批判者」たち(2016年1月18日)のコメント欄が、なぜか安倍政権の経済政策に関する議論で盛り上がっているけれども、これを見て、2年以上更新が途絶えているブログ Nabe Party ~ 再分配を重視する市民の会 をリニューアルしようか(投稿のバリアを下げた新しい共用ブログへの移行)という、構想だけはずっと持っていたものの経済政策の議論がいっこうに活発にならないために腰が上がらなかった件を、重い腰を上げてやってみようかという気になっている。土日に現在のブログのコメント欄(恥ずかしながらコメントを未承認のままほったらかしにしてしまってます)の承認(投稿内容によっては未承認のまま)などの作業を行うとともに、来週はじめにも不特定多数の読者に開かれているこの日記上で提案をしたい(某所では既に提案済ですが)と思っています。

ところで、私の安倍政権の経済政策に対するスタンスですが、昔えらく喧嘩した記憶のあるid:suterakusoさん(最近は吉田松陰批判で気が合ったりしていますが)の下記のコメントにほぼ同意します。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1423.html#comment19278

 スレちなコメント欄だなぁと思いつつ、私も書き込みますが、経済政策を争点にしなければならないのに、現在の野党には期待できないということなら、私もそう思いますし、ブログ主様もそのようなことを何度も言っていると私は認識しています。これも何度もkojitakenさんが言っていることだと思いますが、本来なら、歳出面から政権批判がなされるべきでしょう。私は特に給付面が争点になるべきだと考えます。その点、民主党は、あの政権交代ブームの時に給付に着目するように世論を誘導したという点は、評価されてよいと考えます。しかし、現在、そういう方向性が極めて弱い。昨今だと、高齢者給付金が少しだけ話題になり、民主党も少し批判をしているようですが、なぜ今、65歳以上の高齢者だけなのか。野党以上に頼りないのが、マスコミ。そもそも、安倍政権は、これは控除の面になりますが(控除も大事ですね)、誕生してすぐ、孫への教育投資への贈与税控除というクソのような逆再分配政策を行いました。名目としては、消費の活性化とかなんとか言って。しかし、ほとんどマスコミで問題としてとりあげられなかった。そうしたことの積み重ねの上に今があるということでしょう。

 にしても、安倍政権の経済政策を批判できる勢力を作り出すということは、当然、絶対に必要なことですし、それができなければ、さらに暗い将来でしょう。(後略)

2016.01.21 23:04 suterakuso


「現在の野党には期待できない」というのは、民主党代表がよりにもよってゴリゴリの財政再建論者の岡田克也で、しかも民主党がこれまた強硬な公務員給与引き下げ論を唱えるアナクロなトンデモ政党・維新の党*1と近く合流するというのだから、民主党による維新の吸収だか両党とも解党しての新政党だか知らないけれども、どちらにしても今のどうしようもない民主党よりもさらに経済政策の期待できない政党になることは目に見えており、「政界再編」を熱望する保守派の反安倍論者のブログもあるけれども、私はそんなものには一切期待できないということだ。

またマスコミもひどくて、「リベラル」系のTBSとテレビ朝日でいうなら、経済政策の議論のお粗末さでは、群を(下方に)抜いて古舘伊知郎がひどい(岸井成格も良くないが、岸井はさすがにプロのジャーナリストだけのことはあって、古舘ほど恥知らずではない)。古舘は報道ステーションの降板が決まって「リベラル」からは「殉教者」扱いされているけれども、経済政策の議論をめぐる、露骨に財政再建志向のコメントを聞いていると、古舘を殉教者扱いする気は私にはなれない。もっとも富川悠太になったらそれが改善されるとは全く思えず、それどころか憲法や安全保障問題では古舘が見せた抵抗すら見せないことは覚悟しているけれど。

suterakusoさんの言う、

安倍政権の経済政策を批判できる勢力を作り出すということは、当然、絶対に必要なことですし、それができなければ、さらに暗い将来でしょう。

というのは本当にその通りで、その展望が全く見えないことが、昨年秋以来キーボードを打つ指に力が入らない二大原因の一つになっている(もう一つは安保法案の成立を簡単に許してしまったこと)。朝日新聞にはクルーグマンとピケティのコラムが載るのだけれど(たまたま今朝の朝刊にクルーグマンのコラムが載ってるよね)、朝日もクルーグマンやピケティのような論陣を張れば良いものを、といつも思うのに、朝日は相変わらずゴリゴリの財政タカ派志向だし、それに加えて憲法や安全保障でも一昨年以来「両論併記の鬼」と化している現状はまさにお寒い限り。

そうそう、杉山真大さんがsuterakusoさんとおなじ記事に一つ前にコメントしている(http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1423.html#comment19278)昨年10月20日ニューヨーク・タイムズに載ったクルーグマンのコラムって朝日には転載されなかったんだっけ。確かにクルーグマンインフレターゲットは4%くらいの数字、それに加えてさらに大規模な財政支出が必要だと書いていた。安倍政権にそれが可能だとは思えないというニュアンスを込めながら。でもこのコラムに対する安倍政権批判派の論評には、明後日の方向からの、というか財政再建志向的な批判が多かった。ダメダメだと思った。

で、実際昨年に安倍晋三がやったことの中には、安倍晋三の意中の後継候補と噂されている稲田朋美(!)を財政再建の特命委員会委員長に任命したことがある。本来、安倍晋三の経済政策なんて突っ込みどころ満載だ。

しかし野党、特に民主党や維新の党に安倍政権の経済政策の問題点を鋭く突いて政権と論争できる能力は、これはもう全くない。これが2016年初めの、明日から来るという猛烈な寒波よりもっとお寒い日本の政治における経済政策議論の現状だと、残念ながら言わざるを得ない。

*1:同党のルーツの一つである、今はなき「みんなの党」の渡辺喜美はリフレ派だったはずだけど、いつの間にかしばき主義のトンデモなデフレ経済政策だけが維新の党に残ったって印象。同党の政党支持率時事通信の世論調査社民党にも生活の党と何とかにも抜かれて0.2%になり、下には「0.0%」(笑)の「日本のこころを(以下略)」と「新党改革」という2つの極右政党しかない惨状を呈しているのはさもありなんってとこだ。