kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

朝日新聞(大阪)、「橋下が『家庭教育支援条例案』を批判」と報じる。なぜか橋下を「善玉」扱い。しかも東京本社版には一切載らず(追記・訂正あり)

橋下徹の「大阪維新の会」が「家庭教育支援条例案」を撤回する直前の、昨日(5/7)午前になって、ようやく大新聞が重い腰を上げた。


http://mainichi.jp/select/news/20120507k0000e010106000c.html

大阪維新の会:家庭教育支援条例案に批判続々


 橋下徹大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」の市議団が議員提案を予定している「家庭教育支援条例案」に批判の声が広がっている。条例案は、児童虐待や子どもの非行などを「発達障害」と関連付け、親の愛情不足が原因とする内容だが、医師や保護者らが「根拠がない」「偏見を助長する」と猛反発。発達障害の子どもを持つ保護者らの13団体は7日午後、議会を訪れて提案中止を要望。市議団も5月議会での提案見送りを決めた。

 条例案は今月1日、維新市議団が公表。児童虐待が相次ぐ現状を踏まえ、家庭教育の支援や親に保護者としての自覚を促す目的で作られた。「親になるための学びの支援」「発達障害、虐待等の予防・防止」など全5章、23条から成る。

 しかし、発達障害について「乳幼児期の愛着形成の不足」が要因と指摘し、「伝統的子育て」によって障害が予防できるなどと言及した条文に批判が続出。高田哲・神戸大大学院教授(小児神経学)は「伝統的な子育てで予防できるとか、親の育て方が原因であるかのような表現は医学的根拠がないばかりか、子どもや家族が誤ったイメージで見られかねない」と危惧する。

毎日新聞 2012年05月07日 11時37分(最終更新 05月07日 13時02分)

この毎日新聞記事は昨日11時37分に公開、同13時02分に更新されている。

発達障害の子どもを持つ保護者らの13団体は7日午後、議会を訪れて提案中止を要望。市議団も5月議会での提案見送りを決めた。

と書かれているのが追記部分なのだろう。つまり、「維新の会」が条例提案を見送ることを知って、急遽記事を公開したものと思われる。


朝日新聞はもっとひどい。

http://www.asahi.com/national/update/0507/OSK201205070005.html

発達障害は親の愛情不足」 維新の会の条例案に批判


 大阪維新の会大阪市議団が市議会に提案を検討している条例案に「発達障害は愛情不足が要因」といった記述があり、発達障害の子どもの親らでつくる府内の13団体が7日、「偏見を増幅する」として提案をやめるよう求める要望書を市議団に提出した。

 条例案は「家庭教育支援条例案」。この中で「発達障害、虐待等の予防・防止」として、「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因」と記されている。

 これに対し、日本自閉症協会(東京)は6日、市議団あてに内容の修正を求める要望書を送った。書面では「愛着形成の不足が原因でないことは医学的に確立している」と指摘。さらに「わが国の伝統的子育てで予防・防止できる」といった記述に対して「脳の機能的な障害である」と誤りを指摘した。ネット上でも今月初めから「もう少し勉強したほうがいい」「正しい理解が広がってほしい」という声が相次いでいた。

 橋下徹市長は7日、「発達障害の子どもを抱えて苦労する母親に、それはあなたの愛情欠如ですと宣言するのに等しい」と批判。条例案について「行政体が、こういうやり方で子育てしましょうと網をかぶせるのはどうなのか。僕が市民の側に立ったら『大きなお世話だ』と言うんじゃないか」と報道陣に語った。市議団副団長の辻淳子市議は「条例案はたたき台。内容は再検討する」としている。(太田康夫、坂本泰紀)

朝日新聞デジタル 2012年5月7日11時38分)


これではまるで橋下が「正義の味方」みたいだ。前記毎日新聞記事とタイムスタンプが1分違いでまるで示し合わせたかのよう。しかもこの記事は大阪本社版には載ったのだろうけれど、東京本社版には載らなかった。


朝日新聞の続報。

子育て記事一覧 - 教育:朝日新聞デジタル

維新の会、条例案提出を撤回 「偏見助長」など批判受け


 橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会大阪市議団は7日午後、親の愛情不足が発達障害の要因とし、その「予防」をめざすとした条例案について、市議会への提案方針を撤回した。市議団が示した条例案の原案に対し、専門家や保護者団体から「科学的に誤り」「偏見を助長する」と批判が相次いでいた。

 条例案は「家庭教育支援条例案」。「親になるための学び」が必要との立場から、家庭教育の支援や伝統的子育ての推進を主張。「発達障害、虐待等の予防・防止」を掲げて、「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因」と明記している。

 条例案を推進していた維新の辻淳子市議によると、条例案の文案は4月下旬、「親学」を提唱する高橋史朗・明星大教授から資料として提供を受けたという。辻氏らは1日、条例案の原案として提示。市議団の美延映夫幹事長は報道陣に「5月議会への提出を目指す」と表明していた。

 これに対し、発達障害の子どもの保護者らで作る大阪府内の13団体は7日、発達障害者支援法を踏まえて「発達障害は先天的脳機能障害。条例案の記述は学術的根拠がなく、偏見を増幅する」として、提出中止を求める要望書を維新側に提出。保護者らは記者会見で「親を追いつめる発想はやめて欲しい」と訴えた。

 一方、橋下氏も同日午前、報道陣に「発達障害の子どもを抱えて苦労されているお母さんに『それはあなたの愛情の欠如だからだ』と宣言するのに等しい」と批判。市議団に見直しを求めたことを明かしていた。

 美延氏は7日、保護者らと面談した後、「(保護者の)ご意見は大事にしないといけない」と条例案の提出撤回を表明した。

 条例案を巡っては、ネット上でも批判が相次いだ。脳科学者の茂木健一郎さんはツイッターで、伝統的子育てで発達障害や虐待が防止できるとする条文を「科学的にただしくない」と指摘。乙武洋匡さんは「誤解によって苦しめられている人が、たくさん存在しています」と訴えていた。

朝日新聞デジタル 2012年5月7日21時24分)

「大阪県構想」はあえなくおじゃんになってしまったが、この記事も朝日新聞東京本社版(5/8朝刊)には載っていない


毎日新聞の続報は下記。

http://mainichi.jp/select/news/20120508k0000m010085000c.html

大阪維新の会:家庭教育支援条例案を白紙撤回 抗議受け


 橋下徹大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」の市議団は7日、議員提案を予定していた「家庭教育支援条例案」を白紙撤回することを決めた。条例案は「発達障害は愛情不足が原因」などと指摘する内容で、保護者らの抗議が殺到していた。市議団は同日、発達障害の子どもを持つ保護者団体のメンバー約10人と面会し、謝罪した。

 条例案は、行政による家庭教育の支援などが目的で、維新市議団が1日に公表した。発達障害について「乳幼児期の愛着形成の不足」が要因と指摘し、虐待や引きこもり、不登校などと関連付けた上、「伝統的子育て」によって障害が予防できると言及していた。

 この日、発達障害の子どもを持つ「大阪自閉症協会」など13団体の代表らが市議団を訪問し、「発達障害に対する偏見を増幅しかねない」「条例案を中止していただきたい」と抗議。市議団の美延映夫(みのべ・てるお)幹事長は「ご心労をおかけした。ぜひ一緒に勉強会をさせていただきたい」と陳謝したが、条文については「ある県で議論された案を参考として議員に配っただけで、我々の案ではない」などと釈明した。

毎日新聞5件 2012年05月07日 22時09分(最終更新 05月07日 23時13分)

この記事は果たして毎日新聞の紙面に載ったのだろうか、大阪本社版にはさすがに載っただろうけれど。


[追記](2012.5.8 23:29)
朝日新聞の続報は5/8付東京本社版の紙面に掲載されていました。redkittyさんの下記コメントの指摘通りです。訂正いたします。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20120508/1336435626#c1336443536

redkitty 2012/05/08 11:18
2012年5月8日付け朝日新聞東京本社版の39面最下段に「『発達障害は親の愛情不足』条例案、批判受け撤回」という黒地白抜き見出しで、デジタル版とほぼ同内容で載っています。私が今見ているのは、14版なので違う版では載っていないかもしれません。